労作時に起こり、安静後数分で消失する胸のしめつけや圧迫感が 狭心症 の典型的な 症状 です。ただし症状やその表現は人によってさまざまで、背中や歯、肩、胃などに異常を訴える場合もあります。
さらにまったく自覚症状がない狭心症も存在し、無症候性心筋虚血と呼ばれています。一方で程度・頻度が悪化している狭心症、そして新しく症状が出現した狭心症は、不安定狭心症と呼ばれる特に注意が必要である病態です。
狭心症の症状(前編)
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狭心症症状の個人差
階段を昇るなど体を動かしたときに症状が出て、安静にすると数分で症状がなくなるのが狭心症(特に労作性狭心症。詳しくは狭心症の項をごらんください)発作の典型例です。
ただしこの症状の感じかた、あるいは症状の表現はかなり人によってバラエティーがあります。その程度も重症感にあふれるように言う人から、ごく軽度の“違和感”と訴える人、さらには後述のように自覚症状が全くない狭心症患者さんまでいます。
しばしば狭心症は胸が痛くなる病気と思われていますが、実際には下記のような言葉で表現する人が多い疾患です。ただし“胸が痛い”と訴える狭心症患者さんも確かに存在しています。
なお狭心症と心筋梗塞は同じ虚血性心疾患(詳しくは狭心症の項を参照してください)であることもあり、症状が似通っています。ただし心筋梗塞の方が狭心症に比べて症状の程度がより激烈である、あるいは持続時間がもっと長いことが通常です。
よくある狭心症の症状
胸が“ギューっと”しめつけられる感じがする、胸が押さえつけられる(海外の教科書には胸にゾウが乗ったような感じ!?と書かれているものがあります)、胸が焼ける感じと、いった表現をされることが代表的です。
“胸が痛い”と表現する場合でも、胸の“奧の方が”痛いと言う人が多い印象があります。異常を感じている場所は真ん中から左胸ぐらいの位置で、手のひらくらいの範囲の“だいだいこのあたり”といった訴え方をすることが典型的です。
一方、自分の指で異常を感じている部位を“ここがおかしい”とピンポイントで指し示すことができる場合には、狭心症は少ないとされています。
ただし手のひらくらいの範囲の違和感でも狭心症ではないこともありますし、逆にピンポイントの異常を訴える狭心症の人もまれではありますが、存在します。
さらに左ではなく、右胸に症状を感じる人だっています。上記の典型例はあくまでも代表例であり、違うから狭心症ではないとは決して言うことができないことに注意してください。
後編では典型的ではない狭心症の症状や不安定狭心症、無症候性心筋虚血についてご紹介致します。
まとめ
狭心症の症状(前編)
狭心症症状の個人差
よくある狭心症の症状