高齢者における死亡率の高さに、がんに次いで心疾患があげられています。高齢者は、高血圧や糖尿病などを持病として患っている方が多く、それらが起因のひとつだとされています。特に 胸 の 真ん中 に 痛み を感じたら、狭心症かもしれません。
今回は高齢者が特にかかりやすい疾患でもある狭心症についてご紹介していきます。
放っておくと危険!胸の痛みは狭心症のサイン?
胸の痛みは狭心症かも?
胸が痛む原因には、さまざまな病気が隠れている可能性がありますが、その中のひとつに狭心症があげられます。虚血性心疾患と呼ばれるもののひとつである狭心症は、場合によっては心筋梗塞に移行する可能性のある危険な疾患です。
高齢者の場合、もともとの持病が起因していることの他に、痛みに対する感覚が鈍くなっており、痛みの訴えが少ない為に受診が遅れることが度々あります。
狭心症は、通常であれば胸の圧迫感やしめつけを感じますが、中には無症候性心筋虚血と言って痛みがない場合があります。こう言ったことから重症化したり、最悪の場合死に至るケースがあるようで、実際心筋梗塞による高齢者の死亡率は、若い人の2~3倍と言われています。
狭心症でみられる胸の痛み方とそのタイプ
狭心症には、大きくわけて安定型と不安定型の2つのタイプがあげられます。
安定型の狭心症の多くは、労作狭心症と呼ばれるもので、冠状動脈の硬化により十分な血液が心臓に送られず胸の痛みが出現します。急に身体を動かしたり、寒い場所に出た際に胸の痛みがでる場合は労作狭心症の可能性が高いと言えます。
痛みの回数が安定している、同じような状況で痛みが出る、薬でコントロールが可能である、安静にしていれば症状が治まる、と言った場合には安定型狭心症に分類され、生命に関わるようなことはありません。
不安定型の狭心症の場合は心筋梗塞に移行する危険があり、安静狭心症と呼ばれるものの多くがこれに該当します。冠状動脈が痙攣することにより、血液の流れが減少したり、一時的に流れなくなってしまうことで、胸の痛みが出現します。
就寝中、とくに明け方に胸の痛みが見られることが特徴です。薬で症状が治まらない、胸の痛みを強く感じる、痛む時間が長くなったり回数が増える、身体を動かしていない時にも症状がでる、などの場合には不安定型の狭心症の可能性があります。
いずれにせよ、胸の圧迫感や、締め付けられるような痛みが見られる場合にはそのままにせず、すみやかに病院受診しましょう。
狭心症と心筋梗塞の見分け方
通常、狭心症の場合は我慢できる程度の痛みがほとんであり、10分程安静にしていれば改善します。狭心症でみられる痛み方は放散痛と言って、胸の真ん中が痛んだり、胸全体が締め付けられるような痛みがでたり、左肩から腕に痛みがでたりと、広範囲に症状がみられるのが特徴的です。
しかし心筋梗塞の場合は、胸が急に締め付けられるような激しい痛みが30分以上みられます。中にはあまりの痛みの強さに意識を失うほどの深刻なものもあげられます。
しかし、心筋梗塞と非常に良く似た症状が出る、全く別の病気の可能性もありますので、いつもと違う痛みが出た際には必ず医師の判断を仰ぎましょう。
胸の痛みがない狭心症
最初にあげたように、狭心症には無症候性心筋虚血と言って痛みが出ない場合があります。
無症候性心筋虚血の場合、Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型の3つのタイプにわけられています。
Ⅰ型・・・胸の痛みはないが、検査によって狭心症や心筋梗塞と診断されるものをさします。なかには突然、心筋梗塞の重い発作が起きたり突然死するものも含まれます。
Ⅱ型・・・心筋梗塞を発病、回復後に、痛みなどの症状はないものの心電図で心筋虚血を示すもの。発作を繰り返すことで痛みに対する感覚が鈍くなっていることが原因です。
Ⅲ型・・・狭心症の症状と無症候性心筋虚血が合併している場合があげられます。自覚しているよりも症状が重いことが多いようです。
高齢者の場合、加齢であることの他にも、持病として糖尿病があったり、認知症などにより症状が出なかったり、また周囲からも判断がつきにくいことが多く見受けられます。
本人のみならず、関わっている人はそのサインを見逃さず日々の体調管理を行うこと、また定期的な検診を受けることが早期の発見・予防につながると言えます。
まとめ
放っておくと危険!胸の痛みは狭心症のサイン?
胸の痛みは狭心症かも?
狭心症で見られる胸の痛み方とそのタイプ
狭心症と心筋梗塞の見分け方
胸の痛みがない狭心症