心房細動は不整脈の主な原因のひとつです。不整脈自体は致死性ではありませんが、放置すると恐ろしい合併症を引き起こしますので、サインを感じたら早めに病院へ行きましょう。
今回は、 心房細動 のサインから重要な診断方法である 心電図 、日常的な予防法について解説します。
心電図で丸わかり!脳梗塞を招く恐ろしい心房細動
心房細動を疑うべき症状とは
心房細動のサインは、多くは突然始まる強い動悸としてあらわれます。
胸がはっきりと痛い方から、なんとなく胸部がもやもやするという方までと強さに幅はありますが、集中ができなくなるために仕事や家事などが手につかなくなり、生活の質を明らかに下げてしまいます。
心房細動を放置すると?恐ろしい合併症
心房細動は心房が部分的に高速収縮する症状で、心房内の血液がうまく流れなくなるため血栓が生じやすくなります。この血栓がはがれ落ち、血管の中を流れて行って脳の大きな血管に詰まると脳梗塞となり大変危険です。
詰まる場所が心臓の血管であれば心筋梗塞になりますし、他のどの部位でも血流を阻むのですから危険度は高いです。心房細動は決して放置してはいけません。
循環器内科へ行こう!心房細動の診断
上記のようなサインに気がついたら、急いで病院へ行きましょう。まずは内科でもよいのですが、一番よいのは専門である循環器内科です。
もっとも、この科は大きな総合病院の中に入っていることも多いため、まずはかかりつけの内科に行って紹介状を書いてもらうのが有効な手段となるでしょう。紹介状がないと長時間待たされたり、医療費が高くなることがあるため要注意です。
医師はこう読みとく!心房細動の心電図
心房細動は心電図を取らなければ正確な診断は下せません。しかしこの心電図ですが、専門の医師でないときちんと読み取れない複雑なものとなっています。
大きな特徴としては心拍一拍ごとにあらわれるR波の間隔が不規則になり、心房の活動を示すP波が消失し、f波というごく細かい波が基本となる線の中にあらわれる、というものになりますが、これを素人が読みとくのは困難です。素直に医師の診断をあおぎましょう。
かつて心電図と言えば、まれにしか症状の起きない患者さんにとっては入院して症状が起こるのを待たねばならないなど手間のかかる検査法でしたが、現在ではさまざまな工夫をこらした心電計が登場してきています。
多く行われているのは24時間ホルタ―心電図という丸一日心臓の動きを観察できる方法です。
他にはスマートフォンほどの大きさの器械を患者さんに携帯してもらい、日常の生活を送りながら、動悸が始まったらその器械を胸に当てて直接患者さんに心電図を取ってもらうイベント心電図というものも近年開発されて便利になってきています。
心房細動であると診断されれば、まずそれがどのような原因から来ているのかをみきわめることになります。
心房細動を引き起こす病気はさまざまで、僧房弁などの疾患である心臓弁膜症や、高血圧性や虚血性の心疾患、拡張型や肥大型の心筋症などで心房に負担がかかっている場合や、呼吸器の疾患、甲状腺の疾患などでもあらわれます。
しかしまれに、このような疾患のない方にも発症しますので注意が必要です。全ての心房細動の内2,1から15%程度までがこのような原因のない孤立性心房細動と呼ばれています。
原因がわかればそれぞれの疾患に応じた治療も開始されますが、並行して心房細動自体も早急に取り除かねばなりません。血栓の恐れに対しては抗凝固薬であるワルファリンを投与します。
心房細動を根本から治療するには高周波カテーテル・アブレーションと呼ばれる治療法を行います。これは足の付け根など太い血管からカテーテルという器具を挿入し心臓まで届かせ、心房細動を引き起こしている筋肉の一部を高周波電流で焼き切ってしまう手術です。
身体にメスを入れないで済むために患者さんへの負担が少ないのが利点ですが、非常に技術を要する手術でもあります。この手術を受ける際にはなるべく経験実績の豊富な医師を探した方がよいでしょう。
心房細動を防ぐために普段からできること
心房細動は高齢になると明らかに増える症状です。ですが諦めてはいけません。心房細動にならないための方法としては、お酒を飲みすぎないことや過労・睡眠不足になるような働き方をしないこと、そしてストレスをためないようにすることです。
心にゆとりを持って健康的な生活を送り、心房細動になる隙を与えないようにしましょう。
まとめ
心電図で丸わかり!脳梗塞を招く恐ろしい心房細動
心房細動を疑うべき症状とは
心房細動を放置すると?恐ろしい合併症
循環器内科へ行こう!心房細動の診断
医師はこう読みとく!心房細動の心電図
心房細動を防ぐために普段からできること