疥癬 (かいせん)という病気をご存知ですか?強い痒みを伴う皮膚疾患です。高齢者がかかりやすく、人から人へ感染します。最近では老人ホームなどでの集団感染が問題視されています。病気の 原因 は1つです。きちんと知って治療しましょう。
我慢できない痒みは疥癬かも。原因を知って治療しましょう
疥癬とはどんな病気でしょう?
疥癬は「ヒゼンダニ」という肉眼では見えないくらい小さなダニが皮膚に寄生することによって引き起こされる皮膚病です。
通常疥癬と角化型疥癬(ノルウエー疥癬)の2つのタイプがあります。人間の歴史とともに古くから世界中で流行を繰り返してきた皮膚病です。
日本では、昭和20年頃に大流行しました。かつては貧困や戦争による栄養不良や衛生環境の悪化が集団感染の原因と考えられていました。
最近では、高齢者施設を中心にした高齢者の集団感染が問題になっています。
原因となるヒゼンダニとは
疥癬の原因はヒゼンダニ(皮癬ダニ)というダニです。オスは0.2×0・15㎜ほど、メスは0.4×0.3㎜ほどの目では見えないくらい非常に小さなダニです。洋ナシのような体に短い4対の足がついていて背中には短いトゲのような突起が多数あります。
卵→幼虫→若虫→成虫と成長していき、成虫になると1日2~3個の卵を約1カ月産み続けます。人間の体温が生息に非常に適しているため、人間の肌に生息しているときがもっとも活発に活動します。
人間の体から離れると動きが鈍くなり、16℃以下になると動きが止まってしまいます。
疥癬の症状とは
疥癬には「通常疥癬」と「角化型疥癬」の2つのタイプがあります。健康で体力のある人の場合は通常疥癬が発症しやすく、高齢者など体力、免疫力が低下している人の場合は角化型疥癬を発症しやすい傾向にあります。
原因はどちらも同じヒゼンダニの寄生によるものですが、その寄生数に大きな違いがあります。
通常疥癬では1人の患者さんに多くても1000匹程度の寄生ですが、角化型疥癬では100万~200万匹にもなります。寄生数が多いため、角化型疥癬の感染力は強く、隔離が必要になります。
通常疥癬の症状
おもな皮膚の症状として疥癬トンネルと呼ばれる特徴的な症状が現れます。メスが角質層にもぐりこみ、角質層のやわらかい部分に横穴をトンネル状に掘り進め、このトンネル内に産卵します。これが疥癬トンネルと呼ばれる線状の皮膚症状です。
指の間、指の側面、手首などによくできます。男性では陰部にできることも多いです。また、赤いブツブツやしこり(丘疹、結節)ができます。お腹や胸、足、手、腕などにみられ、激しい痒みを伴います。
ダニが皮膚内に潜伏した際に作る穴の中に糞や脱皮した抜け殻などが残り、それらによるアレルギー反応で痒みや赤みが出ると考えられています。
角化型疥癬の症状
通常疥癬と同じ症状があらわれますが、角化型疥癬にだけ明らかに違う症状が出ます。角化型と呼ばれるとおり、全身にかさぶたのような灰色から薄茶色のざらざらした厚い角質ができます。
特に摩擦を強く受けやすい位置にできやすく、手や足、おしり、ひじ、ひざなどに多発します。非常に強い痒みがあることもあれば、まったく痒みを感じないこともあります。
また、通常疥癬では首より上、顔や頭には症状がでませんが、角化型疥癬では頭部にも症状があらわれることがあります。
高齢者や感染症をおこしている人など免疫力が低下している人が発症しやすくなります。
治療の方法
昔に比べると比較的簡単に治療ができるようになりました。
イベルメクチンという良い内服薬ができているので、1回もしくは時間を空けて2回のめば有効です。あわせて塗り薬を使用して治療します。
通常疥癬ならば、しっかり治療すれば2週間程度で症状はおさまります。なおったあとも3カ月程度は皮膚状態に気をつけましょう。
角化型疥癬の場合は、感染力が強いので隔離の観点から入院治療が望ましいでしょう。2カ月程度で周囲の流行も含め終息するとみられます。
なおったあとも6カ月程度は皮膚のチェックを行いましょう。
まとめ
我慢できない痒みは疥癬かも。原因を知って治療しましょう
疥癬とはどんな病気でしょう?
原因となるヒゼンダニとは
疥癬の症状とは
治療の方法