くも膜下出血は、突然発症し死に至る病だと考えられています。発症すると3分の1の方が亡くなり、3分の1の方には後遺症などの障害が残ると言われています。ですが、くも膜下出血を発症した方の30%ほどには前兆症状がみられます。
今回は、 くも膜下出血 の前兆となる 症状 となりやすい人の特徴をご紹介します。
くも膜下出血の前兆となる症状と高リスク群
くも膜下出血の原因
脳を覆う硬膜(こうまく)、くも膜、軟膜(なんまく)のうち、くも膜の下に出血を起こしている状態をくも膜下出血とよびます。
出血を引き起こす原因は、主に脳の動脈にできたコブのような脳動脈瘤が破裂することです。次の原因は、生まれつき持っている脳動静脈奇形(のうどうじょうみゃくきけい)が破裂することにより出血を引き起こすものです。そして、頭部外傷によるくも膜下血腫などがあげられます。
未破裂動脈瘤
くも膜下出血は、脳にできた動脈瘤が破裂することにより発症しますが、まだ破裂していない動脈瘤を未破裂動脈瘤(みはれつどうみゃくりゅう)といいます。この未破裂動脈瘤があることにより異常な症状があらわれることがあります。また、未破裂動脈瘤から少し出血することを「警告出血」といいます。
では、未破裂動脈瘤や警告出血によりどのような前兆症状があらわれるのでしょうか。
前兆症状
くも膜下出血の前兆症状は未破裂動脈瘤が周辺の神経を刺激するためおこります。もし、くも膜下出血の前兆症状があらわれたらすぐに病院を受診しましょう。
警告頭痛
くも膜下出血が起きる前段階として動脈瘤から少量の出血がみられ、動脈瘤が神経を圧迫し軽度の症状があらわれることがあります。その場合、多くあらわれる症状は頭痛です。頭痛の程度には個人差がありますが、前兆としてあらわれることの多い症状から警告頭痛とよばれます。
高血圧や血圧の乱れ
くも膜下出血が起きる数日前から血圧の乱高下を繰り返したのち、くも膜下出血を発症するケースがみられます。高血圧の方や血圧の乱高低がみられる場合には注意が必要となります。
目の異常
物が見えにくい、視野が欠ける、物が二重に見える、まぶたが下がる、目の痛みなどの症状があらわれます。
頭の違和感
頭がボォーとするモヤモヤするという症状があらわれます。
その他
めまいや吐き気を覚えることもあります。
血栓により起こる症状
未破裂動脈瘤の中の血液の固まり(血栓)により、片麻痺や体の片側のしびれ、呂律がまわらない、物が見えにくい、めまいなどの症状があらわれます。
これらの前兆症状はすぐに治ってしまいますが、数日後に大きな発作が起こる可能性もありますので早めに医療機関を受診しましょう。
くも膜下出血を発症しやすい人(高リスク群)
家族や親族の病歴
くも膜下出血は、同じ家系内で発症することの多い疾患ですので親や親族、兄弟の中に脳卒中(くも膜下出血、脳出血、脳梗塞)を起こした人や未破裂動脈瘤がある人がいる場合は、特に注意しましょう。
高血圧
高血圧の人は動脈瘤にかかる圧力が高くなるため破裂の危険性が高まります。
総コレステロール値の上昇
総コレステロール値が上昇することにより血圧が高くなり、くも膜下出血を含めた脳卒中を引き起こす原因となります。
喫煙
日常的な喫煙は、くも膜下出血の最大のリスクとなります。喫煙者と非喫煙者を比較した場合、喫煙者がくも膜下出血を起こすリスクは2.2倍~3.6倍となります。
輸血歴
輸血歴がどのように関係するのかまだ判明していませんが、輸血歴がある男性とそうではない男性とを比較すると4.2倍もリスクが高まります。
ストレス
ストレスは、血管を傷つけるため発症のリスクを高めます。
女性ホルモン
女性の場合60歳以降からくも膜下出血を起こしやすくなることから、女性ホルモンの分泌量の減少が影響しているのではと推測されています。
予防対策
特に高リスク群に該当する方は日常での予防対策が必要です。日頃から塩分を控えるなど野菜を多く摂取するようにしましょう。また、大量のアルコール摂取もくも膜下出血の要因となりますのでお酒はほどほどにしましょう。血圧の高い方は普段から血圧をコントロールし、喫煙をする方はなるべく禁煙を心がけるようにしましょう。
そして、血圧の乱高下や突然の頭痛、目の痛みや視界の異常、頭がボォーをするなどの前兆症状があらわれたら必ず脳神経外科を受診しましょう。
まとめ
くも膜下出血の前兆となる症状と高リスク群
くも膜下出血の原因
未破裂動脈瘤
前兆症状
くも膜下出血を発症しやすい人(高リスク群)
予防対策