高齢者が入院した際によく耳にするのが「転倒した」や「ベッドから転落した」という話。高齢者の 転倒 や 転落 はその後の人生の生活の質に密接に関わってくるので、なるべくなら予防したいところです。
病院でも入院される方の 看護 をするさいに 計画 を作成するようになっているので、その計画はどのよう目的で立てられて、実施されているのでしょうか。
高齢者の入院に際しての転倒や転落予防のための看護の計画
入院すると転倒や転落のリスクは高くなる?
特に入院したからリスクが高くなるとは限りませんが、高齢になると、新しいことへ適応する能力も低下していますので、「入院している」という特別な環境に適応するのに時間がかかってしまいます。
入院中に転倒や転落が起きないように、いろいろな面から看護の方法を考えて実施していこうというのが看護計画になります。
看護の計画とは?
看護と一概にいっても、注射をしたり、検温や血圧測定をするだけではありませんので、いろいろな面から、患者にとって治療しやすい環境で、より安全に過ごしてもらえるように計画を立てます。
目標はより短い期間で治癒して退院してもらうことですので多角的な計画になっています。どういう所に注意して観察を行うか、どういう援助が必要か、どういう指導をすればいいか、などの治療以外のことも含めて計画を立てていき、患者本人と意思確認をしてから実施していきます。
高齢者の看護の問題点
高齢者について考えると、判断力の低下、認知症の発症など日常生活をおくる上で必要な状況の理解や判断の能力が低下していますので、本人に「ここは転倒しやすいので気をつけてください」と伝えても伝わらないことがよくあります。
点滴をしている最中でも、患者が認知症であれば、何をしているのか状況が解らずに点滴の針を抜いてしまうといったこともよくあるので、同じように、立てないのに立てると思い込んでトイレへ行こうとしたり、ベッドから起き上がろうとして転落してしまったりなど、本人の理解が得られないので予防のために福祉用具を使用する事もあります。
福祉用具の種類や効果
転倒や転落を予防するために使用されるのが福祉用具ですが、よく病院などで使用されるのはセンサーマットです。ベッド上に敷いて起き上がりを知らせたり、床に敷いて立ち上がりを知らせたりしてくれる福祉用具です。
センサーが反応すればコールが鳴るなどして誰かが対応します。また、歩くのを補助する歩行器や車椅子などもありますが、それぞれに完璧に予防できるものとはいえないのが現状です。
看護計画の内容の確認
看護計画は、入院するとほとんどの病院で退院するまでの計画を立ててくれます。
大まかな計画を立てて本人や家族に了承を得て実施していく流れになりますが、前述したとおり、いろいろな面から看護をどう行っていくかが記載されているので、ひとつずつ確認を行い、わからないことはそのつど聞いてから家族や本人がサインをします。
計画はその人によって異なりますので、転倒などの事故が起きる確率が高いと見込まれる方などは福祉用具の使用の記載や、ときには抑制の記載や同意書を求められることもありますので、そのさいにもよく説明を聞いてからサインをした方がいいでしょう。
抑制とはどういう場合に行われるのでしょうか?
抑制とは、行動の制限を目的として、身体の拘束をすることを指しますが、病院が勝手に抑制をすることはできません。必ず、家族や本人の同意がなければできないようになっています。
また、身体拘束は紐や抑制帯を使用して、ベッドや車椅子に縛ったりすることもあげられますが、向精神薬を使用して行動を制限するのも身体拘束に当てはまります。
いずれの場合にも、主に「身体拘束を行わないと生命の危険があり、他に代用ができず、時間を決めて行う」場合ではないと適用してはいけないとされています。
例えば、「点滴をしないと生命の維持ができない方が、認知症のために点滴の針を抜いてしまう。」のようなケースの場合は、点滴を行っている間のみ、針が抜けないように手を拘束するなどです。ですので、通常は転倒や転落の予防のために抑制をすることはあまりありません。
まとめ
高齢者の入院に際しての転倒や転落予防のための看護の計画
入院すると転倒や転落のリスクは高くなる?
看護の計画とは?
高齢者の看護の問題点
福祉用具の種類や効果
看護計画の内容の確認
抑制とはどういう場合に行われるのでしょうか