食道癌は男性の罹患率が高く、40代後半から増加し60~70代に多くみられる疾患です。初期症状がほとんどないため、定期的な検査や些細な症状を見逃さないことが大切です。
食道癌 の気になる初期 症状 から、進行していく過程で見られる症状についてまとめました。
男性は女性の6倍!食道癌の初期症状を見逃さないでください
初期症状は食道のしみる感じ
食道癌の初期に最も多くみられるのが、飲み込んだ時の胸のしみるような感じです。癌が浸潤し、食道が炎症を起こしているためにあらわれる症状です。他には飲み込んだ時のチクチクした痛み、胸やけ、などと表現されることがあります。
この時期に内視鏡検査を受けると早期発見、早期治療につながるので治る確率も高くなります。このわずかなサインを見逃してしまうと、一時的に症状が治まりますが癌が進行して別の症状があらわれます。
初期の食道癌の約6割が無症状で検診や他の疾患のための検査などで発見されている現状では、些細な症状でも放っておかずに検査をすることが大切です。
初期の症状であれば体への負担の大きい開腹手術ではなく、内視鏡下での粘膜切除術や放射線治療で治る可能性が高くなります。手術の中でも食道癌の手術は侵襲の大きなものの代表格であり、高齢者には適応が難しい場合があります。
飲み込むときの違和感、体重減少
癌の進行とともに食道が次第に狭まっていきます。始めのうちは食事の際の固形物の飲み込みにくさ、つかえるような感覚という程度ですが、症状が進行すると流動食でも通りにくくなります。
さらに腫瘍が大きくなり食道が狭窄すると、食べ物を飲み込めずに吐き出してしまうようになります。唾液すら飲み込みづらくなり、どんどん体重が減少していきます。
さらに進行すると胸や背部の痛み、咳や痰、声のかすれなどの症状があらわれます。食道のそばにある声の調整をする神経が癌によりダメージを受けると、かすれた声になります。
声の出にくい喉の不調と感じて耳鼻咽喉科を受診する場合もよくありますが、食道癌では咽頭には異常は見られないために見逃されることがあるので注意してください。食道癌の診断のためには内視鏡による検査や造影X線検査などが必要です。
食道癌の末期症状
癌が食道壁を超えて周囲まで浸潤し、肺や背骨、大動脈を圧迫するまで大きくなると、胸の奥や背中の痛みがあらわれます。さらに気管から気管支、肺にまで及ぶと咳や血痰がみられるようになります。
食道壁には他の消化管のような丈夫な膜が存在しないために進行が早くなります。食道壁やその周囲にはリンパ管や血管が多く張り巡らされているため、癌が進行するとリンパ液や血液によって体中に転移していきます。
肺へ転移すると、咳や息切れがあらわれ、呼吸困難の症状や喀血など苦痛の大きな症状となります。肝臓へ転移したときには、腹痛に加え背部痛や黄疸症状がみられます。脳転移では頭痛、吐き気、けいれん、麻痺などがみられます。
骨へ転移すると骨の痛みだけではなく、骨折しやすくなります。脊椎への転移があると麻痺が起こることもあります。
遠隔転移をしている末期の場合では積極的な癌の根治治療ではなく、苦痛が取り除かれて安楽に過ごせるような緩和ケアが行われます。
こんな人は要注意、食道癌のリスク要因
食道癌の危険因子は「飲酒と喫煙」です。日本人の食道癌の90%以上である扁平上皮癌は、アルコール摂取と喫煙にそれぞれ強い関連があり、両者あわせることでさらに危険性が高まることが分かっています。
アルコール度数の高い酒だけでなく、熱過ぎるものも食道にダメージを与えます。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」といいますが、熱過ぎるものを飲食することで食道粘膜が刺激を受けて炎症を起こしやすくなり、炎症が繰り返されるとがん化を招く恐れがあるので注意が必要です。
日本人には比較的少ない腺癌は白人男性に多くみられます。喫煙に加え、逆流性食道炎による食道の慢性的な炎症と関連しているといわれています。
また、食生活においては栄養状態の低下や果物、野菜の摂取不足によるビタミン欠乏も危険因子とされており、緑黄色野菜や果物は予防因子とされています。
まとめ
男性は女性の6倍!食道癌の初期症状を見逃さないでください
初期症状は食道のしみる感じ
飲み込むときの違和感、体重減少
食道癌の末期症状
こんな人は要注意、食道癌のリスク要因