咳は気道に入ってきた異物を外に出すための防御反応なので、咳自体は異常で珍しいことではありません。しかし、続く咳や頑固な咳には大きな病気が隠れている可能性があります。
咳が続く ときに考えられる代表的な病気についてわかりやすく解説します。
咳が続くときに考えられる5つの病気
肺炎
咳が続くときに考えられる一番怖い病気は肺炎です。肺炎は病原体に感染することで肺に炎症が起こり発症します。肺炎は、細菌性と非細菌性に分けられ非細菌性で一番有名な肺炎がマイコプラズマ肺炎です。
マイコプラズマは4年ごとに流行するするといわれていましたが、近年は毎年のように流行しています。マイコプラズマ肺炎の特徴は、咳が頑固に続くことです。ただ、マイコプラズマ肺炎は幼児や若年者に多く高齢者が感染することは少ないです。
高齢者が感染しやすい肺炎はインフルエンザウイルスが代表的なウイルス性肺炎です。高齢者や慢性の呼吸器疾患がある人は重症化しやすいため注意が必要です。
肺結核
昔は咳が続く病気の代表だった肺結核ですが、今でも毎年3万人が発症する病気です。肺結核に感染しても80%の人は発症しないため、自分が肺結核に感染したことに気がつかないまま一生を終えます。
しかし、気がつかないうちに感染した結核菌は発症しないまま体内で数十年も生き残っているのです。そして高齢者になって体力が落ちたタイミングで結核菌は増殖して発症します。
肺結核になると激しい咳が続きます。結核菌は咳と一緒に飛び散ります。結核菌は咳と一緒に飛び散った液体が蒸発することで空気感染もします。咳によって感染する病気のため、咳が2週間以上続く場合や一度治っても再び咳を繰り返す場合は肺結核を疑い診断を受けるようにしましょう。
肺結核の診断は咳と一緒に出るたんを使った塗抹検査とレントゲン検査でほとんど診断がつきます。
百日咳
近年まで百日咳は乳幼児の病気と考えられていました。百日咳は予防接種も行われている病気のため、発症することはないと思われていました。
しかし最近になって予防接種していても免疫が一生続くことはないということがわかり、大人や高齢者でも発症する病気であると考えられるようになりました。
咳が数週間続き、咳が出始めると止めようがなく続く場合は百日咳を疑います。呼吸ができないくらい激しい咳が続くこともありますが。百日咳には特効薬があるので、早急に診断を受けて治療に入るようにしましょう。
心不全
心不全は心臓が弱くなり血液を送り出せなくなる病気です。一見咳とは無関係にみえる病気ですが、咳が続く症状が心不全の発見につながることがあるのです。心不全になると心臓の機能が落ちるため、肺から心臓に送られる血液がスムーズに送れずに肺がむくみ始めます。
すると肺も十分に働くことができなくなり息切れの症状があらわれます。息切れのような咳が続いて呼吸がしにくい状態であり、動悸、体のだるさ、尿量の減少がある場合は心不全の可能性があります。
心不全が原因で咳が続く場合は、肺のうっ血が原因であるため寝ているよりも起きている姿勢が楽に感じます。安静にしていても咳がでたり呼吸困難になったりするときは症状が悪くなっている可能性があります。
かぜなどの感染症にかかると一気に心臓にかかる負担も大きくなるため、早期に治療をするようにしましょう。
薬の副作用
高齢者で咳が続く場合は、薬の副作用である可能性があります。高齢者の中には複数の薬を日常的に服用している人がいます。高齢者は内臓の働きが低下し薬の代謝が悪くなっているため若者と比べて副作用が出やすいのです。
痛みをおさえるなどの対処療法の薬を多く服用している人や薬を使わずに対処できることであれば薬を減らすようにしたほうがいいでしょう。薬を減らしたりやめたりするだけで咳が止まる人も多くいます。
ただ、薬の中にはステロイド剤や心臓の薬のように急にやめてはいけない薬もあるため、かかりつけ医と相談することをおすすめします。
複数の医療機関を受診してたくさんの薬を服用している人や民間療法で服用している薬があり咳が続いている場合は薬の副作用による咳の可能性も考えられます。
まとめ
咳が続くときに考えられる5つの病気
肺炎
肺結核
百日咳
心不全
薬の副作用