認知症は誰でもかかりうる身近な病気の1つです。厚生労働省は認知症とその予備軍であるMIC(軽度認知障害)の人口は862万人存在すると発表しています。
これは65歳以上の4人に1人の割合です。 認知症 の症状とタイプ、 ケア について取り上げます。
よく耳にする認知症とはどのような病気?ケアの方法は?
認知症とはどのよう病気?
認知症には認知症の本質(脳細胞の障害)に起因する中核症状とその症状を取り巻く行動・心理症状とも言われている周辺症状(BPSD)の2つがあります。
中核症状とは脳の認知機能が低下した人であれば誰にでも起こる症状です。物忘れや時間、場所、人物の認識が難しくなる、理解や判断力の低下、脳の損傷による失語、失認、失行等の症状があります。周辺症状(BPSD)は中核症状で起こる記憶障害や判断力の低下が引き起こす不安や混乱のあらわれです。
入院や転居といった生活環境の変化、骨折や貧血といった体の変化があると周辺症状が出やすく、ひどくなりやすい傾向があります。
症状としては、食事を食べない、食べられない、飲み込めない、介護者による介助を拒否する、暴言や暴力、どこともなくあちこち歩き回る(徘徊)、昼夜逆転や昼夜関係なく寝たり起きたりする(睡眠障害)、食べ物でないものを口に入れたり食べてしまう(異食)、無気力や無関心、落ち込み(うつ、抑うつ)、幻視や幻聴、時間や場所がわからなくなる、幻覚が生じたり錯覚や妄想にかられる(せん妄)、物盗られ妄想、便をもてあそぶ(ろう便)が挙げられます。
周辺症状(BPSD)はおよそ9割の認知症の方に発生し、介護者の負担が大きいものです。
認知症の症状とタイプ別の対応方法
アルツハイマー型認知症とは、認知症の中心を占める代表的な疾患で全体の5割がこの病型です。脳内にアミロイドΒ(ベータ)と呼ばれる特殊なタンパク質が蓄積することにより脳の神経細胞が壊れ、脳が萎縮するものです。
特に側頭葉にある海馬と呼ばれる記憶を司る部位が萎縮しやすく物忘れが目立つようになります。少し前のことを覚えていない、なんども同じことを言う、年相応の物忘れだったのが6ヶ月くらいかけて徐々に悪化するなどの症状があります。
対応としては、大原則として本人を否定しない、現実とのギャップを極力感じさせないことが大切です。
レビー小体型認知症とは、レビー小体と呼ばれる特殊なタンパク質が脳内に蓄積することで神経細胞が壊れさまざまな症状を引き起こします。物忘れよりも幻視という特徴的な症状が現れることも特徴です。
ありもしない物、動物や人が見える、明晰な時とぼんやりしている時が極端、動作が遅く転倒しやすいパーキンソン症状があるなどの症状があります。
対応としては、幻視については本人にとっっては実際に見えているのでその事実を受け入れることが大切です。薄暗いところでは幻視を誘発しやすいので照明に気をつけましょう。
脳血管性認知症とは、アルツハイマー型の次に多いとも言われる代表的な病型です。原因は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳卒中、生活習慣病など脳自体が変性するのではなく、なんらかの疾患や外傷の影響を受けて発症します。
注意散漫、段取りができない、〇〇し忘れる等の症状がみられます。アルツハイマー型認知症が健康な女性に発症しやすいのに対して動脈硬化が進んだ男性に多い病型です。
対応としては、まだら症状や感情の起伏が激しくなるといった特徴を介護者が正しく理解しておくことが大切です。
前頭側頭型認知症とは、若いうちから発症しやすい若年性認知症の1つです。記憶障害の進行は目立ちにくい一方で、理性的な振る舞いを保ちにくくなる特徴があります。
普通なら赤面するような行動をしても平気、いつも同じ行動をする、抑制が効かないなどの症状があります。対応としては、人格の変化や反社会的な行動についてあくまでも脳機能の障害と割り切ること、常同行動(同じ行動を取ろうとすること)は強引にやめさせないことが大切です。
早期発見、早期治療が大切!
健常者と認知症の中間であるグレーゾーンの軽度認知症障害(MCI)を放置すると、1年で5%が認知症に移行すると推定されています。認知症は本人のみならず、家族にも身体的、精神的、経済的な負担が大きく、さらに医療、社会、経済的なサポートが必要になります。
MCIの段階での早期発見を行うことにより、認知症の進行を食い止めることができます。また、早期の段階で認知症を発見することで本人、家族が本人の意思を尊重する形で将来のことをゆっくりと考える時間的余裕を作り、本人を支援する体制を整え、備えることができます。
まとめ
よく耳にする認知症とはどのような病気?ケアの方法は?
認知症とはどのような病気?
認知症の症状とタイプ別の対応方法
早期発見、早期治療が大切!