呂律がまわらない 状態は、言語障害、構音障害あるいはろれつ障害などといわれます。呂律がまわらなくなるのは、口元の運動機能低下、口元の筋肉や神経に異常がある場合、発言機構の機能不全などが考えられます。
筋肉や神経が正常でも呂律がまわらない場合は、脳障害(左大脳)の可能性が示唆されます。
呂律がまわらない!なぜ?
脳と言語障害
呂律がまわらない症状が発現する場合は、左大脳、神経、筋肉のいずれかに異常があります。
左大脳の異常でも、障害の位置によって理解度と言葉の発言に違いが生じます。左脳前部に起きた障害は、理解度に問題はありませんが、話すことがうまくできない運動性失語(ブローカ失語)が起こります。
左脳後部の場合は、理解することが困難になる感覚性失語(ウエルニッケ失語)になります。また、言語機能に重度の障害が起こる全失語があります。
今回は、呂律がまわらない原因についてお話します。
呂律がまわらない原因には、お酒の飲み過ぎ、脳血管障害の一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、神経筋疾患の筋ジストロフィーや重症筋無力症、延髄の病変による筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症や脊髄小脳変性症、小脳腫瘍・梗塞、筋肉の低下による多発性筋炎やパーキンソン病、ストレスによる自律神経失調症や対人恐怖症、薬の副作用が原因の遅発性ジスキネジア、また、舌腫瘍、筋肉の衰えがあります。
脳梗塞は、後遺症を残さないために短時間で医療機関に行くことが必要です。
自律神経失調症は、主に交感神経が過剰にはたらきます。ストレスによる精神疾患の1つに対人恐怖症があり、呂律がまわらなくなります。まっすぐ歩けない、呂律がまわらないなど、思うように身体が動かない症状に、薬の副作用が原因のジスキネジアがあります。
向精神薬でジスキネジアの症状が発現した場合は、すぐ医療機関を受診してください。ジスキネジアは抗コリン剤やボツリヌス毒素で治療します。
筋ジストロフィーや重症筋無力症などでも筋肉の萎縮や筋力低下が起こり、呂律がまわらない原因になります。
脳血管障害
脳血管障害には頭部CTやMRI検査を行います。一過性脳虚血発作は、脳梗塞の一歩手前の状態で、脳梗塞より小さい血栓が発生します。
血栓が溶けて流れるため、呂律がまわらない、顔や手足のしびれ・麻痺、足がもつれて転倒、めまい、ものが二重に見えるなどの症状は数~数十分発現し、24時間以内に消えてしまいます。
一過性脳虚血発作に罹った人の20人に1人は24時間以内に脳梗塞を起こしています。脳梗塞は脳血管に血栓が詰まって血管を塞いでしまいます。
呂律がまわらない、顔や手足のしびれ・麻痺、めまい・嘔吐、一時的視覚障害が発現し、症状は24時間以上続きます。血栓ができる原因には、糖尿病、高血圧、動脈硬化などがあります。
40歳代前の若年でも脳梗塞を発症する場合があり、若年性脳梗塞とよばれています。頭や首などの怪我から血管障害が起こり、脳血栓をひきおこします。高血圧、動脈硬化による脳出血、くも膜下出血も呂律がまわらない原因になります。
呂律がまわらない場合の症状と治療方法
呂律がまわらない場合の症状に、脳や神経に障害がある場合に現れる舌のもつれ、言葉が不明瞭になる、歩くときにふらつくことがあります。筋力の低下にともなって嚥下障害が起こり、精神的に極度の緊張をともなうことがあります。
自律神経失調症の場合はカウンセリングによりストレス除去で改善を図り、脳血管障害の場合は投薬治療を施します。脳血管障害で意識障害が起こっている場合は開頭手術が行われる場合があります。
失語症
言語中枢が損傷を受けると失語症になることがあります。うまく話せない運動性失語、理解不能のため言葉の意味がなくなる感覚性失語、言葉を理解することも話すこともできない全失語があります。
パーキンソン病
パーキンソン病は神経伝達物質のドーパミンが減少し、脳の運動指令系統に支障をきたす神経疾患です。初期症状はふるえや歩きづらくなり、呂律がまわらなくなります。ALSや脊髄小脳変性症などの神経障害でも同様な症状が現れます。
まとめ
呂律がまわらない!なぜ?
脳と言語障害
脳血管障害
呂律がまわらない場合の症状と治療方法
失語症
パーキンソン病