緑内障とは目の視神経がダメージをうけてしまい、その影響で視野異常が起きてくる病気です。末期になってしまうと失明してしまう病気で、現在の日本で失明率第1位です。
緑内障の恐ろしいところは、視神経がダメージをうけて視野障害を起こしてしまうと元に戻すことができないところです。緑内障には禁忌薬がありますが、一般的に非常に勘違いされやすいです。
今回は知っておきたい 緑内障 患者の 禁忌 薬について説明していきます。
知っておきたい緑内障患者の禁忌薬について
緑内障の分類
一般的に緑内障という病名は有名ですが、緑内障には大きく3つに分けられます。(厳密にはもっとあるのですが今回は割愛します)
1つ目は原発開放隅角緑内障です。その名の通り原発性(原因疾患をもたないもの)で隅角の広いタイプの緑内障です。慢性に進行する緑内障で、眼圧の維持調整が難しくなると眼圧が上昇し視神経乳頭の緑内障性変化を起こして、特有の視野障害を起こします。
2つ目は正常眼圧緑内障です。原発開放隅角緑内障と同じく隅角は広いのですが、大きくかつ唯一の違いは眼圧が正常(日本人の平均は10~21mmHg)にも関わらず、視野障害が進行していく緑内障です。日本人の緑内障患者の6割以上がこの正常眼圧緑内障です。
3つ目は原発閉塞隅角緑内障です。浅い前房、狭い隅角をもつのが大きな特徴です。この緑内障は急速に眼圧が上昇する急性緑内障発作を引き起こすことがあります。急性緑内障発作が起こると強い眼痛、頭痛、吐き気などの症状があらわれ、早急に治療をしないと最悪失明にも至ります。
緑内障の治療方法
緑内障の基本的な治療法は点眼薬により眼圧を下げて、緑内障による視野障害の進行をとめることが目標になります。
点眼薬には大きく分けてプロスタグランジン、β阻害薬、炭酸脱水素酵素阻害薬、α1阻害薬、α2作動薬があります。眼圧の高さや緑内障の進行具合によって点眼薬の種類を選びます。
点眼薬で眼圧が下がらない場合のみ、手術を行います。
点眼薬の禁忌
緑内障の点眼薬にはさまざまな副作用がありますが、プロスタグランジン製剤では刺激感や、充血、まぶたの色素沈着、まつ毛が太くなるといった眼局所的な副作用で禁忌と呼べるほどのものはありません。
気を付けなければならないのが、β阻害薬です。これは高血圧の治療としても使用される薬なのですが、徐脈や気管支収縮を引き起こすことがあるので心不全、不整脈、喘息のある患者には禁忌です。
β阻害薬の点眼薬を処方する前に、必ず患者に既往をきいておく必要があります。
内服薬の禁忌
内服薬の添付文章のなかには緑内障禁忌の記載をしてある内服薬が多いです。風邪薬や咳止め、睡眠薬などさまざまな内服薬に同様の記載があります。実はこれらは緑内障の人がすべて使用してはいけないというわけではありません。
これらの内服薬には副交感神経を抑制する(抗コリン作用)か、また交感神経を刺激する作用が入っていることが多いです。これらの薬剤が禁忌なのは分類のところでお話しした原発閉塞隅角緑内障です。
閉塞隅角緑内障はこれらの薬剤により隅角が狭くなる恐れがあり、急性緑内障発作を引き起こす恐れがあるのです。急性緑内障発作の恐ろしさは分類のところでお話ししたように急激に緑内障が進行する恐れがあるので、禁忌となっているのです。
禁忌ではないが注意したい薬剤
目だけではなく、さまざまな治療で用いられる副腎皮質ステロイド剤があります。副腎皮質ステロイド剤は治療効果も高い一方で眼圧上昇を引き起こします。
治療で使用している分には仕方がないですが、治療がおわれば即やめた方が目のためには良いです。また長期で使用する場合は眼科を受診して、眼圧の上昇度を確認する必要があります。
緑内障にはさまざまな禁忌がありますが、自分がどのタイプの緑内障かを理解して使用してよいものは気にせず使用しましょう。わからないことは担当医に遠慮なく尋ねましょう。
まとめ
知っておきたい緑内障患者の禁忌薬について
緑内障の分類
緑内障の治療方法
点眼薬の禁忌
内服薬の禁忌
禁忌ではないが注意したい薬剤