高齢者など免疫力が落ちてきた時に発症することが多い帯状疱疹ですが、初期のうちに治療すると、症状を軽く済ませることができます。
帯状疱疹は重症化した場合は入院治療などが必要になる場合がありますので、おかしいと思ったら放置せずにすぐに医療機関(多くは皮膚科)を受診することが大切です。
帯状疱疹 の 治療 方法と注意点について解説します。
高齢者が罹りやすい帯状疱疹の治療方法と注意点
抗ウィルス薬
帯状疱疹の治療には、まず原因となっている水ぼうそうウィルスを抑えることが必要になります。抗ウィルス薬には、塩酸バラシクロビル、アシクロビル、ファムシクロビルなどがあります。
塩酸バラシクロビル・アシクロビル
「バルトレックス」・「ゾビラックス」などの名称で販売されている薬で、ウィルスのDNA合成を阻害して、ウィルスが増えないようにするお薬です。帯状疱疹の初期症状(皮膚がチクチクするなど)のうちに服用すると、重症化を防ぐことができます。
バルトレックスはアシクロビルより胃から素早く吸収される抗ウィルス薬です。
ファムシクロビル
ファムシクロビルは、ウィルスが増えるのを抑えるペンシクロビルをプロドラッグ化したお薬です。プロドラッグ化とは、薬効のない形の物質を経口で摂取し、それを体内での代謝で薬に変化するように作られる方法です。
ファムシクロビルは口から摂取した時の吸収をよくするように加工された抗ウィルス薬です。
ファムシクロビルは経口で服用後吸収され、ペンシクロビルに代謝された後、ウィルスが増殖している細胞内でのみリン酸化され、最終的にペンシクロビル三リン酸となり、ウィルスのDNA合成を阻害して増殖を抑制します。
帯状疱疹に対しては成人では1回500mgを1日3回、続けて7日間の服用することで、帯状疱疹の痛みや発疹の出方を少なくするなどの効果があります。途中で服用を中止すると十分な効果が出ないことがありますので、医師の指示に従ってください。
抗ウィルス剤治療の注意点
抗ウィルス剤は腎臓の働きが弱っていると、体内に長く在留するなどの副作用があります。特に透析をしている、医者に腎臓が悪いと言われたことがある、尿が出にくい、最近むくんでいる、高齢であるなどの方は、医師に相談し、薬の量を調節する必要があります。
消炎鎮痛剤やステロイド
痛みの強い患者には、消炎鎮痛剤(アセトアミノフェンやリン酸コデインなど)やステロイドの内服を併用することがあります。
ステロイドを併用する場合、服用時より減量時がとても重要で、勝手な判断で急に薬をやめると重篤な副作用が出る場合あるので、医師の指導に確実に従うことが重要です。
アミトリプチリン
抗うつ薬ですが、帯状疱疹の初期に投与すると60歳以上の患者の「帯状疱疹後神経痛」を予防すると言われています。日本では保険適用外の治療になります。
神経ブロック
帯状疱疹の痛みが強く、消炎鎮痛剤の服用でも痛みが治まらない時は、神経ブロックを行うことがあります。神経ブロックにはさまざまな方法があり、眠れないほどの痛みがある場合には「ペインクリニック」を受診し、局所麻酔薬などの注射で神経の痛みを抑えます。
帯状疱疹の痛みは長く続くと慢性疼痛に移行することがありますので、できるだけ早く医師と相談して治療を開始すると予後がとても良くなります。
まとめ
高齢者が罹りやすい帯状疱疹の治療方法と注意点
抗ウィルス薬
塩酸バラシクロビル・アシクロビル
ファムシクロビル
抗ウィルス剤治療の注意点
消炎鎮痛剤やステロイド
アミトリプチリン
神経ブロック