つねに 痰が出る と、不快な気持ちになります。痰が出ることに対して周囲のイメージもあまりいいものではありません。痰が出る原因や仕組み、痰が出る病気、効率よく痰切れさせる方法についてご説明いたします。
痰が出る原因や疑問、効率の良い痰切れ方法とは
正常な状態でも分泌液として痰はでている
気管支内は健康な人でも1日50~100mlの痰の粘液が分泌され、無意識に嚥下し再吸収しています。この気管支分泌液の量が極端に増加すると、痰として自覚して排出するようになるのです。痰が出る場合には、何らかの原因や疾患を抱えている場合が多いのです。
なぜ痰が出るのか
痰が出る理由は、鼻腔から気管支にかけて侵入してきた埃や、有害物質、ウイルス、花粉などの異物が気管支内に止まらないように、痰として喀出する生体の防御反応です。
異物を細胞が取り囲み、体内での増殖や害を与えないように闘った結果が自覚できる痰なのです。呼吸器の炎症反応を引き起こす風邪や生活習慣・慢性肺疾患や肺腫瘍、肺うっ血があると通常よりも、痰の量が増えてしまうのです。
高齢者の場合は、知らず知らずのうちに誤嚥している場合もあり、痰がでる場合には注意が必要です。
痰が出る病気と痰の形状は?
痰が出る病気には、起因する菌によっても痰の形状が変化します。高齢者に多い肺炎球菌性肺炎は鉄さびのような痰が出ます。高齢者は重篤化しやすいため、65歳以上は肺炎球菌予防接種を5年に一度受けると良いと推奨されています。
クレブシエラ肺炎はイチゴゼリー状の痰、レジオネラ肺炎はオレンジゼリー状、嫌気性菌は常在菌で歯槽膿漏などの口臭などの原因でもあり、誤嚥性肺炎や肺腫瘍などでは強い悪臭を伴う痰が出ます。うっ血性心不全は泡沫上の朱色~ピンク色の痰が出ます。
慢性肺疾患の気管支拡張症やびまん性汎細気管支炎では、多量の痰が出ます。肺がんではサラサラとした漿液性の痰が100ml以上喀出されます。
痰が出るときの過ごし方
痰が出る場合には、咽頭への刺激を少なくするように心がけます。喫煙されている方は、一時中止されると回復が早いでしょう。喫煙が原因で痰が出る場合には、禁煙が望ましく禁煙することで痰が出る量が減ってきます。
外出時は、マスクを着用することも、咽頭への刺激が少なく乾燥も防ぐことができます。痰が出る際には咳き込みますので、咳エチケットとしてマスクは必要です。
過ごされる環境にも配慮が必要です。夏場なら室温が25度から28度、湿度は50%前後、冬場は18度から20度、湿度は50%を目安にします。食事も痰が多い時には、タンパク質と水分を意識して摂るようにする必要があります。
痰が出る原因で治療も変わる
痰が出る症状の原因が何からきているのかをしっかりと把握することが必要です。副鼻腔炎などの鼻の疾患からなのか、気管支や肺の病気なのかがわかるだけでも痰が出る症状に対して前向きに捉えられるのではないでしょうか。
加齢によるものだと安易に考えていたら、誤嚥性肺炎で命を落としてしまうことも少なくないのです。高齢者は、若い世代と違って症状が出ない場合があるので発見が遅れることがある認識を持つことが必要です。
体の気になる症状をかかりつけ医に、いつでも相談できるような関係を築くことも大切です。
痰を効率よく喀出する方法
ネットなどで体位ドレナージやタッピングという言葉をみかけますが、これは医療従事者が専門的な知識のもとに用いる技法です。痰が肺から出てくる際に粘度が高いとつまってしまう恐れもあり、大変危険です。
一般的に、水分をこまめにとり、上体を前かがみにして咳をすると出ることがあります。前かがみなることが難しい場合には、側臥位にするだけでも痰が出ることがあります。
まとめ
痰が出る原因や疑問、効率の良い痰切れ方法とは
正常な状態でも分泌液として痰はでている
なぜ痰が出るのか
痰が出る病気と痰の形状は?
痰が出るときの過ごし方
痰が出る原因が何か治療も変わる
痰を効率よく喀出する方法