歩くと足のしびれや痛み、こわばりなどの症状があらわれ、休むと症状が消えるといった「間欠跛行」が特徴的な症状である脊柱管狭窄症は、脊柱管の中を通っている神経が圧迫されておこる病気です。放置すると腰痛・しびれの悪化や、排尿障害などがおこることがあります。
脊柱管狭窄症 の保存療法と 手術 について解説します。
高齢者に多い脊柱管狭窄症の保存療法と手術
脊柱管狭窄症の原因
脊柱管狭窄症の直接の原因は、脊柱管の中を通っている神経の圧迫です。脊柱管を取り巻く組織が老化などによって厚くなり、主に馬尾神経根を圧迫することにより起こります。
脊柱管を取り巻く組織としては、椎間板や椎間板間関節にできた骨棘などがあり、長い年月による負荷などで肥厚したり尖ったりします。
さらに、何らかの原因で腰の骨がずれるすべり症により神経を圧迫しておこることがあります。いずれも個人差が大きく、一つの原因だけではないこともあります。
脊柱管狭窄症の症状
脊柱管狭窄症の特徴的な症状は歩くとしびれや痛みが増し、休むとしびれや痛みが軽減するという「間欠跛行」です。
放置すると腰痛がひどくなる、休んでいてもしびれる、排尿障害がでる、筋肉が弱くなるなど症状が進み、高齢者では寝たきりになることも珍しくありません。
脊柱管狭窄症の保存療法
脊柱管狭窄症の患者の多くは高齢者であるため、最初の数ヶ月は保存療法を採用することが一般的です。安静と消炎鎮痛剤・血流改善薬といった投薬、神経根・硬膜外ブロック注射などを試みます。
また高齢者の場合、長期間の安静は筋肉の低下などの問題が発生するため、ストレッチや腹筋・背筋の強化などの運動療法が採用されることもあります。
脊柱管狭窄症の手術
数メートルしか歩けないなど間欠歩行が悪化した場合や、腰痛・しびれが我慢できないほどひどい場合、排尿障害や筋肉の低下などの症状が出現した場合には手術が適用となります。
根治のための方法は、神経根の圧迫を除去する「除圧」と、骨と骨の間を固定する「固定」の二つに大きくわけることができます。
除圧
すべり症などの症状のない脊柱管狭窄症の場合、多くの場合脊柱管の背中側にある黄色靭帯が、老化やホルモンバランスの異常などで肥厚して神経を圧迫しています。
また、椎間板も負荷の積み重ねにより変形して神経を圧迫します。骨が棘のようになる骨棘は、遺伝や老化が原因で同じように神経を圧迫します。神経根の圧迫を除去するため、これらの靱帯・椎間板・骨棘を削ります。
最新の治療法では、内視鏡を用いてこれらの組織を削ることができるようになり、局所麻酔で日帰りや1泊2日の入院で済むこともあります。術式は病院施設により異なるので、事前に十分な説明を受けることが重要です。
固定
すべり症や、骨粗しょう症などで脊椎がもろくなっている場合、安易に骨を削ると脊椎がより不安定となり、腰痛やしびれが酷くなる場合があります。この場合には「固定」という術式が行われます。
神経のまわりにある骨を削ることにより圧迫を除去し、金具などを挿入して骨と骨を固定します。除圧に比べると手術は大掛かりとなります。体に金属を入れるため、出血や感染、さらに糖尿病・心臓病など高齢者に多い慢性疾患に注意が必要となります。
手術後の生活
無理のない範囲で、できるだけ早く起き上がることが推奨されます。傷がひどく痛む場合には痛み止めを処方し、なるべく早く離床することが肺炎などの合併症や筋肉の低下による転倒・寝たきりなど防止に有効です。
重いものを持つなどの重労働に従事している人は一ヶ月程度の余裕を持って徐々に慣らすようにします。
まとめ
高齢者に多い脊柱管狭窄症の保存療法と手術
脊柱管狭窄症の原因
脊柱管狭窄症の症状
脊柱管狭窄症の保存療法
脊柱管狭窄症の手術
除圧
固定
手術後の生活