高血圧や糖尿病、肥満など生活習慣病が原因となる 狭心症 は、心臓の重要な血管が動脈硬化で徐々に狭くなり、運動などの負荷がかかった時に胸痛で発症します。
早めに 治療 をしないと心筋梗塞になる可能性があり、命が危険にさらされることもあります。
狭心症の治療は早くしないと命に関わることも
狭心症とは?
心臓は1日に100万回以上も拍動し、全身に血液を送っています。もしその心臓の血管が完全に閉塞してしまうと心筋梗塞になり、心臓の筋肉に十分な酸素が運ばれず壊死してしまい心不全となります。
心不全になると体に十分な血流と酸素が行かなくなり、結果的に他の臓器も動かなくなります。この心筋梗塞になる手前の病気を狭心症と言います。
心臓の血管が動脈硬化などの原因で狭くなってしまい、階段の昇り降りや軽い運動をした時に一時的に血液の流れが悪くなり、胸痛を感じます。
狭心症の原因
動脈硬化の原因となるものが、狭心症の原因となります。つまり、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満などの生活習慣病は危険因子(リスクファクター)です。
また喫煙、運動不足や男性であること、心臓病(冠動脈疾患)の家族歴、閉経後もリスクと言われています。閉経後は女性ホルモンであるエストロゲンが低下し、血液中のコレステロールが上昇しやすくなり、動脈硬化の抑制効果も低下するためです。
狭心症の症状
胸痛や胸の違和感を訴えることが多いですが、糖尿病だと痛みの感覚が低下しており自覚がないこともあります。他には奥歯や背中、肩が痛くなることや、吐き気を感じることもあります。
狭心症の検査
まず心電図をとりますが、狭心症の症状は一時的なため発作時(症状が出ている時)でなければ所見がないこともあります。
そのためホルター心電図といって、体に心電図を測定できる機械を貼り付けて24時間分のデータを取ったり、わざと負荷をかけて発作を起こして確認するトレッドミル検査なども行います。
その他には、採血や血圧測定、心臓超音波検査、冠動脈造影検査を行います。冠動脈造影検査は、造影剤を使用することで実際に狭くなっている心臓の血管を同定することができます。
狭心症の治療
狭心症の治療は大きく分けて、3つあります。薬物療法、カテーテル・インターベンション、バイパス手術です。
薬物療法
まず発作時には緊急で血管を広げなくてはいけないため、ニトログリセリンやニトロールの舌下錠(すぐ効くように舌の下に入れます)やスプレーを使用します。
発作が出ていない時には心臓や全身の血管を広げて負担を軽くする血管拡張薬を使用します。具体的には硝酸薬やカルシウム拮抗薬です。
その他には、ベータ遮断薬と言って交感神経の作用を抑制し、血圧と脈拍を同時に下げ心臓の負担を減らす薬があります。これらの薬を2~3種類組み合わせて使用することが多いです。
また血栓を抑え、動脈硬化を抑制する目的でアスピリンやパナルジンを併用しますが、血小板の働きを抑える効果のため出血しやすくなるので注意が必要です。
カテーテル・インターベンション
冠動脈造影検査と同様に足の付け根の血管からカテーテルを入れて、造影剤を使用しながら狭くなった血管を同定します。
狭くなった血管にカテーテルが到達したら、バルーンと呼ばれている風船を膨らませて血管を広げます。バルーン以外にも狭くなった血管の壁にこびりついたコレステロールのかたまりを削る動脈硬化切除術もあります。
局所麻酔で行える治療ですが、術後の不整脈や足の太い血管からカテーテルを入れているので出血が心配なため、入院して行います。
バイパス手術
全身麻酔で行う手術で、狭窄部より末梢の心臓の血管と心臓の元となる大動脈を体の違う部分から取ってきた血管でつなぎます(バイパスします)。
狭窄部がカテーテル・インターベンションでは難しい場所にあったり、危険を伴うと判断した場合や、複数の血管が狭くなっている時は、この手術が必要になります。バイパスに使用する血管は足の静脈、胸、腕、胃の動脈になります。
狭心症の予防
狭心症の原因は生活習慣病に起因するものが多いため、日々の生活を見直すことによって防ぐことができます。
例えば高血圧に対しては、塩分の摂りすぎを注意したり、糖尿病や肥満に対してはカロリー制限やバランスの良い食事、適度な運動をするといいでしょう。禁煙をして、現代では難しいかもしれませんがなるべくストレスのない生活をして十分な睡眠をとることも大切です。
まとめ
狭心症の治療は早くしないと命に関わることも
狭心症とは?
狭心症の原因
狭心症の症状
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狭心症の治療
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