認知症が進行したときの大変さはだんだん世の中に浸透してきました。身内が認知症になったとき、どんな対応をするべきなのかは指導を受けなければ大変難しいことです。そんな中、2005年に日本認知症ケア学会認定の認知症ケア専門士が誕生しました。
そこで、 認知症 ケア 専門士 とはどういうものなのかご説明していきます。
ご存知ですか?「認知症ケア専門士」という資格
認知症とは
「認知症とは、一度正常に達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態を言い、それが意識障害のないときにみられる、国際的に広く用いられている認知症の判断基準として世界保健機関によるICD-10や米国精神学会によるDSM-Ⅲ-RおよびDSM-IV-TRがある。」
とあるように、脳の認知障害によって社会生活が困難になった状態のことです。
中核症状という、脳の神経細胞が壊れることで直接おきるもの忘れなどの症状と、BPSDという、かつて周辺症状という言い方をしていた、周りの人との関係の中でおきてくる行動や心理症状があります。
BPSD(行動・心理症状)はとくに、興奮して暴力をふるったり、幻覚がみえたり、徘徊があるなど、対応に困るケースが多いため、家族からの相談に応えたり、施設でよりよい介護をするためには専門性を持った対応が必要ということで、認知症ケア専門士が誕生したのです。
認知症ケア専門士とは
認知症ケア専門士とは、認知症ケアに対する優れた学識と高度な技術、および倫理観を備えた専門技術士を養成し、わが国における認知症ケア技術の向上ならびに保健・福祉に貢献することを目的として設けられた資格です。
第1回認定試験は2005年に行われ、受験者5,121人に対し合格者2,445人、合格率49.4%という結果でした。それ以来毎年1回試験が行われ、10年後には43,433人、現在では全国で5万人以上の認知症ケア専門士が誕生しています。
認知症ケア専門士の資格を持つ人は介護福祉士の割合が一番多く、続いて介護支援専門員(ケアマネージャー)、ヘルパー、看護師、福祉住環境コーディネーター、社会福祉士、作業療法士(OT)、精神保健福祉士、理学療法士(PT)、栄養士、保健師、言語聴覚士(ST)、医師、その他となっています。
また、2009年より「認知症ケア上級専門士制度」が実施され、認知症ケアでのチームリーダーや地域におけるアドバイザーとして活躍できる専門士として創設された上級専門職である「認知症ケア上級専門士」が誕生しています。2016年実施の第8回認知症ケア上級専門士認定試験の合格者は111人となっています。
認知症ケア専門士の仕事内容
認知症ケア専門士の実際に行う業務の内容は介護から相談業務にまで多岐にわたりますが、例えば社会福祉士は相談業務、介護福祉士は介護業務というようには決められていない資格です。
受験資格には実務経験が必要なので、介護福祉士や介護支援専門員の資格をすでに持って現場で働いている人がサブ的な資格として持っていることが多いと思われます。
資格をとるためには、認知症ケアの基礎、認知症ケアの実際Ⅰ:総論、認知症ケアの実際Ⅱ:各論、認知症ケアにおける社会資源の4分野をそれぞれ70%以上の正解を目指して勉強するため、認知症の対応・ケアについてはかなり実力が上がります。
グループホームなどの実際の介護現場でスキルがアップしたり、認知症の家族からの相談業務に的確に応えられるようになると考えられます。
認知症ケア専門士がいる施設・団体
認知症ケア専門士は現在、北海道、東京都、大阪府では2,000人以上、埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県、兵庫県、福岡県、熊本県では1,000人以上、群馬県、静岡県、広島県では1,000人足らず、まだ少ない県でも100人以上は全国で活躍しています。
認知症ケア専門士のいる施設・団体は、病院、訪問看護ステーション、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、小規模多機能ホーム、デイサービス、居宅介護支援事務所、介護タクシーなど多岐にわたっています。
ホームページでお住まい県を選択しての地域の施設・団体を、検索できるようになっているので、近くで利用しやすい施設を調べてみることをおすすめします。
まとめ
ご存知ですか?「認知症ケア専門士」という資格
認知症とは
認知症ケア専門士とは
認知症ケア専門士の仕事内容
認知症ケア専門士がいる施設・団体