緑内障 の 治療 で、失った視力や視野を完璧に取り戻すことは出来ませんが、早期に治療を開始すれば、進行をくい止め、視力、視野障害を抑え維持することが出来ます。
以前は、緑内障をすぐに失明と考える人も多かったのですが、医学の進歩は目覚ましく、「薬物治療」や「レーザー治療」「手術」などの治療法が確立されています。医師の指示の元で適切な治療を受けることで、大きな障害を期することなく日常生活を送るようになっています。
緑内障の治療
薬物療法
緑内障の治療で最初に行われるのは、眼圧を下げて進行を抑える点眼液療法です。点眼液では損傷した視神経の細胞を修復することは出来ませんが、眼圧を下げて視神経の圧迫による損傷を抑え、緑内障の予防、進行を防ぐことを目的にしています。
点眼液には、眼圧を正常に保つ役割をしている房水の産生量を減らしたり、房水の流れを促進する薬があります。様子を見ながら、効果が上がらなければ2,3種類の点眼液を組み合わせ、それでも充分に眼圧が下がらない時は、内服薬や点滴をすることもあります。
緑内障は症状のタイプや進行度、それぞれの眼の構造など個人差が大きいですから、薬や治療法もそれぞれに合ったものを選択します。
原発閉塞隅角緑内障の治療
隅角が狭いなどの障害により房水の流れが悪く眼圧が上がり、視神経が損傷を受けているタイプの緑内障です。
慢性の場合は、房水の産出を抑えたり、流れを促進する点眼薬で様子をみていき、充分に眼圧が下がらなければ、血液の浸透圧液を高めて房水の流れを良くする内服を併用します。
急性の場合には、急激に眼圧が上がり視神経が著しく損傷され失明の危機もあり、内服や点滴で緊急に眼圧を下げて、手術をすることがあります。
原発開放隅角緑内障の治療
房水を排出する出口のフィルターの役目をしている線維柱帯が詰まって、眼圧が上がっているタイプの緑内障です。
このタイプには「正常眼圧緑内障」と呼ばれる緑内障も含まれていて、眼圧が正常範囲であってもその患者にとっては視神経が脆弱であるなどの理由から、損傷を受ける限度を超えているのです。このタイプが緑内障の半分以上となっていますから、正常範囲の眼圧であっても注意が必要です。
房水の産出を抑える薬が主に使われ、線維柱帯の房水の滞りをスムーズにします。様子を見て充分に眼圧が下がらなければ他の薬に変える、2~3種類の薬を組み合わせる、内服を使うなどをして効果を促します。
主な点眼薬の種類と副作用
緑内障の点眼薬はある程度のストレスをかけて眼圧を下げるといった薬ですから、疲れ目などの点眼薬のように気持ち良くなるといったものではなく、差し心地はあまり良くありません。
効果の個人差や副作用の違いも大きく、副作用に身体が耐え切れない状態であれば、薬物治療を断念してレーザー治療や手術を考えていくことになります。
β遮断薬
房水の産生を抑制して眼圧を下げる優れた作用を持ち、副作用が少ないので緑内障治療薬の第一選択薬として使われています。
元々、β遮断薬は高血圧で使われていた薬で、眼圧降下の効果もあることから製剤化されたものです。副作用として徐脈や呼吸困難を起こすことがあり、循環器疾患や呼吸器疾患を持つ患者には使うことが出来ません。
PG(プロスタグランジン)系薬
房水の流れを良くして眼圧を下げる作用が高く、全身的な副作用が少ないのでよく使われている薬です。
差し心地は、刺激が多少強いこと、充血、瞼がはれるなどの副作用があります。また長期間使うことで眼の周りの色素沈着、まつ毛が太くなるなどの副作用が起きることがあります。
炭酸脱水酵素阻害薬
房水の産生を抑制し眼圧を下げる点眼薬で、効果はPG系薬、β遮断薬に比べやや劣るものの、副作用がもっとも少なく安心して使える点眼薬です。
粘り気がありまつ毛につくと固まるなど、差し心地があまり良くなく、差した後に眼の周りをふくなどの注意が必要です。
他にも副交感神経作動薬や浸透圧を利用して眼圧を下げる薬など、多くの種類があります。薬の副作用や治療のリスクをよく理解して、気になる症状が出たらすぐに医師に伝え相談しながら進めていくことが大切です。
レーザー治療
薬物療法で眼圧が下がらず、コントロールできない時にレーザー治療を行います。
房水の通り道にレーザーを当てて目詰まりを改善して房水の流れを良くする「レーザー線維柱帯形成術」、房水の通り道が虹彩でふさがっている時に開通させる「レーザー隅角形成術」、別の迂回道を作る「レーザー虹彩切開術」などがあります。
レーザー治療は一般的には入院の必要はなく外来で行い、その後は点眼液で様子を見ることになります。レーザーでも眼圧が下がらすコントロール出来なければメスを使った手術を考えることになります。
まとめ
緑内障の治療
薬物療法
原発閉塞隅角緑内障の治療
原発開放隅角緑内障の治療
主な点眼液の種類と副作用
レーザー治療