そもそも「肝炎」とは、肝臓の細胞に何らかの原因で炎症が発生して肝細胞が破壊されていく病気です。
肝炎 の感染要因は数種類の経路を持ちますが、 症状 となるとその感染ルートに関わらず『沈黙』を守りながら徐々に深く潜航しつつといえます。
それではその症状は一体どんなふうに出るのかをご説明します。
”ステルス”のように肝炎の初期症状は静かに進行する
体の”だるさ”を感じる
『沈黙』とはいえ、なかでも明確な症状についての説明から始めます。
なんとなく体がだるい、これは一つのサインかもしれません。肝臓は糖質をエネルギーに変えるところなので、肝機能低下のためにスタミナがなくなっていくわけです。
また逆説的には「疲れやすくなったなぁ」と感じることが大事なことで、不調が長く続くと自分の体の状態(健康期と比較して)の比較さえできなくなってきます。これは肝炎の自覚症状にとって非常に危険なことです。
例えていうと、仮に二日酔いがずっと続き、それこそ迎え酒の日々になってしまうと自分自身の健康だった体調そのものを忘れてしまいます。
つまり肝炎の症状に気づくチャンスがなくなるということです。いいかえれば、肝心の体調の変化が肝炎の症状の悪化と結びつきにくいというのが特徴です。
特に多いのが「風邪じゃないかな?」と、過去に経験した病気の症状に置き換えてしまうケースです。不安定な症状を、すでに体験した病気に埋め合わせて気持ちの整理を付けているのかもしれません。
なにを食べても美味しくない!
肝炎の症状の実例です。土日祝も仕事で、どうしても期限までに進めないといけない仕事を抱えたAさん。肝炎になりダウンしてしまいました。
入院時の検査でAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ=GOT)が1,000IUを超えていて看護婦が腰を抜かしたというのです。これは医学的には<劇症肝炎の範疇>です。
さぁ、その症状ですが、当のAさんは自力で立って歩くことができるし、医師の問いかけにも正常に応えていました。
当のご本人は前述のように「体がかったるい」とか「疲れが取れない」というばかり。肝炎に関していえば、例外を除き500~1000IUでは突然卒倒したり痛みで転げまわるというような症状は出ないのです。
ただし、「食欲がなくて、ご飯を食べるとき塩をかけた上に梅干を食べないと呑み込めなかった」ということを話していました。食欲もひとつのサインですが、これほどの重症でもこの程度の症状、『肝臓は沈黙の臓器』といわれ、いかに症状が出にくいかの証左です。
さらに進行して”黄疸”になると…
症例にはさまざまなものがありますが、尿が異常な濃度上昇を示す場合があります。もともと尿の変色は何らかの疾病を示していると考えていいでしょう。
赤血球に含まれるヘモグロビンはビリベルジンを経てビリルビンを生成します。そしてビリルビンは肝臓によって水に溶けるようになります。肝炎に関しては、総ビリルビンの数値が1.3 mg/dL以上の場合は肝臓や胆管だという疑いがあります。
症状がかなり重い段階になると、尿が黄色または茶色になって排出されることがあります。症例の中にはチョコレート色だったというケースもありました。
この場合は入院と同時に劇症肝炎の治療の準備を始めました。体内のすべての血液を入れ替えるための準備をベッドの周辺360度で行うわけです。
しかし、驚くべきことに、この患者さんの症状を見る限り自力歩行で、医師の「100からを7を引くといくつ?」、「93です」。「そこから7を引くと…?」と繰り返して肝性脳症の問診をするのですが、これもまたクリアしたというのですから驚きです。
おそろしい肝炎といえ、(人と事例によりますが)例外を除いて重篤な状況でありながら倒れてしまうような末期症状がいきなり現れるということはないようです。それだけに恐ろしいといわざるをえません。
”肝炎の症状”だと明確に自覚するときは本当の末期
ここまで肝炎の症状について書いてきました。しかし、こうしてみると気づかれたとおり、まさにキーワードは『沈黙』です。激痛が走るということは稀です。肝臓の病気とはだるいとか、疲れやすいとか極めてあいまいな症状とつきあわねばならないということがおわかりでしょう。
肝炎の症状からは一連の<流れ>のようなものがあります。一例としてウイルス感染から急性肝炎が発症。その後は慢性肝炎から肝硬変、肝がんになりやがて静脈瘤などに至るというような展開は多々あります。
これはC型肝炎を例にとったのですが約70%の確率で持続感染となり前述のルートをたどることになりますが、前述のようにその一連の流れの中では自覚症状が極めて希薄であり曖昧です。
肝炎の症状についてご説明しましたが、初期の段階から感染していることに気づかないケースがあまりにも多いということを強調しておきたいと思います。
まとめ
”ステルス”のように静かに進行するのが肝炎の症状
体のだるさを感じる
なにを食べても美味しくない!
さらに進行して”黄疸”になると
”肝炎の症状”だと明確に自覚するときは本当の末期