平成26年1年間の脳血管疾患で亡くなった方は全死因の上位から4番目となっています。このうち、くも膜下出血で亡くなった人は1万2,662人という結果です。
くも膜下出血の特徴は、比較的若い方も発症しやすいことや、再発しやすいということです。今回はそんな くも膜下出血 の 生存率 について説明したいと思います。
くも膜下出血の生存率をご存知ですか?
くも膜下出血とは?病態、症状、治療について
くも膜下出血とは、脳の表層を覆う膜の1つであるくも膜の下に出血が起こることを言います。原因は、脳動脈瘤の破裂がほとんどとされています。他の原因としては、脳動静脈奇形からの出血や、頭部外傷によって引き起こされることがあります。
症状としては、突然起こるひどい頭痛です。それと同時に吐き気や首の後ろのこりなどを感じる事があります。重度であればひどい頭痛の直後意識を失いそのまま死亡してしまうこともあるようです。
また注意が必要な合併症として、くも膜下出血後、2週間以内は脳血管攣縮があります。これは、脳の血管が収縮することによって血流が悪くなる現象です。
重症化すると、脳梗塞などを起こしてしまう可能性がある危険な合併症です。そのためくも膜下出血後は脳血管攣縮を予防するため血管拡張剤を使用し血流を保つような対応が行われます。
また、脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血の場合、再破裂予防のため可能であれば手術を行うことがあります。
手術には大きく分けて2種類の方法があり、1つ目はクリッピングという動脈瘤の付け根を洗濯ばさみのようなもので止める方法があり、2つ目は脳の血管に細いカテーテルを通し、動脈瘤の部分にコイルを入れ動脈瘤をふさぐ方法があります。
くも膜下出血の生存率はどの程度?
くも膜下出血は初回の出血で約30%の方が亡くなります。その後4週間以内に合併症などの影響も加わり、約50%の方が亡くなるようです。そして10年以内では60~80%の方が亡くなるとされています。
長期的にみると、10年以内の生存率は20~40%ということになります。この数字を見ると合併症や再出血の影響も受けて、生存率はかなり低下してしまうことが分かります。
生存率を上げるには?
くも膜下出血の生存率は先ほども触れたように発症後だんだんと低下してしまいます。そのため一番大切なのはくも膜下出血を未然に防ぐことです。
特に加齢とともに脳動脈瘤は増加しやすくなりますし、家族にくも膜下出血の方がいた場合はよりリスクが高まります。そこで脳動脈瘤の早期発見が重要であり検査の方法として脳ドックというものがあります。脳ドックとは、血液検査や尿検査も含め脳の検査を行います。
脳の検査としては、MRIやMRAといったものがあります。MRIは脳の状態を写真のように見ることができる検査であり、MRAは脳の血管の様子を見ることができる検査になります。
脳ドックで病気が見つからない限り保険は適応できませんが脳の病気の早期発見にはとても有用とされています。脳ドックの料金についてはそれぞれの病院で異なりますので事前に確認しておくと安心です。
もし脳ドックで未破裂の脳動脈瘤が見つかった場合、その時の状態にもよりますが経過を観察する場合や、手術をする場合があります。手術については、先ほどもお話ししましたように、クリッピングと動脈瘤の中にコイルを入れてふさぐ方法があります。
このように早期発見できれば破裂を未然に予防することができます。50歳以上の方や、家族に脳動脈瘤があった方は定期的な検査を受けてみてはいかがでしょうか?
まとめ
くも膜下出血の生存率をご存知ですか?
くも膜下出血とは?病態、症状、治療について
くも膜下出血の生存率はどの程度?
生存率を上げるには?