心不全になると、多くの方が医師に胸水の貯留を告げられます。心疾患では出現しやすい症状だけに注意が必要です。 心不全 で起こる 胸水 にまつわる疑問や治療法、生活上の注意点をお伝えします。
心不全の胸水のすべて
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そもそも胸水とは異常反応なのか
胸水と聞くとなんとなく良くないイメージがあります。肺の胸腔内には普段から胸水が存在しています。胸水は肺を覆う胸膜と胸壁を覆う胸膜の隙間にあります。呼吸における摩擦や癒着を防ぐ役割を果たしています。
一日で約5ℓから10ℓの胸水が作られ、吸収されています。このことからも、胸水の存在自体は自然な現象であることがわかります。心不全の胸水は、生成と吸収の均衡が崩れた状態を指しています。
胸水には種類がある!心不全の胸水とは
胸水の成分は、水ではなく漿液などで構成されています。透明のような黄色味がかった色合いが正常な状態の胸水です。胸水貯留を起こす胸水の成分から滲出性と漏出性にわけることができます。
心不全の胸水は漏出性で、色は淡黄色で微濁や混濁をしていることもあります。漏出性の胸水症状を起こす病気は心不全以外にも肝硬変・ネフローゼ症候群などたくさんの病気があります。
心不全の胸水症状は何が良くないのか
心不全を引き起こす心疾患や心不全を起こしやすい病気を有される方は、心臓のポンプ機能の低下、つねに血管が張り詰めた状態になっています。心不全を発症した心臓は、十分な酸素や栄養素を送り出すことができなくなってきます。
すると、各臓器の循環がうまくいかず臓器や体にむくみの症状が出現するようになります。胃腸や肝臓も障害され、食欲不振や低下を招きます。腎臓も血流が低下するので尿量の減少が起こるようになります。
肺の循環も不良となるために胸水症状が出現すると、呼吸苦が起きます。心不全による各臓器の機能低下は、心拡大を促し、さらに心臓のポンプ機能を低下させてしまうのです。心不全による胸水が見られた場合には、しっかりと治療を行い改善させることが大切です。
心不全の原因となる心臓疾患とリスクの高い疾患
心不全の原因となる病気があります。心臓の病気の場合は、最終的に心不全となるケースがほとんどです。
心臓自体に十分な酸素がいきわたらない虚血性心疾患の心筋梗塞や狭心症や心筋が肥大し心臓機能を低下させてしまう心筋症や弁膜症、不整脈を有される方は注意が必要です。
他には、高血圧や腎臓疾患、糖尿病、甲状腺機能亢進症などを併存疾患とされている方も心不全になるリスクが高いため注意して体調管理をする必要があります。
心不全による胸水「うっ血性心不全」はどんな状態?
胸水が溜まった病態の心不全は、「うっ血性心不全」と呼ばれます。心臓の仕組みは全身から戻ってきた血液が、右心房・右心室を経て肺へ送り出され、肺で酸素含み、左心房・左心室を経て全身へ送られています。
右心不全になると、肺へ血液を送り出す力が弱まり全身にむくみが波及し、胸水が溜まります。左心不全では全身へ送り出す力が弱まり、結果的に肺がうっ滞し胸水が溜まるのです。
心不全による胸水の治療は?
心不全の状態にもよりますが、胸水を抜くこともあります。低下した心臓機能をバックアップするための外科的治療が必要になることもあります。
服薬コントロールや日常生活上の留意点などを守ることは必須条件となってきます。胸水症状は短期間で繰り返し起こることもあり、体調に違和感があったらすぐに受診されることをおすすめします。
心不全で胸水が貯留しないために生活で気をつけること
心不全は心臓機能が低下した状態に起こる病気です。胸水によって引き起こされる日常生活の制限はかなりの苦痛を伴います。日頃から、リスクとなる併存疾患のコントロールや貧血の改善、減塩・禁酒・禁煙・肥満解消に努めていくことが肝心です。
医師の指示に従って適度な運動を取り入れることも大切です。心不全は故意的に体を動かさない方が、胸水などの心不全症状が悪化することが知られています。不安な方は、受診された時に詳しく医師に聞いてみるのもいいかもしれません。
まとめ
心不全の胸水のすべて
そもそも胸水とは異常反応なのか
胸水には種類がある!心不全の胸水とは
心不全の胸水症状は何が良くないのか
心不全の原因となる心臓疾患とリスクの高い疾患
心不全による胸水「うっ血性心不全」はどんな状態?
心不全による胸水の治療は?
心不全で胸水が貯留しないために生活で気をつけること