厚生労働省により発表された「平成25年人口動態統計の年間推計」よると、日本人の主な死因理由として第1位に悪性新生物(ガン)があげられ、続いて2位心疾患、3位肺炎、4位脳血管疾患があげられました。
今回4位にあげられた脳血管疾患の中にはくも膜下出血も含まれますが、 くも膜下出血 は発症すると生存率が30%とも50%ともいわれる死亡率の高い病です。また、処置が遅れると後遺症や再出血の危険性を残します。
今回は、くも膜下出血とはどのような病なのかご紹介します。
致死率の高いくも膜下出血って、どんな病気なの?
原因
くも膜下出血は、脳の動脈にできたコブのような脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)の破裂、または生まれつき持っている脳動静脈奇形(のうどうじょうみゃくきけい)からの出血や頭を怪我する頭部外傷により発症します。
発症部位は、脳を覆う硬膜(こうまく)、軟膜(なんまく)、くも膜の3枚の膜のうち、くも膜の下で出血を起こした状態をくも膜下出血と呼びます。
くも膜下出血は、血縁内で発症することが多く、血縁者に脳卒中(脳梗塞、くも膜下出血、脳出血)を起こした方がいる場合は特に注意が必要となります。
症状
脳動脈瘤の破裂
よく「ハンマーで殴られたような強烈な痛み」、「雷に打たれたような頭痛」と表現する方が多いように今までに経験したことのないような突然の激しい頭痛におそわれます。
脳動静脈奇形からの出血
最も多い症状はけいれん発作です。その他、出血部位により頭痛や吐き気、嘔吐、意識障害があらわれます。
出血量が多い場合には、意識がなくなり病院へ到着する前に亡くなる方もいます。
治療
脳動脈瘤の破裂により発症したくも膜下出血の場合は、再破裂を予防するため手術を行います。手術法は、クリッピング手術やトラッピング手術、コーティング手術、カテーテルによるコイル血栓術があげられます。
ですが、もっとも多く行われる手術は、動脈瘤に対して行われるクリッピング手術です。
最近では血管内手術といって細いカテーテルを血管内へ挿入しコイルを入れ動脈瘤の内側へつめる血栓術「カテーテルによるコイル血栓術」を行うケースもあります。
手術の選択方法は動脈瘤の部位や大きさ、年齢、合併症などを考慮した上で決定します。ですが、重症の場合は手術が行えないこともありますので、くも膜下出血に気づいたらすぐに脳神経外科のある病院を受診してください。
後遺症
出血した部位や出血量、治療に至るまでの経緯や時間に応じて症状や後遺症は異なります。
軽度な場合は、発症前とほぼ同じような生活を送ることもできますが、後遺症が残る場合は、体のどこかに麻痺(まひ)が残ることや言語障害、記憶障害、運動障害、感覚障害、視野障害、嚥下障害などがあらわれこともあります。
主に、うまく言葉が理解できない、言葉がうまく話せない、空間認識がうまくできない、視野がせまくなる、食事をうまく飲み込めないなどの後遺症が残ります。
もし発症したら?
突然の激しい頭痛やけいれん、嘔吐、意識障害があらわれたら迷わず救急車を呼びましょう。くも膜下出血は1分1秒を争う発作です。
救急車を待つ間、意識があるのか確認しベルトやネクタイを緩め平らな場所に寝かせましょう。また、窒息の危険性があるので嘔吐物が口の中に残っていないかよく確認し、呼吸をしやすいよう体を横向きにしましょう。
症状が軽い場合は歩行や会話も可能ですがで、きるからといって無理に体を動かしてはいけません。
くも膜下出血は早急な治療を必要とする病気ですので、すぐに救急車を呼びましょう。
まとめ
致死率の高いくも膜下出血って、どんな病気なの?
原因
症状
治療
後遺症
もし発症したら?