心筋炎は心臓の筋肉が感染し炎症を起こす病気です。心筋炎は命の危険性が高く、病態としてある有名な心臓の病気に似ていることがあり、早期の治療が必要となります。
今回は、誰もが感染する可能性がある 心筋炎 について詳しくご説明します。
誰もが感染する可能性がある心筋炎
心筋炎はウイルス感染が多い
心筋炎の原因は細菌やウイルス、カビの一種である真菌が関与しますが、心筋炎はウイルスによる感染が多いことが特徴です。
そもそも細菌とウイルスは伴に病原体でありますが、性質的に異なります。細菌は自分で栄養を摂り、繁殖することが可能ですが、ウイルスは自分では繁殖できず、人間の細胞を棲家として、細胞の分裂を利用して繁殖します。
どうして心臓に感染するのか
細菌とウイルスは直接心臓に感染するわけではありません。まずは体外と交通している呼吸器か消化器に感染します。その後爆発的な勢いで増加し、その一部が心臓へ到達することで心筋炎を発症することがあります。
心筋炎を起こす特定のウイルスは存在せず、どのウイルスでも感染する可能性はあります。ウイルスの中でも特に有名なのがインフルエンザウイルスですが、このインフルエンザウイルスが原因で心筋炎となることも少なくありません。
心筋炎の症状
感染による心筋炎であれば、初期は発熱の症状から始まります。その後発熱は遷延して突如、呼吸困難や脈が速くなる症状が出現します。呼吸が苦しく横になれない状態になることが多く、このような症状を心不全症状といいます。
インフルエンザに感染したとしても、寝ると呼吸が苦しくなる症状はまずありえませんので、明らかに普通の感染症ではないことが明確です。
臨床所見でもある特徴的な症状を示します。心筋炎は心筋の炎症であり、炎症を伴った筋肉は正常に動きません。よって心臓が拍出する際の心筋の動きに異常がでます。
心臓が拍出する時は拡張した心筋が収縮することを意味します。心筋炎では、感染した筋肉が収縮しない若しくは収縮力が極端に弱いことがあり、心臓が動いている部分と動いていない部分が混在することになります。これはある病気に似ており、そのある病気とは心筋梗塞です。
心筋梗塞は心筋に血液が届かないために動きが弱くなります。心筋梗塞は心臓をとり巻く冠動脈が閉塞することで心筋に血液が届かないことが原因です。心筋炎の原因とは異なりますが、所見と症状は心筋炎と心筋梗塞は似ているのです。
心筋炎の治療
ウイルス性の心筋炎においては、感染症の対策が必要となります。残念ながら細菌と違って抗ウイルス薬はある特定のウイルスのみ存在しており、ウイルスのほとんどが効果のある薬は存在しません。
二次感染防止のための抗生物質は投与することがありますが、基本的にウイルスが消失するまで対処療法が必要となります。
心筋炎だと心臓の収縮力が弱りますので、血圧を維持するために昇圧剤を投与することがあります。薬でも血圧が維持できない場合は、大動脈バルーンパンピングといった医療機器を用いた補助循環が必要となる場合があります。
大動脈バルーンパンピングとは、足のつけ根から大きい風船がついたカテーテルを胸の大動脈まで挿入し、心臓が拡張した時に風船を膨らませて圧力をかけ、収縮時に風船をしぼませることで血圧を上げる効果があります。
この大動脈バルーンパンピングは人工物であるため、永久的に使用することができず、血圧の維持ができるようになってから、補助の回数を下げて段階的に離脱します。
治癒しても安心はできない
感染による心筋炎は、基本的に感染が良くなれば心臓の動きは回復します。しかし、炎症による障害で、治癒後の心筋がだんだん薄くなってしまう拡張型心筋症に移行してしまうことがあります。
拡張型心筋症は原因不明の難病ですが、最近の研究で心筋炎だった方が拡張型心筋症を発症するメカニズムも報告され、治癒しても定期的に医療機関に受診が必要な場合もあります。
まとめ
誰もが感染する可能性がある心筋炎
心筋炎はウイルス感染が多い
どうして心臓に感染するのか
心筋炎の症状
心筋炎の治療
治癒しても安心はできない