膵臓がんは現在の医学でも、治療成績の著明な向上が見られない難治がんの1つです。その理由として、 膵臓がん の初期ではほとんど自覚 症状 がありません。自覚症状が出てきたときには進行している場合が多いがんです。
今回は早期発見の難しい膵臓がんについてお話ししていきます。
早期発見の難しい膵臓がんの症状について
膵臓がん全体の自覚症状
膵臓がん全体では、腹痛が約40%、黄疸が約15%、次いで腰背中痛、体重減少、全身倦怠感、食欲不振、糖尿病の発症または悪化などがみられます。膵臓がんは後述しますが、がんのできる。
部位によって症状が異なります。
膵頭部にできたがんの場合の症状
膵頭部にできたがんの一番の特徴は黄疸症状がでることです。黄疸症状はがんによって胆管という部分が圧迫されることで起こります。膵頭部がんの約60%にこの黄疸症状が出現するといわれています。膵頭部がんでは、その他腹痛や体重減少もみられやすいのが特徴です。
黄疸症状について
黄疸症状とは、皮膚や目の結膜という部分が黄色っぽくなる状態です。病的な黄疸はそれ自体が単独でおこることはほとんどなく、痒みや発熱、尿が濃くなるなどの症状を伴うことが多いです。日本人は肌の色から、なかなか黄疸症状を発見することが難しいです。
日本人でも比較的わかりやすいのは目の結膜部分の変化で、黄色人種である日本人の肌の色で判断することは非常に難しいと言われています。
膵体部や膵尾部にできたがんの場合の症状
膵体部や膵尾部にできたがんの場合の症状は、なかなか症状がでにくく、みつかったときにはかなり進行した状態であることが特徴です。
症状としては食欲不振、体重減少、腹痛、背部痛がありますが、中でも特徴的なのが背部痛です。膵体尾部は背中の方に位置しているため、がんができるとすぐに背中の方の神経に浸潤してしまい、強い背部痛を引き起こしてしまいます。
膵体部や膵尾部のがんで注意しなければならないのは、なんとなくおなかや背中が痛い、食欲がないなどの不定症状が多いことです。
そのため、内科などで胃薬などを処方されて使用しているうちにがんが進行してしまい、気づいたときには取り返しのつかない状態になっていることもあるのです。
不定症状を認めたときに原因がはっきりしない場合は、膵臓がんの疑いをもつことも大切です。
糖尿病の発症や血糖コントロールの急激な悪化には要注意
糖尿病と膵臓がんの関係が注目されており、糖尿病患者は膵臓がんを併発しやすいことがわかってきています。
膵臓は血糖をコントロールするインスリンを分泌している臓器ですので、糖尿病の新たな発症や血糖コントロールが不良になった場合は、膵臓がんの発症を疑う大きな目安になるといえます。膵臓がんの症状が乏しい以上、日頃から血糖値を意識することが大切です。
特に食欲不振や体重減少しているにも関わらず、血糖値が上がったり糖尿病を新たに発症した場合は膵臓になんらかの異常を疑うべきです。
このように膵臓がんは自覚症状がでにくいため、発見が遅れやすいがんです。少しでも気になる自覚症状を認めた場合には、迷わず医療機関を受診しましょう。
膵臓の詳しい検査は総合病院でしかできないことが多いため、まずは近くの病院を受診して、そこから消化器内科などのある総合病院を紹介してもらうことが良いと思います。
総合病院で血液生化学検査や腫瘍マーカー、超音波検査、CT検査などを行ってもらい総合的に判断してもらうことが大切です。
まとめ
早期発見の難しい膵臓がんの症状について
膵臓がん全体の自覚症状
膵頭部にできたがんの場合の症状
膵体部や膵尾部にできたがんの場合の症状
糖尿病の発症や血糖コントロールの急激な悪化には要注意