女性に多いとされる貧血の中でも代表的な鉄欠乏性貧血。実に女性のうち10人に1人は該当するといわれています。鉄剤のサプリメント等で対処する方も多いようですが、原因を特定し、しっかり治療することが大切です。
ここでは 鉄欠乏性貧血 の 治療 についてまとめました。
鉄欠乏性貧血は適切な治療で早期改善を目指しましょう
鉄欠乏性貧血とはどんな病気?
貧血はよくきく病気ですが、一口に貧血といってもさまざまな種類があります。中でも貧血のうちの約90%を占めるのが鉄欠乏性貧血です。
血液には種々な役割がありますが、その中でからだじゅうに酸素を運ぶ大切なはたらきをしているのが赤血球の中にあるヘモグロビンです。このヘモグロビンが不足して体内に充分な酸素が供給できない状態が貧血です。
その中でもヘモグロビンの成分である鉄が不足することによって起こる貧血を鉄欠乏性貧血といいます。貧血だけならば、これといった目立った症状はなく、疲れやすいとか倦怠感や頭重といった程度です。
しかし、鉄欠乏性貧血は放置せず、原因を特定することが重要です。貧血の原因として思わぬ重病が隠れていることがあるからです。
鉄欠乏性貧血の原因を特定する
血液検査の結果で鉄欠乏性貧血の確定診断がされると、まず最初に鉄欠乏に至る原因を特定する必要があります。
なぜなら、鉄欠乏性貧血は「結果」であり、鉄欠乏となった「原因」を調べて、それを取り除かなければ、どんなに鉄分を補給しても病状は改善されないからです。
胃がんや大腸がん、胃潰瘍からの出血など重篤な疾患が隠れている場合もあり得るので、まずは原因を特定し、原因疾患の治療を行います。原因となる病気がない場合に、鉄不足が考慮され、鉄剤での治療となります。
鉄欠乏性貧血の治療とは?
鉄欠乏性貧血の治療としては、鉄剤を内服する服薬治療が一般的です。毎日100~200mgの鉄剤を服用します。食事での摂取目安量が1日10mg程度ですから、とても多い量を服用することになります。
人間の体内には、一時的な鉄不足になったときに対応できるようにフェリチンと呼ばれる貯蔵鉄という貯金があります。食事で鉄分の摂取量が不足しても多少ならば、この貯蔵鉄を使用できるため、すぐに鉄不足になることはありません。
つまり、鉄欠乏性貧血になったということは、その貯金もすべて使い果たした状態になったということです。一時的な鉄不足の解消だけでは、すぐに再発をしてしまうため、この貯金も取り戻すまでしっかり治療を行う必要があります。
治療を開始したら、自己判断で受診をやめず、血液検査の結果をみながら、貯蔵鉄(フェリチン)が適正量に戻るまでは継続しましょう。2~3週間でヘモグロビンの濃度は上昇してきて、改善がみられますが、最低でも1~2か月は服薬期間が必要となります。
また鉄剤内服時には副作用が起こりやすくなります。吐き気や便秘、下痢、おう吐、胸焼けなどの消化器症状があらわれたり、食事の際、噛みしめたときに金属の味がしたりと不快な症状がでます。
こうしたときも、服薬を中止するのではなく、医師に相談しましょう。服薬時間を変更したり、薬の形状を変更したり、副作用を抑える薬をだしてもらうなど負担が少ないかたちを相談して服薬を継続して完治をめざしましょう。
また鉄剤はビタミンCと併用することで吸収率が高くなること、副作用が軽減することが期待できます。どうしても内服できない場合や緊急性が高い場合などに注射や点滴で投与されることもありますが、応急処置と考えればよいでしょう。
鉄欠乏性貧血は食事で予防しましょう
せっかく治療しても、食事から適切な量の鉄分摂取ができなければ、また同じことの繰り返しとなりがちです。貯蔵鉄(フェリチン)を維持できるよう食事に注意する必要があります。
朝昼夕の3食をきちんととること、バランスの良い食事をこころがけることが大切です。ヘム鉄を多く含む赤身の肉や魚はもちろんのこと、造血ビタミンと呼ばれるビタミンB群をしっかり食べましょう。
鉄サプリメントは有効ですが、鉄を吸収するためにはビタミンCが必要ですし、造血のための栄養素は必須です。サプリメントだけに頼らず食生活を見直して貧血を予防しましょう。
まとめ
鉄欠乏性貧血は適切な治療で早期改善を目指しましょう
鉄欠乏性貧血とはどんな病気?
鉄欠乏性貧血の原因を特定する
鉄欠乏性貧血の治療とは?
鉄欠乏性貧血は食事で予防しましょう