糖尿病は万病の元というように、糖尿病が原因となる病気は非常に多いです。血糖が高い状態が続くことにより、体内にさまざまな機能障害を起こすことが理由ですが、その中でも一般に認知されていなことと、放置することができない合併症として、糖尿病による皮膚病変があります。
今回は 糖尿病 と 皮膚 病変を詳しくご説明します。
意外と知られていない糖尿病皮膚病変
糖尿病皮膚病変は糖尿病の合併症なのか
糖尿病には三大合併症があり、糖尿病性末梢神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症と神経、腎臓、眼の器官に対する病気があります。最近では血管への影響による血流障害も多くなりました。
糖尿病と皮膚病について可能性は十分にありながらも、糖尿病が原因であるかどうかが、非常に「あいまい」であることがいえます。
糖尿病の方が湿疹による痒みの症状があっても、湿疹や痒みは血糖が高いことが直接的な原因とはなりません。湿疹や痒みの症状は、アレルギーや虫刺されなどが原因であることが多く、糖尿病に限っての症状ではないからです。
糖尿病は免疫機能を低下させるため、容易に感染してしまう状態であります。実は糖尿病皮膚病変はこの感染が原因となるケースが多く、糖尿病が間接的に作用することが原因で引き起こす皮膚病もあります。
真菌(カビの一種)はその代表的な菌であり、陰部や足、爪に感染し、痒みが出現します。糖尿病ではない方も感染しますが、糖尿病の方が感染しやすい傾向です。
首から肩が硬くなる糖尿病性浮腫性硬化症
肩凝り症の方は、症状としてバンバンに肩が張っていることがありますが、これは筋肉の張りが原因です。糖尿病性浮腫性硬化症の状態は、首の後ろから肩にかけて、指で押しても跡が残らないほど張っている症状であるため、症状だけであれば肩凝り症に似ています。
しかし、張りの原因は筋肉ではなく皮膚であることが違いであり、糖尿病を長く患っている方に出現する傾向があります。この糖尿病性浮腫性硬化症は、湿布などの消炎鎮痛剤を投与しても無効であり、血糖のコントロールが改善されないとよくなりません。
何故か出現する糖尿病性水疱
水疱とは水ぶくれのことをいいますが、これらは火傷や靴擦れなどがあった時に出現します。この糖尿病性水疱も水ぶくれには違いはないのですが、何の理由もなく水ぶくれが出現する病気です。
適切に処置をすることで治癒するため、それほど問題とはならないのですが、水疱を破り適切な処置を行わないと、すぐに細菌が繁殖し始め感染してしまいます。
スネの斑点はリポイド類壊死症
リポイド類壊死症は、原因が明らかではない病気のひとつであり、単独発症よりか、ほとんどが糖尿病を合併している傾向があります。症状として足のスネという特異的な部位に赤黄色斑が出現し、悪化すると腫瘍化することがあります。
リポイド類壊死症はこれといった治療法はなく、皮膚外用剤で経過を観ることとなりますが、自然に治癒することもあります。
切断の可能性が高い糖尿病性壊疽
糖尿病性皮膚病変の中で、最も避けたい病気は糖尿病性壊疽です。糖尿病壊疽は皮膚が死んでしまうことですが、要因は血流障害と感染です。そしてこの血流障害と感染しやすい状態は糖尿病が影響しています。
壊疽に至る過程は、足の外傷や鶏眼(うおのめ)などが血流障害により治癒が遷延し、やがて難治性創傷となります。そこに感染を引き起こすことで病状を進行させ、やがて壊疽となります。糖尿病は末梢神経障害もあることから、痛みが感じにくい性質があります。
足に外傷を負っても気づかない方も少なくありません。壊疽となると進行が早いため、足若しくは足趾を切断しなければならないことがあります。
この悲惨な状態を回避するためにも、今ではフットケアと称して予防医療が保険診療として認められております。治療においても血流を改善することが優先されますので、カテーテルによる血管拡張術や外科的バイパス術を行い、なるべく切断をしない治療方針となっております。
この最も重症な糖尿病性壊疽にならないためにも、糖尿病の方は日ごろから足に気をつかうことが重要となります。
まとめ
意外と知られていない糖尿病皮膚病変
糖尿病皮膚病変は糖尿病の合併症なのか
首から肩が硬くなる糖尿病性浮腫性硬化症
何故か出現する糖尿病性水疱
スネの斑点はリポイド類壊死症
切断の可能性が高い糖尿病性壊疽