緑内障 の 手術 は、薬物療法やレーザー治療では眼圧が下がらず、思うようにコントロール出来ず症状が進行していく患者や急性発作を起こした患者に行われます。
手術は失った視野や視力を取り戻すというものではなく、房水の流れを良くして眼圧を下げて進行を抑え、出来る限り支障なく日常生活を送ることを目的に行います。
完治する手術ではないので、術後も経過を見ながら薬物療法などの治療が続けられます。
緑内障の手術
緑内障の手術の種類
手術は緑内障の進行度や症状のタイプ、それぞれの眼の状態を総合的に判断して、いくつかの手術法の中から適した手術を行います。
主な手術法には、老廃物など何らかの障害で詰まっている線維柱帯を切開する「線維柱帯切開術」、線維柱帯の一部分を切除して別に迂回路を作る「線維柱帯切除術」、線維柱帯に癒着している虹彩を剥がす「隅角癒着解離術」などがあります。
手術法により1週間から3週間の入院期間が必要で、退院してからも感染や合併症の危険があり経過観察の元で安静に過ごすことが必要です。
線維柱帯切開術
房水を排出する出口にありフィルターの役割をしている線維柱帯が、老廃物などで詰まっている場合に、線維柱帯を切り開く手術を行います。広げることにより、房水の流れが増加して眼圧が下がることを目的としています。
術後の視力低下や合併症が少なく安全性の高い手術ですが、線維柱帯を切り開くことによって、術後に静脈から血液が逆流して1週間ぐらい、見えにくいことがあります。数年経過すると、再度、目詰まりしてくることもあり、その場合は再手術が必要になります。
線維柱帯切除術
詰まっている線維柱帯を切除し、他の迂回路を作る手術です。修復出来ない線維柱帯の一部を切除して、切開した強膜から結膜へと房水を流出するように回路を作ります。過剰に流れ過ぎると眼圧が下がり過ぎるため、狭めるために縫合手術が行われることがあります。
切除した部分から房水を流すため、その傷口を一時的に治りづらくするマイトマイシンCという薬を用いるようになり成功率が高まる一方、その薬による合併症もあります。
眼圧降下作用にはもっとも高い手術ですが、術後に感染症や合併症も多いです。また縫合した場合は、術後の眼圧の状態からレーザーを当てて縫合の調節をしていく必要もあり、術後の経過観察が非常に大切になります。
出血することがありますが、普通は術後一週間ぐらいで目の中に吸収されていきます。術後には抗菌剤などの点眼液を使って傷口からの感染症を防ぐ必要があります。
隅角癒着解離術
線維柱帯や隅角に虹彩が癒着して房水が流れにくい場合に、癒着している虹彩を剥がし、隅角を広げる手術です。早期であれば隅角に隙間があるうちにレーザーで虹彩切開術を行うのですが、タイミングが遅れて隅角が塞がってしまった時に行います。
房水の出口が確保されて流れるようになりますが、どの程度の改善になるかは解らないという難点もあります。
手術の合併症
緑内障の手術は完治をめざすものではないので、眼圧が下がり安定した状態になれば成功したことになります。しかし術後すぐには安定せず眼圧が上がったり下がり過ぎたりすることがあります。
眼圧は下がればいいというわけではなく、低眼圧になると目の張りがなくなり見えにくくなることがあります。他にも視力が低くなる、視野が欠けるなどの合併症が起こることもあり、術後の経過観察は必須です。
術中や術後に目の中に細菌が入り込んで、炎症をおこすと「眼内炎」になることがあります。目の充血や痛みが酷ければすぐに受診して処置をします。高齢者のほとんどが、進行の違いはあっても白内障に罹っていますが、緑内障の手術をすると白内障も進行しやすくなります。
麻酔によるアレルギー反応
手術は目の周りの局部麻酔が用いられますが、稀に麻酔によるアレルギー反応を起こすことがあります。身体がしびれる、息苦しい、痛みなど身体に異変を感じたら早めに医師に伝えましょう。
駆出性出血
手術中「駆出性出血」という、突然、大量の血液が目にあふれてくる合併症を起こすことがあります。非常に稀なケースなので過度な心配は無用ですが、失明や命の危険があり注意が必要です。
予防法はなく、トイレやくしゃみを我慢しているなど手術中に必要以上に身体に力が入り過ぎた場合に起きる可能性があります。
まとめ
緑内障の手術
緑内障の手術の種類
線維柱帯切開術
線維柱帯切除術
隅角癒着解離術
手術の合併症
麻酔によるアレルギー反応
駆出性出血