くも膜下出血という死亡率の高い病気を発症したものの無事に生還できたら、次に目指すのは社会復帰であり、できる限り自分の力で生活できる状態への回復ですが、そのために必要なのがリハビリです。
くも膜下出血 の後遺症と リハビリ について考えてみましょう。
くも膜下出血後のリハビリについて
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くも膜下出血後の注意点
くも膜下出血から生還しても、しばらくは危険な状態が続きますので、集中治療室等の急変にも対応することのできる体制での管理が必要です。
最も大きなリスクは脳動静脈瘤の再破裂等による再出血ですが、他にも脳血管れん縮や水頭症といった合併症が発生するケースもあり、発症から1~2週間程度は注意が必要です。
くも膜下出血後の リハビリ開始はいつごろ?
通常はできるだけ早くリハビリを開始することが推奨されますが、くも膜下出血の場合には前述のようなリスクがありますので、まずは生命の維持が優先されます。
危険な状態を脱して病状が安定したと医師が判断すればベッド上でのリハビリを開始しますが、発症から4日~14日経過してから行うのが一般的です。
くも膜下出血の後遺症とリハビリテーション
くも膜下出血は救急搬送時に2割から3割が死亡してしまう危険な病気ですが、無事に生還できたところからリハビリテーションが始まります。くも膜下出血でも人によってその状態は様々ですから、個人個人に合わせて必要なリハビリテーションを行っていきます。
くも膜下出血の後遺症で多いものに神経障害がありますが、運動や嚥下、言語、視覚、認知など様々な機能に影響が及んできます。
また、治療のために寝たきりの状態が続くことで、身体の様々な機能が衰えたりする廃用症候群が起こってしまいます。リハビリテーションで全ての機能を回復させることは難しいですが、日常生活に必要な機能を可能な限り回復できるようにします。
運動機能のリハビリテーション
運動機能に障害に対しては、理学療法士や作業療法士と共に日常生活に必要な動作を中心とした訓練を行っていきます。必要な動作には、起き上がり・座位保持・立ち上がり・歩行といった基本的なものから、食事・着替え・入浴・排泄などの複雑な動きのものまで様々なものがあります。
麻痺などがある場合には完全に元通りの機能を回復することは難しいですが、早期にリハビリテーションを開始することで、ひとりで日常生活をおくることができるように段階を追って様々な訓練を行います。
言語機能と嚥下のリハビリテーション
言語機能と嚥下の障害に対しては、言語聴覚士と共にリハビリテーションを行っていきますが、患者の状態に合わせた食事形態での飲み込み練習などを行います。
喋る・咀嚼する・飲み込むといった動作は、複雑な動きが組み合わさっていますので、専門家のアドバイスを受けながら少しずつ進めていきます。
言語機能と嚥下機能は、食事やコミュニケーションといった生活の中での大きな楽しみになる部分ですので、自分で食べたいものを食べたりコミュニケーションを取れるようになることは、その後の生活においてとても重要なものとなります。
視覚と認知に関するリハビリテーション
くも膜下出血の後遺症の中には視覚や認知に関するものもあり、視野狭窄や認知機能の低下によって日常生活での危険を察知したり避けたりする能力が低下している場合があります。
失われた機能そのものは戻らないことが多いですが、機能低下を本人が自覚したうえでまわりに気を配る訓練をすることで、危険を察知する能力を補います。自宅での生活に戻るために、とても大切なリハビリテーションと言えます。
退院後のリハビリ
リハビリは退院したら終わりではなく、ずっと継続していきます。体が動かしづらいからと動かずにいると、身体機能はどんどん低下していってしまいますので、いかに毎日継続して訓練していくかが重要です。
つまり、退院後のリハビリは、病院のリハビリ室だけで行うものではなく、生活の全てがリハビリとなるのです。
日常生活での様々な動作をできるたけ家族に頼らず自分で行ったり、毎日歩いたりといったことをさぼらずに継続することは、機能回復や維持のためにとても大切なことです。
より活動的な生活を心がけて生活の中に様々な楽しみをみつけていくことは、自然なリハビリとなりますのでおススメです。
まとめ
くも膜下出血後のリハビリについて
くも膜下出血後の注意点
くも膜下出血後の リハビリ開始はいつごろ?
くも膜下出血の後遺症とリハビリテーション
運動機能のリハビリテーション
言語機能と嚥下のリハビリテーション
視覚と認知に関するリハビリテーション
退院後のリハビリ