くも膜下出血 は死亡率の高い危険な病気ですが、手術を行うということは、再出血を防ぐことで回復が期待できると医師が判断したからです。
手術前後の状態や手術の目的などを知ることによって、 手術後 の状態や経過など病気への理解を深めましょう。
くも膜下出血の手術後ってどんな状態なの?
くも膜下出血の手術前の状態
くも膜下出血は、脳動脈瘤などが破れたりすることによって、脳とくも膜との間に出血が起こる病気であり、時には出血によって脳の一部を破壊して脳内出血を伴うこともあります。
軽度であれば、激しい頭痛や嘔吐はありますが、意識ははっきりしていることもあります。しかし、重度の場合には大量の出血によって脳圧が一気に上がって意識を失ったり、体が麻痺したり、さらには呼吸や心拍が停止してしまうことがあります。
患者のうち約3割~5割は死亡すると言われている恐ろしい病気です。
くも膜下出血の場合、現に出血している状態では手術をすることができません。脳内で出血がおこった場合、血管の周りに血液が溜まると血管は自然に収縮するため、出血箇所には一時的に「かさぶた」のようなものができて止血された状態になります。
そして、ここからさらに24時間以内に再破裂する可能性がとても高く、再出血したときの死亡率は非常に高いのです。
手術の目的とは?
くも膜下出血の手術の目的は、まず一つ目が脳動脈瘤からの再出血を防ぐことであり、二つ目が血腫をできるだけ取り除いて合併症を防ぐこと、そして三つ目が脳圧のコントロールです。
つまり、くも膜下出血の患者に対して行われるのは、一旦止血した状態の脳動脈瘤に対して再出血を防止するための手術であり、脳がこれ以上のダメージを受けないようにするための手術なのです。
そのため、手術が行われるかどうかという判断は、手術をして回復する見込みがある状態かどうかという点がポイントになります。
手術後はどのような状態なのか?
手術は主に開頭による脳動脈瘤クリッピング術が行われますが、血管内にカテーテルを通して行う手術の場合もあります。手術によって脳動脈瘤からの出血を防ぐことができれば、当面は再出血の危険はなくなったと考えられます。
そして、開頭手術であれば、できる限り血腫も取り除き、髄液などが溜まることによって脳圧があがること防ぐため頭蓋内から排液のための管を設置します。このような処置によってかなりリスクは軽減されますが、それでもまだ合併症危険は残っています。
血管攣縮などの合併症について
手術によって血腫の多くは取り除かれ、留置した管から生理食塩水や薬剤を入れて洗浄を続けることにより、重大な合併症である血管攣縮のリスクはかなり軽減できると思われます。しかし、それでも完全ということではなく、相変わらず血管攣縮による脳梗塞や急変の危険は残っています。
そして、脳の手術は無菌操作で行われるとはいえ、現実的に無菌状態を保つということは不可能です。免疫力の低下などの要因があれば、重大な感染症がおこるリスクも当然ながら大きくなってしまいます。
手術後の経過について
手術後の経過がどうなるかは、脳の損傷がどの程度であったのかによって大きく分かれてきます。意識がある状態で比較的軽症であれば、手術と投薬によって後遺症も残らずに社会復帰できるケースも多く、全体のうち約3割と言われています。
そして、約2割は何らかの後遺症が残ってしまいますが、これには発症時の意識状態との関連が大きく、意識状態が悪かったケースでは後遺症が残ってしまうことが多くなります。
くも膜下出血を発症した人のうち、手術の対象になるのは約半数であり、残りの半数はすでに死亡しているか回復の見込みのない状態と言われています。こん睡状態になっているような状態であれば、かなり厳しいと言わざるを得ないでしょう。
まとめ
くも膜下出血の手術後ってどんな状態なの?
くも膜下出血の手術前の状態
くも膜下出血の手術とは?
手術後はどのような状態なのか?
血管攣縮などの合併症について
手術後の経過について