糖尿病の症状として口渇感や多尿などは有名ですが、実は皮膚のかゆみも多く、糖尿病患者のうち3分の1が感じています。かゆみを我慢することはとてもつらく大きなストレスになります。
糖尿病 による かゆみ の原因や、その対策について知っておきましょう。
知っていますか?糖尿病から肌のかゆみが起こります
かゆみを引き起こす原因は?
血液中に多くなったブドウ糖を体の外へ排出しようとして多くの尿が作られるために排尿が増え、脱水状態になりがちです。脱水状態になると皮膚が乾燥してかさつき、かゆみが生じます。発汗量も増えるため、より一層かゆみが増します。
特に冬場の乾燥した時期にはかゆみの症状は強くなります。乾燥によるかゆみだけではなく、細菌や真菌が皮膚感染することで発生するかゆみもあります。
糖尿病患者は血糖値の高い状態が続くことで、体の免疫力が低下し易感染状態になるので、皮膚の掻き傷から細菌感染を起こしやすくなっているのです。
かゆみの実際
口渇感、多尿、体重減少などは糖尿病の病状が悪化してから自覚症状としてあらわれますが、肌のかゆみは症状の中でも比較的早く出現します。かゆみによる大きな問題は、乾燥と抵抗力の低下によって肌のバリア機能が低下し、皮膚から感染を起こすことです。
糖尿病が原因で発症しやすい皮膚疾患としては、白癬症とカンジダ症があります。白癬症は水虫として知られるカビの一種です。手指、趾間や足底部、陰部などに発生します。かゆみだけでなく、放置しておくと糖尿病性壊疽を招く可能性もあります。
カンジダ症は排尿時に糖濃度の高い尿が陰部に付着して菌が繁殖しやすいことが原因で女性に多く、陰部や肛門、大腿などに発生します。
感染症によるかゆみは、乾燥による皮膚のかゆみと比べると一層苦痛の大きいかゆみになります。自然治癒はないため早期に治療をすることが望ましいです。
糖尿病のかゆみは危険信号
健康な人でも肌のかゆみは日常的に起こるので軽く考えてしまいますが、糖尿病患者は注意が必要です。糖尿病であると血液の循環が悪くなっており、さらに免疫機能が低下していることで皮膚炎を起こしやすくなっています。
かゆみを抑えられずに搔きむしってしまうことで傷ができます。そこから感染を起こして高熱を出すことや、悪化した場合には壊疽を起こすことがあります。掻き傷からの炎症が全身へ及ぼす影響が大きく、傷そのものの回復にも時間がかかります。
自分でも気が付かないような小さな傷から感染を起こすこともあり、糖尿病による末梢神経障害によって知覚が鈍くなるために症状に気が付かないこともあります。
皮膚のかゆみは全身に起こりますが皮膚感染症は下肢が多く、重症化すると足の切断に至ることもあり注意が必要です。このように糖尿病によるかゆみは皮膚感染症へと繋がり、全身へ大きく影響することもあるのです。
かゆみ対策をしましょう
一番は基本的治療である血糖のコントロールが大切です。糖尿病が悪化することで感染のリスクが高まります。また、感染症にかかると血糖値が上昇しやすくなり、糖尿病そのものと感染症の両方を悪化させてしまうため、普段より注意深く血糖コントロールを行わなければなりません。
かゆみの予防や対策は保清と保湿です。毎日入浴するのが望ましいです。強くこするとかゆみを誘発しますので優しく洗います。熱いお湯や石けんの使い過ぎは皮膚表面の皮脂を取り除いてしまって、さらなる皮膚の乾燥を招いてしまうのでぬるめのお湯がいいです。
石けんは低刺激のもので、皮脂を取りすぎないよう使用は1日1回までにして下さい。体が温まるとかゆみは強くなるので、長風呂にならないように気を付けます。入浴後は保湿クリームやかゆみ止めを塗ります。
白癬などの皮膚疾患があれば、適切に治療薬を塗布して早めの治癒を目指してください。汗をかいたらそのままにせず、優しく拭き取るといいでしょう。紫外線が皮膚の刺激となってかゆみを引き起こすこともあるので、直射日光が当たらないような衣服を選んでください。
よくある肌のかゆみでたいしたことはないと見過ごされがちですが、何らかの疾患による可能性もあるので、長引く場合には病院で診てもらうことが大切です。
すでに糖尿病にかかっている場合には日頃から肌の状態を意識し保清と保湿に努め、感染を起こさないようにかゆみには気を配りましょう。我慢して悪化することがないよう早めに医師に相談してください。
まとめ
知っていますか?糖尿病から肌のかゆみが起こります
かゆみを引き起こす原因は?
かゆみの実際
糖尿病のかゆみは危険信号
かゆみ対策をしましょう