「狭心症には定期検査が大事ですよ(前編)」では、狭心症とはどのような病気か、また症状別にみた狭心症のタイプをご紹介しました。後編では、 狭心症 の原因や 検査 、治療方法、予防方法などをご紹介します。
狭心症には定期検査が大事ですよ(後編)
狭心症の原因になる動脈硬化
狭心症の原因が動脈硬化にあることは前編からご理解いただけましたでしょうか。それでは、その動脈硬化を促進する因子を挙げてみます。これらに対策を打つことで、狭心症から少しで遠ざかることが出来るでしょう。
LDL(悪玉コレステロール)、中性脂肪が高い高コレステロール血症。HDL(善玉コレステロール)、高血圧症、糖尿病、喫煙、運動不足、肥満などで、本人の努力でコントロールできますので、一考を要します。
狭心症の検査
狭心症は安静時の心電図には異常が出ないのが特徴なので、トレッドミル(運動負荷試験)を使い、運動負荷をかけた上で心電図の変化を見ます。
ホルダー心電計は異型狭心症のように夜間や明け方に起こるものに対して、24時間心電図を取り付け、異常を見出します。
運動負荷試験や24時間ホルダー心電計で異常が見つかった場合で、狭心症が疑われた際に冠動脈造影を行います。これは、多くの治療法がある中で、患者さんに最適な治療法を決めるためのもので、足の付け根や肘の動脈からカテーテルを血管内に入れ、冠状動脈に造影剤を注入して、冠状動脈の状態を撮影し、最終診断をいたします。
最近では、CT撮影からコンピュータで画像処理を行い、冠状動脈の状態を3次元で診ることができます。
狭心症の予防と治療
狭心症で大事なことは、発作が起きないように予防することです。労作性狭心症では誘因となる運動を避けます。といって、何もしないわけにはいきませんので、医師の指示を受けて、適度な運動は行います。精神的なストレスも誘因になりますので、不安感が強いときには精神安定剤の処方が望まれます。
発作の治療については、労作性狭心症については、労作の大元をやめれば、数分以内に治まりますが、精神的な興奮が原因に場合は、長引く可能性もあります。
安静狭心症の発作は長引く傾向にあり、それだけでなく、心筋にダメージを与え、心筋梗塞や不整脈を引き起こす可能性もあるので、発作を抑えることが重要になります。
発作が起きた場合は、硝酸塩―ニトログリセリンなどを舌下投与します。実際の治療に当たっては、薬物療法、カテ-テル・インターベンション、バイパス手術などが行われます。
薬物療法
日常生活に注意をしながら、硝酸塩、交感神経ベータ遮断剤、カルシウム拮抗剤を用います。労作性狭心症の場合は交感神経ベータ遮断剤、硝酸塩。安静時狭心症の際にはカルシウム拮抗剤。両方ある場合は3剤を併用します。
カテーテル・インターベンション
冠動脈にバルーンのついたカテーテルを挿入、狭窄部にバルーンを膨らませて拡げるカテーテル・インターベンション(経皮経管式冠動脈形成術)、あるいはカテーテルの先についた特殊な鉋で盛り上がったところを除去する動脈硬化切除術の実施が増えています。
また、バルーンで拡げた後、ステントと言ってコイル状の金属を留め置く方法もあります。
冠動脈バイパス手術
薬物療法、カテーテル・インターベンションが不可能な場合の選択肢として、自分自身の下肢の静脈を取り出し、それを大動脈と冠動脈との間のバイパスとして、狭窄部分を回避した血流を確保します。
狭心症と診断されたら、まずは専門医の診断を受けるのは当然ですが、原因となる危険因子である、禁煙、高血圧症、高脂血症、糖尿病、痛風などがある場合は、塩分、脂肪分、糖分、肉食、アルコールの摂取を抑えます。
特に高齢者では、典型的な胸部の圧迫感や絞扼感とは違って、息切れ、動悸、胸部の重苦しさ、心窩部通や頚腕症候群のような症状を訴える場合が多いので注意を要します。
まとめ
狭心症には定期検査が大事ですよ(後編)
狭心症の原因になる動脈硬化
狭心症の検査
狭心症の予防と治療