「 寝たきり度 」という言葉は、あまり聞かないかもしれませんが、正式名称はもっと聞きなれない「障害高齢者の日常生活自立度判定基準」といい、医療や介護の分野で利用されています。
身近では介護保険の申請時に、要介護認定調査の一次判定に使用されているものです。
聞きなれない言葉「寝たきり度」を意識しての生活
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準
『生活自立』
「ランクJ」 何らかの障害等を有するが,日常生活はほぼ自立しており独力で外出する
「J1」交通機関等を利用して外出する
「J2」隣近所へなら外出する
『準寝たきり』
「ランクA」 屋内での生活はおおむね自立しているが、介助なしには外出しない
「A1」介助により外出し、日中はほとんどベッドから離れて生活する
「A2」外出の頻度が少なく、日中も寝たり起きたりの生活をしている
『寝たきり』
「ランクB」屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位を保つ
「B1」車椅子に移乗し、食事、排泄はベッドから離れて行う
「B2」介助により車椅子に移乗する
「ランクC」 一日中ベッドの上で過ごし、排泄、食事、着替において介助を要する
「C1」自分で寝返りをうつ
「C2」自分では寝返りもうたない
(平成3年11月18日 老健第102-2号 厚生省大臣官房老人保健福祉部長通知を改定)
ADL(Activity of Daily Living)の評価と寝たきり度
ADLという言葉はときどき聞かれるようになってきましたが、ここで一度詳しくご説明すると、Activity of Daily Livingの略で「日常生活動作」のことです。つまり日常の生活の基本的な行動である、食事、排泄、更衣、入浴、整容などのことなのです。
それらの行動がどのような状態にあるのかを評価することが「ADLの評価」ということになり、リハビリを行うときの参考にしたり、要介護認定の一次判定に使用されたりします。ADLをできるだけ高く保ち続けることにより、寝たきり度のランクは維持向上されます。
寝たきりを予防するために意識しておくこと
「寝たきり」とはまだ自分や家族には関係ないと思っていても、ふとしたことから急激に状態が悪化して寝たきり度を進行させてしまうことがあります。
例えば、J-1の「何らかの障害等を有するが,日常生活はほぼ自立しており独力で外出する」「交通機関等を利用して外出する」が可能な、自立していた人が、転んで大腿骨を骨折をして入院、手術をして安静にした場合、手術後に医師から動かすように指示が出たにもかかわらず、「痛いから」などの理由であまりリハビリをしなければ、すぐに歩くことが困難になってしまいます。
手術後の経過がよくて退院した後も「痛いから」「寒いから」などの理由で自宅のベッドにいる時間が長くなると、あっという間にA-1の「準寝たきり」にランクが下がってしまいます。
「寝たきり」も判断基準によると、全く寝た状態のままうごかない人だけを指すのではなく、座ることができる人も当てはまるので、動けるのに一日中ベッドにいると、あっという間にランクBの「寝たきり」まで下がってしまう可能性があります。(寝たきり「ランクB」屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位を保つ)
骨折以外にも脳梗塞などによるマヒが出たときにも同様のことが言えます。寝たきり予防を意識してリハビリを行うことで、動き方が違ってくるので、ADLをできるだけ高く保つことができれば、寝たきり度のランクを維持向上できるのです。
これらのことを頭にいれておき、いざというとき、しっかり意識して日常生活動作を行うか行わないかで状態はかなり変わってきます。寝たきりを予防するためには、本人が意識して身体を動かすことが一番なのです。
そして、本人だけでなく周囲の家族も協力して、意識して自立を支援する気持ちを持ち、援助しすぎないということも必要になってきます。できる行動を奪っていて、知らないうちに寝たきり度を上げてしまっていないか、意識してみることが大切です。
まとめ
聞きなれない言葉「寝たきり度」を意識しての生活
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準
ADL(Activity of Daily Living)の評価と寝たきり度
寝たきりを予防するために意識しておくこと