慢性腎不全 は腎臓の機能が長期間に渡って少しずつ失われていくため、目立った 症状 が現れないうちに進行してしまうことも多い病気です。
失われた腎臓の機能はほとんど回復することが期待できませんが、早期に治療を開始することで進行を遅らせたり腎機能を維持することは可能です。わずかな症状を見逃さず、専門医を受診することが大切です。
慢性腎不全の症状について
慢性腎不全による夜間頻尿
慢性腎不全の症状のうち、比較的早期から出るのが夜間頻尿の症状です。本来なら夜間は腎臓が尿を濃縮して尿量を少なくしたり水分の調整をしますが、慢性腎不全になるとその機能がうまく働かなくなり、寝ている間も頻繁にトイレに行くようになってしまいます。
他の病気が原因の場合もありますが、夜間頻尿があれば慢性腎不全を疑ってみる必要があります。
慢性腎不全による電解質異常
慢性腎不全が進んでくると、水分の調整だけでなく電解質の調整もできなくなってしまい、血液中のナトリウムやカリウムの濃度が高くなってしまいます。
ナトリウムは塩分となり、水分と一緒になって体液が過剰になってしまいます。これがむくみとなって現れ、高血圧を招き、さらに進行して、うっ血性心不全、肺水腫となってしまいますので注意が必要です。
また、高カリウム血症は手足のしびれや不整脈などが起こるようになってしまいますが、それを放置して高カリウム血症が高度になると心臓が止まってしまいますので注意が必要です。
慢性腎不全による貧血
腎臓は、赤血球が減るとエリスロポエチンという造血を促すホルモンを出して赤血球を増やそうとしますが、腎機能が低下するとこの働きが失われてしまいます。
こうなってしまうと、赤血球が減ってもホルモンが出ず、徐々に貧血が進行してしまいますが、このようにして起こる貧血のことを腎性貧血といいます。
検査をしないと貧血に気付かないことが多いため、息切れや疲労感、脱力感などといった自覚症状があり、検査してみたら慢性腎不全による貧血だったということもあります。慢性腎不全は目立った症状がないため、こういった症状があるときには念のため血液検査をしてみるというのも大切です。
慢性腎不全による尿毒症
慢性腎不全が悪化してくると、腎臓にある糸球体のろ過機能が働かなくなり、血液中に老廃物が溜まってきます。すると血液中には蛋白質を分解するときに出来る窒素代謝産物の尿素窒素、クレアチニン、尿酸などの濃度が上昇し、高窒素血症になってしまいます。
高窒素血症の状態でもあまり症状が現れないことが多いですが、これが腎臓の糸球体に更に負担をかけ、慢性腎不全の状態を悪くしてしまいます。更に腎機能が失われてくると、臓器や組織などに様々な障害が起こり、体液異常による症候群が起こってくるようになることを尿毒症といいます。
尿毒症にはいろんな症候がありますが、主なものを挙げてみると以下のようなものがあります。
- 呼吸困難
- 肺水腫
- 神経障害
- 意識障害
尿毒症により酸性物質が過剰な状態になると、体は代謝性アシドーシスという二酸化炭素を排出することで解消しようとするため、呼吸が激しくなり、呼吸が苦しく困難な状態になります。
また体液過剰が進行すると、うっ血心不全となり、行き場の無くなった体液が肺に溜まり、肺水腫となります。さらに、尿中の毒素は筋肉や神経を損傷して神経障害を起したり、意識障害やけいれん発作を起したりする場合もあります。
慢性腎不全による骨異栄養症
慢性腎不全が進むと、カルシウムの吸収に必要なビタミンDの活性ができなくなり、血中のカルシウムが不足してしまいます。すると、それをなんとかしようと副甲状腺ホルモンの濃度が上昇し、骨からカルシウムを吸収して血中のカルシウム濃度を保とうとしますので、骨がスカスカの状態になってしまいます。
また、リンの排泄不良により高リン血症となり、リンは血中のカルシウムと一緒になって体の様々な組織に沈着し、血管や心臓の弁などの組織での石灰化を起してしまいます。こういったことにより骨折しやすくなったり、骨格の変化、骨や関節の痛みなどが生じることを骨異栄養症といいます。
まとめ
慢性腎不全の症状について
慢性腎不全による夜間頻尿
慢性腎不全による電解質異常
慢性腎不全による貧血
慢性腎不全による尿毒症
慢性腎不全による骨異栄養症