「コレステロールが低い場合の身体への影響と数値改善法について(前編)」では、コレステロールの役割についてご説明いたしました。後編では、 コレステロール が 低い 場合の身体への影響についてお伝えいたします。
コレステロールが低い場合の身体への影響と数値改善法(後編)
コレステロールが低い場合の身体への影響
実際に、コレステロールが低い場合にはどうなるのか考えてみます。
コレステロールが低い状態が続くと、それを原料としている副腎皮質ホルモン、胆汁、細胞膜などが正常に保たれない状態になり、血管や細胞がもろくなり出血しやすくなります。
胆汁酸の生成ができなくなると、食べものを消化しにくくなり、胃もたれやエネルギー不足の不快症状の原因になります。
コレステロールが低い状態になる人の5つの傾向
1つ目は、コレステロール値が低いということは、消費エネルギーが激しすぎるということが考えられます。毎日激しい意運動を行う方や、重度な肉体労働の方は摂取する栄養素と消費カロリーがアンバランスである可能性があります。
2つ目は、必要なエネルギー自体が栄養不足の場合があります。肉や魚や卵など、動物性食品の摂取量が少ないと、エネルギー不足になり、コレステロールが下がる原因になることがあります。
コレステロールは、ほとんど肝臓で作られており、食事から補充できるコレステロールは20%程度といわれています。肝臓が健康な状態であることも大切なのですが、体内で作られるものを待つのではなく、食品やサプリなどで補充することはとても大切なことです。
3つ目は、低下カロリーのものばかりを食べている状態の方です。女性はダイエットなどで高カロリーのものをさけ、低カロリーのものを選んでしまいますが、極端な食事制限は身体に必要な栄養素すら摂取できていない状態になるため、とても危険です。
4つ目は、ベジタリアンの場合です。野菜だけ食べれば健康であると思われるのですが、必要な動物性たんぱく質は野菜からは摂取しにくいものです。
栄養不足、低栄養によりコレステロール値は下がり、ウイルスや感染症にかかりやすくなり病気の原因にもつながってしまう可能性も少なくありません。
5つ目は、病気がひき起こしている場合です。たとえば、甲状腺機能亢進症というものがあります。甲状腺機能亢進症とは、甲状腺ホルモンがたくさん分泌されることで全身の代謝が高くなる病気です。甲状腺ホルモンはコレステロールを酸に変える働きがあります。
たくさんの甲状腺ホルモンが分泌されると、肝臓で作られたコレステロールが胆汁酸に変わってしまうことでコレステロールが低くなるのです。
また、肝疾患がある場合も低くなる可能性があります。コレステロールは肝臓で合成されて血中に供給されますが、アルコールなどの過剰摂取により肝臓の機能が落ち肝疾患になると、肝臓でコレステロールが合成されなくなり、コレステロール値も低い状態になります。
コレステロールがいかに大切な役割をしているかが、おわかりいただけましたでしょうか。
コレステロールが高い場合にはとんでもなく危険な病気が潜んでいたり、病気の予備群で治療の対象になると考えられているものだと、コレステロールは低いと安心、むしろ低いぐらいが良いのではないかという錯覚に陥ってしまいます。それは大きな間違いです。
低いということでの医師からの指導もほとんどない中で、基準値にきちんと戻していくことはとても大変です。
隠れた病気がある場合は、原因となる病気の治療を始める必要があるということですし、病気ではないとわかっている場合では、生活習慣の改善を考える必要があります。
健やかに毎日を過ごすには、定期健診などに行き、自分の身体の中の状態を知ることも大切であると思われます。
まとめ
コレステロールが低い場合の身体への影響と数値改善法(後編)
コレステロールが低い場合の身体への影響
コレステロールが低い状態になる人の5つの傾向