今回は「リハビリテーション病院(以下 リハビリ病院 )」について解説を進めていきます。
リハビリという言葉自体はどなたでも耳にしたことがあるかもしれません。年配の方が自宅、あるいは外出先で転倒したり、若い方でもお知り合いが交通事故の後で治療したなどと聞けば、リハビリという言葉は容易に連想されます。
それほどリハビリという言葉は現代社会では非常に身近な言葉となりました。
リハビリを個人で行うケースがないわけではありませんが、多くの場合は「リハビリ病院」で治療を施します。
では、「リハビリ病院」とはどんな病院なのか解き明かしていきましょう。
リハビリ病院は多様化する時代にあわせて進化を遂げています
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そもそもリハビリ病院とは
社会が整備されていくほど、逆に想定しない事故などに遭遇することは決して珍しくありません。それが幸運を伴ったことであるなら大歓迎なのですが、不測の事態や脳梗塞などの思わぬ大病などが元で後遺症が残るケースも多々あります。
今回の「リハビリ病院」はそれらさまざまな事故や病気で完治しなかった障害を、身体的だけではなく、心理面、社会的な側面、ひいては経済的な面でその方々の回復を最大限まで果たしていこうという狙いを持っています。
リハビリ病院は全国に何件くらいあるのか?
平成19年(2007年)10月1日の診療科目別施設数の統計を見ると、1位の内科が7186施設とトップで、以下リハビリ病院(またはリハビリテーション科を有する)ものは5,123施設(30位)となっています。
この数字は現代においてもかけ離れた数字ではなく、したがって全国的にリハビリ病院の施設数が「希少」であるとはいえません。
多くのリハビリ病院はADLの改善を目指している
前述のように、リハビリ病院やリハビリ科のある病院の大半は、最終的な日常生活動作(ADL)の改善を目的とした回復期リハビリ病院で、急性期病院から転院する患者が多いのが通常です。
ここでいう急性は広い意味合いをもちますが、脳卒中などの脳血管疾患、家の中で階段から落ちたり風呂場で転倒する、運動または交通事故や作業中などでの大腿骨骨折とか外傷などによって脳や脊髄を損傷したことを含めます。
リハビリ病院では患者を集中的に管理指導し、寝たきり(持続的植物状態など)にならないよう、そして早期に通常の生活へ復帰するために入院する病院と考えてよいでしょう。
入院できるケースとできないケース
実は後遺的な障害と一口に行っても、診療的には軽度から重いものがありそれぞれケース・バイ・ケースとなっています。
そして、その状況次第では本人が希望しても入院が受け入れられないこともあります。これは病院ごとに決められているのではなく、厚生労働省がすべての基準を作り決定されていることなのです。
例えば、発症からの日数を最長2ヶ月以内、入院期間は最長で180日。また平均入院期間は68日間(2012年2月現在)などです。
ただし、基準も微妙な部分では医師次第という側面も否めません。すべての疾患においてどのような状態でどう対処すべきなのかは医学上専門的な判断ができる医師の見解に任されています。
あくまでも患者本人やご家族の方が入院を強く希望しても、実際には医師の診断次第では入院できないこともあるのです。
患者の生活に即した治療またはトレーニング
結論から述べるとこれは千差万別といっていいでしょう。それはなぜか?ひとつには後述の研究の多様化、そして治療対象者(患者)の日常生活に大きな幅があるからです。
リハビリ病院ではADL復帰のためにリハビリ室などを設置し、さまざまな機械類などを使って早期回復を目指すことは一般的です。
しかし、常識的には患者の自宅にはそのような機械が設備されているケースはほとんどないでしょう。リハビリ病院はその意味で特殊な空間なのです。
実はその辺りも考慮して最近のリハビリ病院には、軽い散歩ができるように緩やかな傾斜や蛇行、または微妙な段差、固い土面や砂利を敷いた細い道などを院内に設置するところも出現してきました。
これがリハビリ室だけのトレーニングだけで終わらず、あくまでも現実的な日常生活復帰を目指すという観点から近年大きく変化してきたことです。
先進的な治療の研究など
最近は「加圧トレーニング」などもあります。筋肉への血流を体に圧力を加えることである程度制限し、結果的に筋肉への負荷を大きくすることによって成長ホルモンの分泌を促します。
このトレーニングを繰り返すことで、比較的短時間で想定外の筋力や筋肉増強を達成できたという実例もあるそうです。
このように、リハビリテーションそのものは日々研究と工夫の必要な診療科目で、それこそリハビリ病院それぞれが効果的なトレーニング・メソッドを開発している途上でもあります。
まとめ
リハビリ病院は多様化する時代にあわせて進化を遂げています
そもそもリハビリ病院とは
リハビリ病院は全国に何件くらいあるのか?
多くのリハビリ病院はADLの改善を目指している
入院できるケースとできないケース
患者の生活に即した治療またはトレーニング
先進的な治療の研究など