加齢黄斑変性は、50歳以上の人の約100人に1人がかかる病気で日本には50万人程度の患者がいることになります。欧米では社会的中途失明原因の第1位の疾患で、日本でも加齢黄斑変性にかかる人が多くなっています。
加齢黄斑変性 とはどのような病気なのか説明していきます。
日本における中途失明原因第4位の加齢黄斑変性について
加齢黄斑変性の分類
萎縮型加齢黄斑変性
萎縮型加齢黄斑変性は、黄斑部の網膜が萎縮していく病気で進行はゆっくりですが、治療法のないタイプの黄斑変性です。
滲出型加齢黄斑変性
滲出型加齢黄斑変性は、黄斑部の新生血管から出血や滲出液の漏出が起こって急速に進行するタイプの黄斑変性です。日本人のほとんどがこのタイプの加齢黄斑変性です。治療の対象になる加齢黄斑変性で、近年さまざまな治療法が開発されてきました。
加齢黄斑変性の原因
加齢黄斑変性の原因の一部として、加齢と喫煙が関係してきていることがわかってきていますが、発症のメカニズムが説明できるほどの原因はわかっていません。近年、遺伝子による研究が進み加齢黄斑変性になりやすい遺伝子があることがわかってきました。
遺伝子は父親から受け継いだ染色体に入っている遺伝子と、母親から受け継いだ染色体に入っている遺伝子があるため、加齢黄斑変性になりやすい遺伝子を2つ持っている人と、加齢黄斑変性になりにくい遺伝子を2つ持っている人と、それぞれを1つずつ持っている人がいることになります。
加齢黄斑変性になりやすい遺伝子を2つ持っている人は、なりにくい遺伝子を2つ持っている人に比べて10倍くらい加齢黄斑変性になりやすいと言われていますが、必ずなるというわけではありません。
加齢黄斑変性の治療
網膜光凝固術
滲出性加齢黄斑変性において、脈絡膜新生血管が中心部から離れている場合には、網膜光凝固術(レーザー)が施行できます。しかし、この治療法は極めて難易度が高い治療のため、現在ではもっと難易度が低く施行しやすい治療法がメインになってきています。
光線力学療法
レーザーのみでなく、薬剤とレーザーを同時に使用して治療を行うという新しい治療法です。病巣の脈絡膜新生血管に反応する薬剤を10分間かけて静脈内注射した後、非発熱性レーザーを照射する方法です。
その結果、レーザーと薬剤の化学反応が起こり、その作用により脈絡膜新生血管を退縮させる治療法です。
この治療法は有効な反面、薬剤が体内から排出されるまでの間、皮膚や目が日光などの強い光やハロゲンランプなどにあたると過敏に反応して炎症を起こします。そのため治療後5日間は強い光を浴びないように注意する必要があります。
抗VEGF療法
合併症が少なく、かつ視力をさらに改善させる目的として、新生血管抑制作用をもつ薬剤を硝子体内に注入するという最新の治療法です。
始めに感染予防のため、3日間自宅で抗生物質の目薬を点眼してもらいます。手術は当日に麻酔の目薬をした後に、硝子体内に薬剤を注入します。毎月1回3ヶ月間注射した後、定期的に検査を行い必要に応じて追加していきます。
加齢黄斑変性は以前は治療が困難な病気の1つでしたが、現在ではさまざまな治療法が開発されたため、治療不可能な病気ではなくなりました。
しかし、加齢黄斑変性は進行するスピードもはやいため、物が歪んで見えたり中心部だけ見え方に違和感を感じた時には放置せず、必ず眼科を受診しましょう。両眼でみていると気がつかない場合もあるので、時々片目ずつで見ることも大切です。
またその名の通り加齢黄斑変性は高齢者に多くみられる病気です。例え自覚症状がなくても60歳を過ぎたら年に1回は眼科での検診を受けることをおすすめします。
まとめ
日本における中途失明原因第4位の加齢黄斑変性について
加齢黄斑変性の分類
加齢黄斑変性の原因
加齢黄斑変性の治療