糖尿病性 壊疽 は 糖尿病 患者に起こる合併症で、足の指や踵、足の裏などに起こる組織の壊死のことです。糖尿病が進行すると、下肢の動脈閉塞が起こってしまい、小さな傷であっても細菌感染を起して急速に組織が死滅してしまいます。
糖尿病性壊疽は、早期に治療しないと下肢を失ってしまったり、最悪は死に至ってしまう重大な合併症です。
糖尿病性壊疽とは
糖尿病性壊疽の原因
糖尿病性壊疽の原因は、糖尿病による動脈硬化や神経障害、免疫力の低下が重なった状態の患者が、足などにできた傷から細菌感染を起すことにより発症します。
動脈硬化のために下肢の血流が悪くなると、血液によって運ばれる酸素や栄養が不足してしまうばかりでなく、白血球などの免疫細胞も運ばれなくなってしまうために、細菌感染に対する抵抗力も弱くなってしまいます。
このような状態で足などに傷ができてしまうと、小さな傷でも治りにくく、それだけ細菌感染の危険も高まってしまいます。
さらに、糖尿病性神経障害があると痛みにも鈍感になってしまいますので、できた傷そのものに気付かなかったり、細菌感染していても悪化していることがわからないために放置してしまうということが起こってしまいます。
このようにして、傷が治りにくく抵抗力も弱い状態で放置してしまい、細菌感染が急速に進んで組織の壊死が広がってしまいます。
また、血流障害そのものは軽度であったとしても、感染症が加わることによって急速に壊疽が進むことがあります。糖尿病による神経障害や動脈硬化がある場合には、足の傷は決して軽視することができません。
糖尿病性壊疽の症状
糖尿病性壊疽の症状は、足の小さな傷から始まります。最初は靴ずれや水虫、火傷などの小さな傷だったものが感染を起して化膿し、皮膚から皮下組織まで細胞が死滅してどんどん腐ってしまいます。
壊疽が起こりやすいのは末端である足の指や踵、足の裏などで、その一部が濃い紫や黒い色に変わって行き、その部分が広がって行くのが特徴です。
糖尿病性壊疽は組織の深部に及ぶ感染症であるため、そのまま放っておくと壊死して切断しなければならない部分がどんどん広がってしまいます。最悪の場合には、感染が血液内にも広がって敗血症を起し、命を失いかねない重篤な病気です。
壊疽によって死滅してしまった部分は切除するしかありませんが、早期に治療を行えば比較的治りやすい病気でもありますので、早めに発見して治療を開始する必要があります。
糖尿病性壊疽の診断と治療
糖尿病性壊疽の診断と治療は、まず壊疽の状態と感染の有無を確認します。細菌検査を行って細菌感染の有無を確認し、陽性であればさらに感受性検査を行い、効果のある抗菌剤を特定します。
しかし、細菌培養は結果が出るまでに数日かかってしまうため、通常は最も可能性の高い細菌を想定してすぐに投与を開始し、結果が出てから必要に応じて薬剤を切り替えます。
次に動脈閉塞の有無を調べますが、超音波検査やレントゲンの動脈造影検査を行って、閉塞している動脈があるかどうかの確認を行います。
程度が軽ければ投薬治療によって改善する場合もありますが、重症の場合には手術を選択します。手術には、血管内にカテーテルを入れて中からバルーンで広げたり、詰まりを取り除く方法と、下肢静脈や人工血管を移植する下肢動脈バイパス術などがあります。
血流が回復すれば壊疽は急速に回復しますが、壊死してしまった組織は元に戻りませんし、腐ってしまった組織を放っておくと感染がさらに広がってしまいますので、悪い部分は切除してしまうことが原則となります。
ただし、踵や足の指は歩行やバランスを取るのにとても重要な役割を持っていますので、可能な限り残すよう努力します。また、切除によって欠けてしまった皮膚や組織は、他の部位から移植したり人工皮膚を用いたりすることもあります。
こういった治療を行うことによって血流は回復し、壊疽そのものは良くなりますが、血糖のコントロールや運動療法を継続しないと、また動脈閉塞を起して同じことを繰り返してしまうことになりかねません。
糖尿病性壊疽の治療では、医療技術同様に患者自身の日常生活の改善がても大切な役割を持っています。
まとめ
糖尿病性壊疽とは
糖尿病性壊疽の原因
糖尿病性壊疽の症状
糖尿病性壊疽の診断と治療