身体的な機能が低下している障害者は社会的に不利という図式ではなく、障害者の内在する能力を最大限引き出し、開発してさらに発展させる支援や体の不自由さが残っていても安心して生活できるような支援など、これが リハビリテーション の意義です。
リハビリテーションは機能回復だけが目的ではありません
最近のリハビリテーションの考え方
従来のリハビリテーションの考え方は、病気やケガあるいは老化現象などのさまざまな原因によって生じた心身の障害に対して、その障害を元の状態に戻すための訓練のことを言っていました。
現在では、この障害を元に戻すということだけでなく、障害を持った人が障害を持ったまま障害を持っていない人達と普通に生活できるようにする支援やよりよい人生を送れるようにする支援、そして本人の希望に応じて残された能力を最大限引き出すような支援や1人1人に合った生活能力の開発の支援などの各種の支援を加味することが最近のリハビリテーションの考え方です。
リハビリテーションは元の生活を取り戻すために支援することであると同時に、体の不自由さが残っていても安心して生活ができるような社会の構造を変えていくような活動も含まれています。
理学、作業、言語聴覚の3つの療法
医師が患者1人1人の病態に合わせてリハビリテーションの種類を選択します。
理学療法(PT)
運動療法や物理療法のことを言います。何らかの疾病、傷害に起因する後遺症を持った人に対して、基本的な動作能力の改善を行うのが運動療法です。
基本的動作能力とは筋力アップや立位(1人で立つことが難しい人に対する治療)、歩行(歩行補助具を使っての歩行訓練)などのことです。
物理療法とは、温熱、水力、光線、電気などの刺激を与えて治療する方法でマッサージも含まれます。
また能力障害が残っていてもさらに筋力強化や関節可動域を増加させて運動能力のアップを行い、日常生活活動を改善するための指導も行います。
さらに、社会生活をする上で不利と思える要素を少なくするために福祉用具の選定や生活、住宅環境の改善の指導も行います。最近では生活習慣病の予防、障害予防の活動も含まれるようになりました。
作業療法(OT)
身体又は精神に障害のある人、あるいはそれが予想される人に対して行われる療法です。
本人自身が主体的な活動、つまり日常的な生活動作である食事、トイレ、入浴などができるように各機能を回復させ、持続できるような作業活動を通じて治療、指導、援助を行う療法です。作業療法により、手の動きを回復させ、筋力、体力を付け、物事を考える力も改善できます。
また、ここでいうところの作業には利き手の交換、調理や家事の練習、手工芸、読み書き計算などの作業も含まれます。
言語聴覚療法
ことばによるコミュニケーションに問題のある人に対して行う療法です。
脳卒中や頭部外傷などを原因として、日常活動の聴く、話す、読む、書く、計算するなどがうまくできなくて会話が円滑に行えない状態の症状に失語症があります。
これを言語療法により言語能力の改善のための練習や実用的な会話訓練、言語障害に起因する心理面、社会面の問題のケアも行います。
神経や筋肉が何らかの原因で声を出す、言語を発する器官が麻痺して運動障害を起こし、うまく発生できない障害に運動障害性構音障害があります。
構音障害の構音とは、下顎、舌、唇、軟口蓋からなる声を出す器官の事です。障害を起こしている器官の構音訓練、機能回復、あるいは発声や発語に代わる拡大代替コミュニケーションの導入も行います。
リハビリテーションはチーム医療が基本です
リハビリテーションは医師や看護師だけでなく、リハビリ専門医の診断結果により、他部門の医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、義肢装具士、医療ソーシャルワーカー(医療相談)などのそれぞれの専門職が連携を取りながらチームで治療にあたるのが基本です。
まとめ
リハビリテーションは機能回復だけが目的ではありません
最近のリハビリテーションの考え方
理学、作業、言語聴覚の3つの療法
リハビリテーションはチーム医療が基本です