「肝臓」について、一般的に知られていることは、沈黙の臓器、つまり病気の進行過程で自覚症状を発生させにくいことや、再生能力が他の臓器に比べて比較にならないほど優れているということです。
さて、そうなると 肝臓がん の 症状 に対するキーワードはやはり「無言」となります。逆説的にいえば、肝臓癌だと自覚する時は末期の可能性が高いということになります。
肝臓がんは静かに、そして無言で忍び寄る
肝臓がんの周辺
新聞などメディアの死亡欄で肝不全が直接的な死因と伝わらない場合は、結果的に「肝臓がん」、「静脈瘤」、あるいは表記に「心不全」などとなりますが、素因の大半は肝臓不全がもとであることは間違いありません。
肝臓がんという病気には、鉄道路線図のような一連の流れがあります。生活習慣病からウイルス性肝炎(B型肝炎・C型肝炎などの急性肝炎含む)、慢性肝炎、脂肪肝、そして肝硬変を経て肝臓がんになるというひとつのルートのようなものが出来上がっています。
前述の静脈瘤などもその一族郎党だといっていいかもしれません。
肝臓がんはそのプロローグで症状を知る
前述のように肝臓は「沈黙の臓器」です。肝臓がん特有の症状となるとないに等しいのですが、その導入路に当たる肝硬変には症状があります。
逆にいうと肝臓がんにならないためにはこの肝硬変の症状を見逃さないようにして、何か気がついたら即刻対応するということが重要になります。
肝硬変によくある症状
肝硬変は文字通り、肝臓が石のようにカチカチの状態になる病気です。それではその肝硬変の症状について説明します。
- 体がだるい、疲れやすい
- 食欲がない
- 微熱がある
- 便秘(または下痢など)排泄に異常がある
これらは紛れもなく肝硬変の症状なのですが、これだけではほかの病気との差異が微妙で特定できません。これらは人体にとって日常的な、そして軽い違和感的症状で時間とともに回復することも多々あるため重要視されることは稀でしょう。
これらの自覚症状ですぐに病院に行く習慣がある人はかなり慎重派の部類だといえます。
肝臓がんに至る日常の症状
とはいうものの、実は看過できない肝臓がんの症状の入口であるかもしれません。
①~④をもう少し詳しく解説します。
①だるいあるいは倦怠感。これはなんらかの肝障害がもとで栄養代謝能力の低下をおこしている可能性があります。このために乳酸などが蓄積すると、一般的に疲れが取れないとかだるいという軽い症状はそれが関係している可能性があります。
また②~④については、腹痛、お腹が張るといった消化器症状とか肝臓の炎症で発熱することもあります。摂取する栄養状態がバランスを崩して急激に体重が減少するといった症状が現れたら肝硬変や肝臓がんを疑っていいかもしれません。
付け加えると、みぞおちにしこりや痛みを感じたら肝臓がん(心窩部腫瘤)の初期的症状かもしれないので医師の診断を受けたほうがいいでしょう。
尿の色が茶色になった
これは肝臓がんの症状としては明確な注意信号です。
健康な尿は薄い黄色味を帯びています。赤血球に混在するヘモグロビンの成分が肝臓でビリルビンに変化します。一部が腎臓で酸化するため別な成分になるため黄色い着色を受けます。
茶色い尿の色はそのビリルビン濃度が高くなっていることのあらわれです。通常の工程で進めば、ビリルビンは肝臓を通った後に胆汁の成分として腸に届くはずです。しかし、肝臓に炎症とか特別な異常事態が起こった時のみ排出しなくなり、血液中でビリルビン濃度が高くなると考えられています。
このビリルビン濃度は黄疸の症状に直結しています。黄疸は肝臓がんの道しるべ的な存在でもあります。
そのほか、体にむくみが出たり貧血になったり、腹水がたまったなどは肝臓がんの症状の可能性があります。早めに病院で検査をしたほうがいいでしょう。
まとめ
肝臓がんは静かに、そして無言で忍び寄る
肝臓がんの周辺
肝臓がんはそのプロローグで症状を知る
肝硬変によくある症状
肝臓がんに至る日常の症状