帯状疱疹発症時の皮膚症状(水ぶくれや赤みなど)が治まった後に、痛みだけが長く続く症状を帯状疱疹後神経痛といいます。痛みは1ヶ月~3ヶ月以上、長ければ年単位(5~10年以上も)で続く人もあり、痛みによる生活の質の低下が懸念される帯状疱疹の後遺症です。
高齢者がかかりやすいとされる 帯状疱疹後神経痛 の痛みと最新の治療方法について探ってみます。
高齢者がかかりやすい帯状疱疹後神経痛の痛みと最新治療法
帯状疱疹後神経痛の症状
帯状疱疹後神経痛の痛みは皮膚の痛みではなく、神経そのものの痛みです。
火傷をした時のような痛みや、締め付けられるような痛み、電気が走るようなピリピリとした痛み、またアロディニアと呼ばれる、衣服が擦れたり、髪の毛を束ねたり、風に当たったりという神経と直接関係ない原因が引き金となって痛むといった症状になることもあります。
痛みの出方の特徴
帯状疱疹後神経痛の特徴には、何かを一生懸命にやっていて集中している時や、寝ている間は痛まないという特徴があります。しかし、寝る前などのリラックスしている時に痛みが出やすいので、痛みで眠れないといった不眠症状に陥る場合があります。
痛みの原因と残りやすい年齢層
水ぼうそうウィルスの再燃により傷つけられた神経の回復には個人差があり、さらに若い人ほど回復が早く、高齢になるほど回復が遅れる傾向にあります。
また帯状疱疹の初期症状が重症であればあるほど、神経の損傷が大きくなります。神経は一度硬さや神経細胞の数などが変化してしまうと、その回復は非常に困難であり、痛みが長期間続く原因となります。
痛みの改善や治療の選択肢
一度損傷した神経の回復は非常に困難なため、帯状疱疹後神経痛の痛みの治療は、完全になくすることは難しいとされ、できるだけ痛みを軽くするという方法をとらざるをえません。痛みは個人差が大きいため、さまざまなアプローチが取られますが、第一の選択肢は薬でのコントロールです。
薬剤治療
アセトアミノフェンなどの鎮痛剤は、痛みに対する効き目は弱いのですが、胃などの内臓に優しい薬剤です。また偏頭痛の治療に使うトリプタン系の鎮痛剤も有効です。
これで効かない場合、痛みを緩和するカテコールアミンを増やす働きがある抗うつ剤や、神経の過剰興奮を抑える抗けいれん剤などを組み合わせて用います。
さらには脳の痛みを感じる部分に直接働きかけ、強い鎮静作用のあるオピオイドなどを医師の管理下で用います。また漢方薬などや、外用の湿布薬を用いる場合もあります。
ペインクリニックでの治療
痛みが薬で治らない場合、神経ブロックという方法があります。神経ブロックとはペインクリニックで行う治療であり、痛む神経のまわりに局所麻酔薬を注射し、興奮している神経を鎮めます。炎症が強いと判断されるときはステロイドを併用する場合があります。
さらに、薬剤による一時的な神経ブロックが有効ではない難治性の帯状疱疹後神経痛には、高周波熱凝固法など、薬剤を用いない神経ブロックが適用されます。
高周波熱凝固法は、神経の中にあるタンパク質を高周波で熱をかけて変性させる治療法で、痛みの伝わる部分に変性したタンパク質で壁を作る方法です。
1~2日で効果がなくなる麻酔薬を使った神経ブロック注射と違い、変性したタンパク質の回復にはある程度時間がかかるので、効果が半年~1年ほど持続することが特徴です。
帯状疱疹にかかったら、まず抗ウィルス剤を早くに服用して神経の損傷を最低限に抑えることが最も重要です。万一痛みが残った場合、痛みが持続すると記憶に残ってしまい、難治性疼痛になる可能性が高まりますから、できるだけ早く痛みの治療をすることが大切です。
まとめ
高齢者がかかりやすい帯状疱疹後神経痛の痛みと最新治療法
帯状疱疹後神経痛の症状
痛みの出方の特徴
痛みの原因と残りやすい年齢層
痛みの改善や治療の選択肢
薬剤治療
ペインクリニックでの治療