呼吸数 というのは一定の時間に何回呼吸したかを数字で示したものです。
人間など一部の動物は呼吸することで口から肺へ酸素を取り込み、その酸素を体内で消費して二酸化炭素を外部へ放出します。生きるために必須な作業ですが、呼吸数はその人の身体や精神状態がいかなる状況化を示すバロメーターになります。
「生きること」の基本となる呼吸数の話
呼吸数はどう測るのか?
前述のように、呼吸数は人間のさまざまな状況を反映します。したがって、呼吸数を測定する時は心身ともに安定した安静状態でないと値に意味を持ちません。
測定方法はいくつかありますが、どなたも経験がある医師の診断時の聴診器は代表的なものです。さらに目視や心電図でも測定することができます。
呼吸数は息を吐いて吸ってと往復して1回と数えます。基本は胸壁の上下運動の測定です。
バイタルサイン
医学用語にバイタルサイン(vital signs、あるいはバイタルチェック)という言葉があって、これは「人間が生きている状態であるかないか」の定義を示す兆候(生命兆候)を意味しています。項目的には心臓、血圧、体温などなどありますが、大きなファクターのひとつに呼吸数が存在します。
今の医学で一般的に正常値とされているのが毎分10~40回(下記=年齢による)です。そして1回の呼吸の深さを示す換気量は500ml前後とされています。
最近では呼吸回数のことをbpm(breath par minute)で表す場合が多くなっているようです。これは上記の1分間当たりの単位を回ではなくbpmと置き換えたことと等しいのです。
呼吸数の正常値
bpmの正常値とされる呼吸数について、大雑把な測定値を前項で掲げました。では、年齢によってどう異なるかをご説明しましょう。
まず、新生児は29~32、乳児が22~28、幼児が20~28、小学生クラスで18~20、成人した人で16~18というのがもっとも普通です。
※一部の医学者には成人は10~15回が正常値だとするのもあります。呼吸数については現時点で決定的な定説はなく、研究者や文献によって若干異なります。
ちなみに、ちなみに吸気時間と呼気時間の比は1:2というのも常識的な数字です。人間は息を吸うよりも吐きだす時間のほうが長いということです。
呼吸数で判断する異常
呼吸数についてはその状況によって異常を判断する材料になります。
まずは多呼吸です。人は誰でも運動直後にはハァハァと大きな呼吸になります。呼吸数もその深さも増えている状態です。
これが運動もしないときに起こるならば、過呼吸症候群とか肺血栓塞栓症などの疑いがあります。早い段階で医師の診察を受けるべきでしょう。
そして逆に小呼吸という、呼吸数も深さも減ってしまうときも正常ではありません。人間の体力が極端に消耗してしまったりしているとき、あるいは人が亡くなるときの現象です。
頻呼吸、除呼吸、無呼吸とは
頻呼吸=bpmが24~25回を超えたとき。呼吸自体がかなり浅いものになります。浅いとは1回の換気量が減るということです。
これはさまざまな呼吸疾患や、緊張や興奮などの心理的に異常な状態の変化が引き起こします。
除呼吸=bpmが12回以下の場合を除呼吸といいます。除呼吸とはゆっくりした呼吸の意味です。頻呼吸の逆で1回の呼吸は深くなることがほとんどです。この症状では脳圧亢進時、あるいは麻酔時に起こるケースがあります。
無呼吸=鼻、口からの気流が10秒以上停止する状態と定義されています。これは普通の呼吸で息を吐ききったときの状態のままが10秒以上続きます。よく耳にする睡眠時無呼吸症候群という疾患がこれに当たります。
異常な呼吸数はどんな疾患か
呼吸数でわかる正常な状態と異常な状態というものがあります。普段からあまり呼吸数などに問題がない方で、運動したり階段を急に昇り降りしたわけでもないのに20回以上の呼吸数をカウントしたら異常を疑います。
これは疾患や代謝疾患などがあるケースが疑われます。また極端な呼吸の乱れは肺や心臓の異常、脳の異変などの可能性もあります。
もちろん、呼吸数だけでは即座に判断はできません。でもどこか身体の異常で空気が吸えないか何かの現象のあらわれですから、前述したバイタルサインのデータなど持参して病院に行き診療を受けるのが賢明です。
まとめ
「生きること」の基本となる呼吸数の話
呼吸数はどう測るのか?
バイタルサイン
呼吸数の正常値
呼吸数で判断する異常
頻呼吸、除呼吸、無呼吸とは
異常な呼吸数はどんな疾患か