肝機能障害は進行すると肝硬変や肝臓がんなど重篤な病気に移行することがあるので、早めに自覚して受診したいところですが、肝臓はなかなか症状が表に出ない臓器なので注意が必要です。
そこで今回は、 肝機能障害 の原因と 症状 について知っておくべきことをご説明します。
知っておくべき肝機能障害の原因と症状
肝機能障害の種類と考えられる原因
肝臓は、胆汁を作ったり毒を中和したりするなど、なんと500以上の仕事をしていますが、その中の1つに、取り込んだ脂肪を分解処理して体内のあらゆる細胞へ送る仕事があります。
取り込んだ脂肪はすべてを送るわけではなく、必要に迫られた際のストック用として肝臓の中に貯めておきます。
「脂肪肝」は、そのストックの脂肪量が増えすぎることにより起こる病気です。つまり、脂肪肝の原因は過剰な脂質の摂取、すなわち食べすぎ、飲みすぎによることが多いのです。
脂質の摂取とは、油だけではなく、体内で脂肪に変換する糖も大きく関係します。
糖は甘いものだけではなく、炭水化物も含まれるので、揚げ物を食べないからといって白米を大量に食べすぎていると、脂肪が過剰に貯まっていくことになります。
「ウイルス性肝炎」は、肝臓がウイルスに感染しておこる病気で、日本人の40人に1人と推計されている感染症です。ウイルスの型はA、B、C、D、Eなど複数あり、その型の違いや感染のしかたによって、進行具合に違いがあります。
「アルコール性肝炎」は、大量に飲酒したことが原因で脂肪肝になったあと、もう一段階進行して悪化した病気です。飲酒を減らすことで改善するケースもあります。
「非アルコール性脂肪性肝炎」(NASH)は、アルコールを摂取していなくても、おもに過食や無理なダイエットで栄養バランスを崩したことによって脂肪肝になり、さらに進行して起こる病気です。バランスのとれた食事や運動など生活習慣を改めることで改善するケースもあります。
「肝硬変」は、肝炎が進行した状態で、肝細胞が壊死と再生を繰り返すことによって、肝臓が硬く小さく変わっていく病気です。初期段階では自覚症状がない場合もありますが、進行すると消化器からの出血や、肝臓がんになるなど合併症があらわれます。
「肝がん」は、肝炎が進行したものと、他の器官のがんが転移したものとがあり、正常だった肝臓が急に肝がんになるケースはありません。しかし症状が出にくいため、いつのまにか進行して気がついたときには末期症状になっていて、急だと感じることはあります。
肝機能障害の症状が現れるということ
肝臓は「沈黙の臓器」と言われていて、胃や腸のように痛んだり違和感があったりしないので、特に自覚症状がないうちに病気が進行してしまうケースが多いのです。
肝臓の機能が低下すると、身体が疲れやすくなったり、身体がだるいと感じたり、食欲が低下するなどの症状があらわれますが、いずれも見逃しやすい症状です。
肝硬変の初期症状では、安静時や就寝時に足や手などあちこちの筋肉がつりやすくなる「筋攣縮」、手のひらの膨らんでいる部分だけが赤くなる「手掌紅斑」、上半身に赤い小さな隆起物ができて蜘蛛の足のように毛細血管が拡がった状態に見える「蜘蛛状血管腫」があります。
肝機能障害が進行していくと、倦怠感が増していき、黄疸が出る、腹水がたまるという症状が現れます。
黄疸の症状とは、血液中のビリルビンという黄色い色素の濃度が上昇し、全身の皮膚や粘膜に沈着して肌や白目が黄色くなることです。
腹水がたまる症状とは、本来、腹腔の中に20ml~50mlほどある水が、異常に増えてたまることで、1リットル以上たまるとお腹が膨れてきたのがわかり、圧迫されることによって、胃や肺の状態に影響が出てきます。
このような症状が現れた場合は、肝機能障害が進行しているおそれがあるので、直ちに受診することをおすすめします。
肝機能障害を早期発見するには
肝炎のウイルス感染は、血液検査で調べることができるので、調べたことがない場合は一度、調べてみることをおすすめします。
感染があった場合には症状が出ていなくても定期的に検診を受けて経過を見守り、必要に応じて服薬など適切な治療を受けることで、肝硬変や肝がんの発症を予防することが可能です。
健康診断の血液検査では肝臓の状態を数値で知ることができます。「ALT(GOT)」「AST(GPT)」「γ-GTP」の3つの酵素は主に肝細胞に多く含まれているので、正常であれば血液中の数値は低いのですが、肝細胞が壊れてしまうと血液中に流れ出して数値が上がり、肝機能が低下しているということがわかるのです。
肝機能障害は自覚症状が出る前に血液検査で早期発見が可能です。定期的な健康診断を受け、異常があれば早めに受診することをおすすめします。
まとめ
知っておくべき肝機能障害の原因と症状
肝機能障害の種類と考えられる原因
肝機能障害の症状が現れるということ
早期に肝機能障害を発見するには