「高脂血症(前編)」では、高脂血症とはどのような病態であるのか、また高脂血症の診断基準はどのようなものなのかをご紹介しました。後編では、 高脂血症 の管理目標、そして治療法についてご紹介します。主な治療は食事、運動、そして薬物療法となります。
高脂血症(後編)
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高脂血症の管理目標値
高脂血症(前編)のように高脂血症の治療の目的は心筋梗塞・狭心症、脳梗塞、そして閉塞性動脈硬化症といった動脈硬化性疾患を予防することです。そのために、特にLDLコレステロールの治療目標数値は個人個人の“動脈硬化性疾患の起こりやすさ”によって変えるようになっています。
以下にガイドラインに沿って説明します
まず一度でも心筋梗塞や狭心症を起こしたことがある人はLDLコレステロール100mg/dl未満にすることが目標です。心筋梗塞・狭心症の既往がない人でも、脳梗塞(ただし心臓が原因の脳梗塞は除く)や閉塞性動脈硬化症を患っている、もしくは糖尿病・耐糖能異常や慢性腎臓病(CKDとも呼ばれています)と診断されている人はLDLコレステロール120mg/dl未満が目標です。
上記に該当しない場合にも目標値があり、以下の危険因子に基づいて設定されます。危険因子とは性別、血圧、総コレステロール値、喫煙歴、低HDLコレステロール血症(40mg/dl未満)、第1度近親者が比較的若年(男性55歳未満、女性65歳未満)で心筋梗塞・狭心症を起こしている、といった項目です。
具体的な設定の方法はやや複雑ですので、かかりつけの先生に設定してもらうとよいでしょう。なおHDLコレステロールとトリグリセライドの管理目標値は全ての人に共通で、HDLコレステロール40mg/dl以上、トリグリセライド150mg/dl未満に設定されています。
ただしガイドラインには補足事項として、75歳以上の人にはこのガイドラインを適用できないと記されています。注意してください。
高脂血症の治療
食事療法と運動療法、そして薬物療法(くすり)が治療の基本になります。高脂血症の治療薬については別項を参照してください。
食事療法としてコレステロールの多い食品(卵の黄身、たらこ、レバーなど)や動物性脂肪、そして甘いもの(糖分)をひかえめにすることが大切です。糖分を過剰に摂取すると中性脂肪が増加し、HDLコレステロールが低下するからです。
食物線維やビタミン(ビタミンE、C、β-カロチンなど)は積極的に摂取するようにしてください。喫煙によりHDLコレステロールが低下することと、喫煙が動脈硬化性疾患の危険因子であることから、禁煙は必須です。
まとめ
高脂血症(後編)
高脂血症の管理目標値
高脂血症の治療