「認知症は治る?~現在の認知症治療とこれからの展望について(前編)」では、高齢化にともなう3種類の認知症と薬物療法についてご説明いたしました。
後編では、認知症を発症するメカニズムをご紹介いたします。 認知症 は、ips細胞を使った創薬や細胞治療により 治る 可能性のある疾患ともいわれています。
認知症は治る?~現在の認知症治療とこれからの展望について(後編)
普段からの認知症予防を大切に
認知症は、遺伝的要因、環境的要因、疾患的要因など多くの要因によって起こるともいわれています。個人差はありますが、アルツハイマー型認知を起こしやすいアミロイドβと言われるたんぱく質は、蓄積すると二度と減らないといわれています。
通常、インスリン分解酵素がアミロイドβを増やさないようにアミロイドβを分解する役割をもちますが、運動不足による筋力不足や糖尿病などによって血糖値が異常に上昇し、インスリンが多く分泌されてしまうと、インスリン分解酵素がインスリンを分解するだけで精一杯になってしまいます。
結果、インスリン分解酵素がアミロイドβを分解するまで手が回らなくなりアミロイドβを蓄積する原因となってしまうといわれています。これらを予防するためにも。普段から炭水化物のとりすぎに注意したり、適度な運動習慣を取り入れるようにすることが大切です。
認知症は何も高齢になって起こるわけではなく、こういった身体に悪影響を及ぼす要因によって40代で起こるといわれる若年性認知症につながっていくこともあるのです。なので、日ごろの食生活の見直しや生活習慣の見直しをすることで認知症は予防できるといえます。
認知症の治療薬ができる?!認知症医療の展望
アメリカのワシントン大学の最新研究では、認知症の原因であるアミロイドβとタウ(脳細胞を死滅させるたんぱく質)が蓄積し、認知症が発症するまでの脳の変化が解明したといいます。
研究によると、アミロイドβは25年前から、タウは15年前から蓄積されるのだそうです。この2つのたんぱく質が脳に蓄積することによって、海馬の萎縮がはじまることがわかり、認知症発症の過程が解明されたというのです。
この結果を経て、アミロイドβの蓄積防止やタウの蓄積防止をどのようにするかの議論が研究者たちの間で行われています。ただ、アミロイドβは認知能力の低下とは関係していないという説もあるので、必ずしもアミロイドβの蓄積予防が認知症治療に結びつくとは限らないともいわれています。
しかし、現在、ips細胞を使った創薬や細胞治療によってもしかしたら近い将来、認知症の根本的な治療方法が解明される可能性もあるともいわれているので、今後の認知症医療の展望は少しずつ見えてきているかもしれません。
本人のケアと家族のケアを大切に~社会的な認知症理解の必要性~
現段階では、根本治療が見えないといわれる認知症。家族による認知症の家族のケアも大切ですが、何よりも大切なのは介護をする家族がストレスをためないことです。
認知症は個人差はあっても誰でもが将来的に、もしかしたら事故によってなり得る障害です。まずはそれを知り、もしなってしまったとしても本人を叱ったり諌めたりしないことがとても大切です。何よりも、一人の家族に介護負担をさせないことを心がけましょう。
例えば奥さんや特定の家族に介護を任せっぱなしにしてしまわず、今、本人がどういう状態なのかを夫や他の兄弟に知ってもらうことがとても大切です。
そして、社会福祉協議会、医療機関などの相談できる人や機関を利用してデイサービスやケアホームなどの介護施設に任せることも必要です。
これからも増え続ける高齢化問題、そして認知症。こういった社会問題を専門機関や地域社会で連携し理解しながら受け入れていく体制を整え、考えていくことが今後とても重要になるのではないでしょうか。
まとめ
認知症は治る?~現在の認知症治療とこれからの展望について(後編)
認知症の治療薬ができる?!認知症医療の展望
本人のケアと家族のケアを大切に~社会的な認知症理解の必要性~