急性膵炎 は中高年の男性に多い病気ですが、重症になると多臓器不全などによって死亡してしまうこともある怖い病気です。どのようにして急性膵炎になってしまうのか、そしてならないためにはどうすればいいのか、見落として手遅れにならないためにどうすればいいのかなどご紹介します。
急性膵炎は重症化すると怖い病気です
そもそも膵臓の役割とは?
急性膵炎のことをご紹介する前に、そもそも膵臓とは体の中でどのような役割を果たしている臓器なのか考えてみましょう。
膵臓は、血糖値をコントロールするためのホルモンを分泌する臓器であり、そのホルモンには血糖値を下げるインスリンと、血糖値を上げるグルカゴンとがあり、血糖値のコントロールという重要な役割を果たしています。
もし膵臓の機能不全によってインスリンが分泌されなくなってしまうと糖尿病になってしまうなど、重大な問題がおこってしまいます。
そして、膵臓は消化機能においても大切な役割を果たす側面も持っており、さまざまな消化酵素を含む膵液を分泌しています。膵液に含まれるアミラーゼは炭水化物を、リパーゼは脂肪を、トリプシンはたんぱく質を分解するなどの役割を果たします。
また、膵液は膵臓から十二指腸に分泌されますが、その手前では胆のうから出る胆管と合流しており、胆のうや胆管、肝臓に異常がある場合には膵臓に影響を及ぼすことになります。
急性膵炎とはどんな病気?
急性膵炎は、その名前のとおり膵臓が急性の炎症をおこす病気ですが、膵臓から分泌される膵液によって膵臓そのものが溶けてしまうことによっておこります。
通常、膵臓は膵液によって溶けないように守られていますが、それがうまく機能しなくなったときに膵炎を発症してしまいます。その主な原因はアルコールと胆石症であり、原因がよく分からないものも約2割ほどあります。
また、膵液は時にまわりにある他の臓器も溶かしてしまうことがあり、ショック状態や敗血症を併発して危険な状態になってしまうこともあります。
他の病気と間違えやすい?
急性膵炎の主な症状は上腹部の激痛や嘔吐、食欲不振、腹部膨満感などですが、個人差があって症状のあらわれ方もさまざまです。そして、胆石症などと症状が似通っているために発見されにくく、治療開始が遅れて重症化してしまうようなケースもあります。
また、消化器が専門でない医師の診察を受けて治療が遅れ、重症化してしまうこともありますので、上記のような症状がある場合には検査設備が整った医療機関で消化器内科の医師に診断してもらうことが大切です。
急性膵炎に対する治療とは?
急性膵炎と診断された場合には、ほとんどが入院での治療となります。飲食は膵臓を刺激して急性膵炎を悪化させてしまうため、治療には絶飲食が必要であり、炎症によって大量に水分を失っているために輸液を多く投与する必要があります。
比較的軽症の急性膵炎であれば、このような治療のほか蛋白分解酵素阻害薬の投与によって多くの場合は軽快します。
しかし、重症の場合には炎症性物質が全身にまわり、ショックやDIC、多臓器不全、敗血症などを併発することもあるため、集中治療が可能な医療機関で早急に治療を行う必要があります。
そのため、現在では厚生労働省より急性膵炎重症度判定基準というものが出されており、発症から24時間以内に判定を行います。このような取り組みや治療方法の確立により、急性膵炎による死亡は減少してきていますが、それでも9%という高い死亡率となっています。
急性膵炎にならないためには?
急性膵炎の主な原因はアルコールと胆石症ですので、まずはこれらの要素を排除することが効果的です。アルコールや脂っこい食事を多く摂っている人は、食生活の改善を行うことが必要でしょう。
特に、アルコールが原因で膵炎になったことのある人の場合には、しっかりと禁酒を行うことが大切です。少しよくなるとまた飲酒をしていては、再発を繰り返したり、慢性膵炎に発展する可能性もあります。
まとめ
急性膵炎は重症化すると怖い病気です
そもそも膵臓の役割とは?
急性膵炎とはどんな病気?
他の病気と間違えやすい?
急性膵炎に対する治療とは?
急性膵炎にならないためには?