「知って疾病コントロール!高齢者の食事制限のポイント(前編)」では、食事制限と高齢者の栄養バランスについてお伝えいたしました。
後編では、疾患別の 食事制限 についてお伝えいたします。
知って疾病コントロール!高齢者の食事制限のポイント(後編)
疾患別の食事制限のポイント①
現在、医師から〇〇は控えましょう、気をつけましょうと具体的なことを言われている方は、すぐに始められることをおすすめします。病状を悪化させてしまうと、好きなものはほとんど食べられないのが実状です。
食事制限の代表的な疾患である腎疾患・糖尿病の食事制限のポイントをご紹介します。腎疾患は、腎機能が低下してくると、ゆくゆくは腎不全となり、透析の必要性も出てくるほか、全身の臓器に障害が出てくるようになります。
腎疾患の食事制限では、一日の摂取カロリー・たんぱく質量・塩分・カリウム・水分量を、細かく医師から食事制限されるでしょう。
たんぱく質が摂取不足になると、足りないたんぱく質を体から分解して補うようになるため、尿素窒素が多く排出され結果的に食事制限以上のたんぱく質を摂取したことになってしまうため注意が必要です。
塩分は、8~6グラム以下なので塩辛いものや漬物は全般的に禁止、カリウム制限は、腎機能低下によって血中にカリウムが増えてきた場合に制限されます。カリウムが多すぎると循環器系に影響が出ます。
カリウムを含む食材は意外と多く、果物や野菜などをはじめとするあらゆる食材に含まれています。調理方法によって、食材のカリウムを減らすといった工夫が必要です。水分量は、食事や休憩での水分補給や症状が重い場合は、食事に含む水分も制限されます。
家庭での食事制限では、塩分・水分量の多い味噌汁などの汁物は早期に中止となるが一般的ではないでしょうか。
疾患別の食事制限のポイント②
糖尿病の発生機序は省きますが、血糖が血管を傷めつけ、神経障害、腎臓障害、循環器疾患、感染症の発症リスクが高くなる疾患です。血液中に増えすぎた血糖がこれらの疾患を発症させることからも、症状を感じない頃からの食生活の積み重ねが大切です。
糖尿病の食事制限では、適正なエネルギー量とバランスの良い食事を心がけ、1日3食規則正しく食べるようにします。時間が不規則になると、いつも以上に食べてしまう、間食をしがちになります。
糖尿病の方に多いのが「少しだけなら食べても大丈夫」という根拠のない過信です。すぐに症状として見えてこない分、気をつけなければ将来的に困るのはご自身であるということを忘れてはなりません。
日頃の積み重ねが血液検査の結果で出てきますので、受診数日前~当日に気をつけただけでは、結果は変わりません。
食事制限を毎日行い、食事量を一定に保ち、野菜を多めのメニューでバランスよく食べること、軽い運動を取り入れることで病状の悪化を遅らせることができるのではないでしょうか。
肥満と食事制限
肥満はあらゆる疾患の引き金だけではなく、老化や身体機能・基礎代謝を低下させることからもいいことではありません。摂取カロリーが、消費されるカロリーよりも多いことなどで肥満に繋がります。
肥満かどうかは、身長・体重からBMI(体格指数)を求めることで判断ができます。
BMI=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))で算出することができます。
BMIが18.5未満は痩せ、18.5~25が普通、25~30が肥満(1度)、30~35が肥満(2度)、35~40が肥満(3度)、40以上が肥満(4度)と定められています。
肥満はほかにも、便秘やホルモンバランスの乱れ、自律神経を乱してしまいます。肥満は膝腰痛や歩行障害なども起きやすいでしょう。
食べたい衝動が抑えられない方や、好きな物だけを食べているといった食生活の偏りがある場合や、運動量が少ない、運動をされたことがない場合には、医師の診察を受けて、「肥満」であった場合には食事制限を開始されるのもいいのではないでしょうか。
高齢者は、思わぬ病気が隠れていることもあり注意が必要です。糖尿病では、適正なエネルギー量とバランスの良い食事を心がけ、1日3食規則正しく食べるようにします。
時間が不規則になると、いつも以上に食べてしまう、間食をしがちになります。食事制限のポイントとしては、食事バランスとカロリーコントロールが重要です。
また、ウオーキングなど軽めの運動を毎日続けることも肥満の解消には有効です。
まとめ
知って疾病コントロール!高齢者の食事制限のポイント(後編)
疾患別の食事制限のポイント①
疾患別の食事制限のポイント②
肥満と食事制限