胆嚢結石により痛みが続く場合は 胆嚢 の 摘出 手術を行います。胆石による痛みから解放されますが、3~5%ほどの合併症のリスクがあります。
胆嚢摘出手術には、腹腔鏡下胆嚢摘出術と開腹胆嚢摘出術があります。ほとんどの場合、腹腔鏡下胆嚢摘出術を行いますが、胆嚢がんなどを合併している場合は開腹胆嚢摘出術を行います。
なぜ胆嚢を摘出するの!
胆嚢とは
肝臓で作られた胆汁は、肝内胆管、胆嚢、総胆管(胆道)を通って十二指腸に流れます。胆嚢は胆汁を貯え濃縮します。
胆汁は脂肪を水溶性にしますので、総胆管を経由して十二指腸に流れ込んだ濃縮胆汁により脂肪分は水溶性にかわり、酵素分解され、小腸で吸収されます。胆嚢は脂肪の分解、吸収を高める働きをしています。
今回は、胆嚢の摘出術などについてお話します。
胆嚢の摘出術の対象となる疾病の1つは胆石症です。胆石症は肝内結石、胆嚢結石、総胆管結石に分類され、一番頻度の高いのが胆嚢結石です。胆嚢結石では、コレステロール、ビリルビンが主成分になります。
胆嚢結石は胆石発作や胆嚢炎を併発し、腹痛、発熱、吐き気などの症状を呈することがあります。また、総胆管結石となって胆管炎や膵炎を併発する場合があります。症状をともなう胆石症の場合は原則的に手術の対象です。
コレステロールでできた非腫瘍性の病変である胆嚢ポリープも手術の対象です。大きさが1cm以上になると良性腫瘍やがんの頻度が高まり、胆嚢がんも摘出手術をします。胆石症の主な治療法は腹腔鏡下胆嚢摘出術です。胆嚢を摘出するので胆嚢結石の再発はありません。
炎症や癒着がある場合、大きな総胆管結石、胆嚢がんなどがある場合は開腹胆嚢摘出術を行います。特に、胆嚢がんでは腹腔鏡下胆嚢摘出術で起こりやすい腹膜播種を避けるため、開腹胆嚢摘出術を行います。
また、腹腔鏡下胆嚢摘出術を行っても、胆嚢の肥厚している、周囲臓器との癒着がある、総胆管にも結石があるなどの場合は、開腹胆嚢摘出術に移行します。腹腔鏡下胆嚢摘出術の適応疾患には、胆嚢結石、急性胆嚢炎、胆嚢ポリープ、胆嚢線筋腫症などがあります。
腹腔鏡下胆嚢摘出術について
腹腔鏡下胆嚢摘出術は、手術の傷口が小さく目立ちにくい、体への負担が小さく痛みが少ない、手術後早めに飲食ができる、入院期間が2,3日で、社会復帰が早いなどのメリットがあります。
しかし、術野が狭いため血管、臓器などを損傷することがあったり、腹腔鏡下手術が難しいと判断された場合は、途中から開腹手術へ変更されたり、3~5%の合併症が起こることがあります。
特に、単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術は手術が難しくなり、合併症が増加するのではないかと考えられています。
腹腔鏡下胆嚢摘出術の合併症
腹腔鏡下胆嚢摘出術は開腹手術に比べ視野が狭いので、胆道や血管を損傷する可能性があります。術後出血・胆汁漏、肝機能障害・黄疸、腹腔内嚢腫などの合併症もみられる場合があります。二酸化炭素の使用により、腹腔の圧力が上がり静脈還流量が減少します。
心臓や肺に負担がかかり、心肺機能の低下がみられます。また、腹腔への二酸化炭素の送入により、脚の血流が滞り、深部静脈血栓症や肺血栓などになる場合があります。術後に上腹部の痛み・発熱・黄疸・吐き気などの症状がでて胆嚢摘出後症候群になる場合があります。
胆嚢摘出の副作用
胆嚢摘出により胆汁分泌量などのコントロールができなくなります。消化機能が低下するため、下痢や脂肪便などが排泄される場合があります。
摘出後しばらくの間、脂肪分の多い食事は避ける必要があります。多くの人は1ヶ月程で体が胆嚢のない状態に適応していきます。
胆嚢ポリープ
胆嚢ポリープはコレステロールポリープか線種性ポリープの良性ポリープです。大きさが10mmを超える胆嚢ポリープは、胆嚢がんを認める場合があり、胆嚢摘出が望ましいといわれています。
腹腔鏡下胆嚢摘出術における蛍光胆管造影法
胆管損傷を回避するための従来のX線による胆道造影は、造影手技そのものに胆管損傷のリスクがあることやX線撮影に人員・時間を要するなどの欠点があります。これを補うため、近赤外光照射で蛍光を発するインドシアニングリーンは静脈注射後に胆汁に排泄されます。
赤外観察が可能な腹腔鏡を用いて胆汁中の蛍光を画像化し、胆道造影を行う方法が蛍光胆管造影法です。
まとめ
なぜ胆嚢を摘出するの!
胆嚢とは
腹腔鏡下胆嚢摘出術について
腹腔鏡下胆嚢摘出術の合併症
胆嚢摘出の副作用
胆嚢ポリープ
腹腔鏡下胆嚢摘出術における蛍光胆管造影法