筋萎縮性側索硬化症 (ALS)は、特定疾患として難病認定されている神経変性疾患のことです。1年間で新たにこの病気にかかる割合は、人口10万人当たり1~2.5人と患者数がとても少なく、現時点では効果的な治療法がありません。
なかなか知られることがないといわれている筋萎縮性側索硬化症とは、いったいどのような難病なのでしょうか。
筋萎縮性側索硬化症~その症状と治療法について~(前編)
筋萎縮性側索硬化症とは?~症状や特徴について~
筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは、手足、のど、筋肉、舌、呼吸に必要な筋肉が段々と衰え、痩せていく障害のことです。身体のどの部位から始まっても最後には、全身の筋肉が痩せていくので、最後は呼吸筋とよばれる筋肉が動かなくなり呼吸不全で死亡するといわれています。
死亡までは進行によって変ってきますが、平均で2~5年です。ごく稀に呼吸器を使わず10数年という長期間で進行して亡くなったというケースもあります。
しかし、身体の筋肉が動けなくなったとしても、視力・聴力・内蔵機能などが保たれるという特徴があるため、植物状態や寝たきり状態とは異なるのもこの障害の特徴です。
もう一つの特徴として、寝たきりの人に特有な褥瘡(床ずれ)が起こりにくいと言われています。一説には神経変性によるコラーゲンの変質が原因とも言われています。
初期症状から進行まで
一般的に、この障害が起こる前に必ず手足や口などに力が入りにくくなるといいます。特に、顕著なのが腕、大腿部、胸、背中、舌など筋肉がもっとも集中している場所がピクピク痙攣するように動く症状がひんぱんに起こるようになります。
さらに、進行すると手指でものをうまくつまめなかったり、物を持つときに力が入らず落としてしまうということが多くなり、話しにくくなったり、飲み込みが悪くなったりする症状があらわれます。この症状が続くようであれば、すぐに最寄の病院に行き、診察を受けましょう。
さらに、進行が続くと歩くことが困難になり、のどの筋肉に力が入りにくくなることで声が出なくなる構音障害が起こります。
同時に、飲み込む力も衰えるので嚥下障害による、よだれや痰が増え、口から常によだれが垂れてしまっている状態や、介護者に定期的に痰を吸引してもらわなければいけない状態になります。
また、呼吸筋も弱くなっていくので、呼吸が浅くなり十分に酸素が取り込めなくなってしまうため、人工呼吸器や気管切開による呼吸補助が必要になります。
まとめ
筋萎縮性側索硬化症~その症状と治療法について~(前編)
筋萎縮性側索硬化症とは?~症状や特徴について~
初期症状から進行まで