公衆衛生が整えられている昨今、 疥癬 は一般家庭において発生源になる事は、あまりありません。しかし、特養や老健等の高齢者関連の介護施設、或いは病院等においては、夏になると全国的に発生しています。
この為、感染者本人だけで無く、感染者の家族や職員への2次感染の問題があります。
疥癬について
疥癬とはどんな病気か
疥癬とは、感染性の皮膚疾患です。人の表皮(皮膚の一番外側)にヒゼンダニと呼ばれている一種のダニが寄生し卵を産えつけます。雌は産卵時に波線状のトンネルを作り表皮から潜って産卵し、卵が孵化すると幼虫がトンネルから出て来ます。このトンネルは疥癬トンネルと言われています。
ヒゼンダニには人肌の温度が生命維持に適した環境です。人肌を離れると数時間程度で死滅しますが、感染者や感染が疑われる人の服を洗濯する際熱湯に浸すか、高温の乾燥機を使用して下さい。
疥癬には2つの型がある
疥癬は型が2つあります。疥癬、或いは通常疥癬と呼ばれるものは、寄生したダニの数は数十匹程度です。感染者を隔離する必要は無く、寝具の共用や皮膚の長時間の接触が無い限り、隣に数時間座っても感染する事はほぼありません。
対して角化型、或いはノルウェー疥癬と呼ばれるものは、ダニの数が100万から200万とも言われています。0が5つも違う程ダニの数に差がある為、感染は容易で、感染者を隔離しない限り、感染拡大を防ぐ事は出来ません。ノルウェー型の場合、進行すると皮膚が肥厚し独特の体を成します。
疥癬の感染拡大を防ぐ
疥癬は条件が揃うと感染します。その為、先ず感染拡大を防ぐ為には早期発見が不可欠です。特に脇、腹部、指の間等の比較的柔らかい部位の湿疹と特に夜間の掻痒感(人によっては眠りを妨げられる程の)がある場合は疥癬を疑いましょう。
速やかに皮膚科へ行き診断を受けましょう。ダニは非常に小さく、人の目では見えない為皮膚サンプルを採取する等して顕微鏡等で確認しますが、サンプルからダニや卵が発見されれば診断上疥癬の感染が確定となります。
ノルウェー疥癬の場合であれば、繁殖したダニの数が圧倒的に多いので簡単に検知が可能ですが、通常疥癬の場合はせいぜい数十匹程度なので、皮膚科専門医でも1度の検査でダニや卵を検出する可能性は半分以下と言われています。
1度の検査で検出されなかったから大丈夫と油断しないで下さい。感染の疑いがある場合は、自身が媒介となり家族等の周囲の人を感染させてしまわない為に、感染したものと見なし、感染拡大を防ぐ予防策を、この時点で徹底する事が大事なご家族を感染から守る事に繋がります。
湿疹の出始めから接触した周囲の人も受診するようにする事をお勧めします。
何故高齢者関連の施設や病院で発生するのか
何故高齢者関連の施設や病院で発生するのかという理由は単純明解で、2つ挙げられます。1つは疥癬に限った事ではありませんが、高齢者はそもそも何らかの持病を持っている事が多く、持病により抵抗力そのものが低下している例が多いという事です。
もう1つは、療養上の理由等で毎日入浴出来ない事です。これにより皮膚を清潔に保つ事が出来ずに感染します。
疥癬に感染してしまったら
塗り薬と飲み薬で先ず成虫を死滅させます。その後2週間程、卵が孵化するのを待ち再び飲み薬で寄生したダニを全滅させます。
シーツ等の寝具は極力毎日取り換えるようにして下さい。この時も手袋と日除け向けの手差しを使用する等肌の露出が極力少なくなるように工夫して下さい。
まとめ
疥癬について
疥癬とはどんな病気か
疥癬には2つの型がある
疥癬の感染拡大を防ぐ
何故高齢者関連の施設や病院で発生するのか
疥癬に感染してしまったら