黄疸とは 血液中や組織にビリルビンという黄色の色素が固着して、目の白目や皮膚の色が黄色くなるという症状を呈することです。しかし黄色人種である日本人はもともと肌が黄色ですからほとんど分かりません。便が白くなる、あるいは体がかゆくなるという症状もあらわれます。
黄疸とはビリルビンという色素がかかわった症状です
黄疸とビリルビンの関係
黄疸とは、赤血球が寿命(大体120日くらい)を終えて分解される段階で老廃物(胆汁色素)としてできるビリルビンという黄色の色素が何らかの原因で大量に血液中及び組織中に含まれるために体の皮膚や目の白目に固着することです(皮膚粘膜が黄色に染まる)。
通常ビリルビンは毒素があり、水に溶けにくい性質があります。これを体の外に排出するために肝臓で毒素を抜き、水に溶けやすい処理を行います。これによって肝臓から出る胆汁に溶けて、胆管という管を通って体外に排せつされます。これが繰り返されています。
この時、肝臓で処理される前のビリルビンを間接ビリルビン、肝臓で処理された後のビリルビンを直接ビリルビンといいます。
このメカニズムの途中で何らかの原因で異常をきたし、ビリルビンが体外に排出されないことで黄疸という症状になります。
黄疸は血液検査でいろいろな情報が得られます
血液検査で黄疸か否かがわかります。患者さんから採血した血液を採血管に入れてしばらく放置成しておくと血液が自然に固まります。
さらに放置すると、血液成分(赤血球、白血球)の濃い赤色の餅のような固まり(血餅という)が採血管の下の方に溜り、その上には淡い黄色の液体成分とに分離されます。この分離した黄色い液体成分が血清です。正常な血清はきれいな淡い黄色をしています。
この血清中に含まれる淡い黄色の色素がビリルビンという成分です。血清中に含まれるビリルビンの量が増えると血清の黄色が濃くなり、これで黄疸と判定されます。皮膚や白目が黄色くなるのはこの段階です。
いろいろな原因により赤血球が壊れると血清が赤味を帯びます。これを溶血といいます。
この血液に含まれるビリルジンが正常な場合は1mg/dl以下ですが、3mg/dl以上ですと黄疸と認識されます。
ビリルビンとは
赤血球の中にヘモグロビンという物質があり、これが取り入れた酸素や排出すべき二酸化炭素を運ぶ役割をしています。ビリルビンはこのヘモグロビンのいち部が代謝(化学反応)されてできたものです。
冒頭で述べましたように赤血球には寿命があり大体120日で脾臓や肝臓で壊されてしまいます。その時に一緒にヘモグロビンも壊れ、ビリルビンができます。
このビリルビンは血液の流れに乗って肝臓に運ばれ、肝臓でグルクロン酸という物質と結合して胆汁として胆管を通って体の外に便として排出されます。便が黄色なのはそのためです。
ビリルビンの役割
ビリルビンは血液中のヘモグロビンの分解で生成されます。ヘモグロビンには体に必要な鉄分が含まれていますので、分解して回収しなくてはなりません。
また胆汁はビリルビンを含んだ時に、胃酸を中和して膵液や腸液が働きやすいようにアルカリ性にするためにビリルビンの窒素部分を使っています。
黄疸の種類
肝細胞性黄疸
肝硬変、肝炎により肝細胞が障害をおこすと黄疸という症状が出ます。アルコールや薬剤、肝炎ウイルスなどで肝臓の細胞がダメージを受けるとことにより黄疸となります。
新生児黄疸(生理的黄疸)
生まれてから2~3日後にあらわれ、7日間くらいで自然に消失します。ほとんどの新生児(90%くらい)にみられる症状です。
赤血球が破壊されると分離したヘモグロビンはビリルビンに変化して肝臓から排出されますが、新生児にはこの機能が弱いために黄色い色素のビリルビンが大量に生み出されて肌が黄色くなるわけです。
母乳性黄疸は母乳だけ飲んでいる新生児で生後1か月経っても黄疸の症状が消えない場合のことを言います。母乳に含まれる女性ホルモンが肝臓の酵素の働きを弱めるために新生児の体内でビリルビンの処理が遅れてしまい黄疸症状が出ます。
肝後性黄疸(閉塞性黄疸)
胆汁がどこかの部位で閉塞して、そのために黄疸となります。胆汁の流れが閉塞すると強い掻痒感(そうようかん 強いかゆみのこと)があります。
溶血性黄疸(肝前性黄疸)
あまり一般的な黄疸ではありません。遺伝的な疾患や毒蛇などの溶血毒が体に入った時に見られます。
肝実質性黄疸
肝細胞がたくさん破壊されてビリルビン交換作業に支障をきたしている状態のことで、急性肝炎の時の黄疸にみられます。
まとめ
黄疸とはビリルビンという色素がかかわった症状です
黄疸とビリルビンの関係
黄疸は血液検査でいろいろな情報が得られます
ビリルビンとは
ビリルビンの役割
黄疸の種類