咳喘息 とは発作的に連続して咳を繰り返す疾患であり、気道上に何らかの理由で慢性的な炎症が残り、気管や気管支が過敏になることで起こると考えられています。風邪の後など咳だけが残る咳喘息について、原因や症状、治療法などを解説します。
風邪の後に咳だけ残る咳喘息の症状と診断・治療法
長続く咳
咳喘息に罹患すると、2週間から1ヶ月、長くなると1年以上コンコンといった咳が続くことがあります。気管支喘息に見られるようなヒューヒューやゼーゼーといった喘鳴や呼吸困難がみられることはほとんどなく、痰などの症状もあまりありません。
就寝中に咳が出ることが多く、体を起こすと楽になります。横になると咳が出たり、明け方近くに室温が下がると咳が出たりするので、寝不足になったりします。また激しい咳き込みによって、高齢者では肋骨の骨折を引き起こす場合や、嘔吐、胸の痛みなどの症状が出ることがあります。
咳喘息の診断
咳喘息の診断は、長期の咳が続くが喘鳴を伴わない、気管支拡張剤が有効、胸部レントゲンで異常が見つからない、呼吸困難がない、気道が過敏になっている、痰に好酸球が増えているなどを総合的に見て診断します。
咳喘息の治療
第一選択肢は気管支拡張剤を用いて、様子を見ます。気管支拡張剤によって咳が鎮静方向に向かえば、吸入でのステロイド治療などを行います。また抗アレルギー薬を使うこともあります。
長時間効果のある薬の種類と副作用
長時間作動型β2刺激薬や徐放性テオフィリン薬が処方されます。β2刺激薬は気管支平滑筋への作用で気管支を拡張する薬剤で吸入薬としてはセレベントなどがあります。
β2刺激薬はわずかにβ1刺激の作用があるといわれており、このβ1受容体を持つ心臓を刺激して動悸がするなどの副作用が出ることがあります。
ステロイドとの併用薬
より効果のあると治療として長時間作動型β2刺激薬とステロイドを併用した薬が発売され、吸入薬としてアドエア、シルビコート、フルティフォーム、レルベアなどが処方されます。
吸入ステロイドの副作用
吸入ステロイドは、気管支などの患部に直接届くため、経口投与した場合よりより咳喘息に限定的で効果的です。ステロイドは免疫反応を抑えるので、普段は適切な関係を保っている常在菌のバランスが崩れ、有害な菌が増殖してしまうことがあります。
特に吸入ステロイド治療では口腔内の常在菌のバランスが乱れ、口腔カンジダ症を発症してしまうことがあります。口腔カンジダ症はカンジダ・アルビカンスという真菌が起こす病気で、口の中に白い苔のようなものが現れる、舌が赤くなるなどの症状が出ることがあります。
時には味覚障害やピリピリとした痛み、熱いものを飲むとヒリヒリするといった不快感があらわれます。特に高齢者は免疫力が低下していることも多く、注意が必要です。
吸入ステロイドの副作用の予防
吸入ステロイドは使用後にうがいをすることで、舌や食道など、必要のない部分に付着したステロイドを洗い流すことが副作用を予防する上で重要になります。吸入が終わったらすぐにうがいができるように、洗面所で吸入を行うことが推奨されます。
うがいが難しい高齢者や子供の場合は、食事の前に吸入をすることをお勧めします。少量を飲み込んでしまった場合でも、肝臓で代謝されるので問題はありません。
咳喘息の治療薬は医師の指示に従って、正しい方法で治療薬の吸入を実施し、決められた容量と期間を守ることが重症化を防ぐ上で最も重要なことになります。
まとめ
風邪の後に咳だけ残る咳喘息の症状と診断・治療法
長続く咳
咳喘息の治療
長時間効果のある薬の種類と副作用
ステロイドとの併用薬
吸入ステロイドの副作用の予防